データ分析 Data Analysis

海外へもつながる2歳ダートの頂上決戦

全日本2歳優駿JpnIには“目指せケンタッキー”という副題がついている。レース当日に『My Old Kentucky Home』が歌われるのも恒例だ。2022年の勝ち馬デルマソトガケが当レースをステップにはじめてアメリカのケンタッキーダービーGIに駒を進め(6着)、そして昨年の優勝馬フォーエバーヤングもその大舞台に進み、勝ち馬から僅差の3着という結果を得たことは、今後にもつながる大きな出来事になったといえる。今年も世界を展望できる名馬の出現を期待したいところ。その一戦の傾向を14~23年の過去10回のデータから見ていくことにする。

上位人気馬が優勢だが

単勝1番人気は5勝を挙げ、3着内率は80.0%。しかし2番人気の勝利は2020年アランバローズ(船橋)だけ。JRAとの交流競走になった1997年以降で見ても、98年アドマイヤマンボと09年ラブミーチャン(笠松)を含め3頭。上位人気馬が優勢という傾向が強いものの、過去10回で3着に6番人気以下が5回も入っている点は覚えておいてもいいだろう。[表1]

[表1]単勝人気別成績(過去10回)

1着 2着 3着 4着以下 勝率 連対率 3着内率
1番人気 5 1 2 2 50.0% 60.0% 80.0%
2番人気 1 5 0 4 10.0% 60.0% 60.0%
3番人気 2 2 1 5 20.0% 40.0% 50.0%
4番人気 0 1 1 8 0.0% 10.0% 20.0%
5番人気 2 0 1 7 20.0% 20.0% 30.0%
6番人気以下 0 1 5 77 0.0% 1.2% 7.2%

JRA所属馬が断然

所属別に成績をまとめてみると、やはりJRA馬が優勢。対して、2歳馬の宝庫というイメージがある北海道所属馬だが、過去10回では3着2回のみとなっている点は興味深い(ハッピースプリントが勝利したのは11年前の2013年)。[表2]

[表2]所属別成績(過去10回)

1着 2着 3着 4着以下 勝率 連対率 3着内率
JRA関西 5 4 1 17 18.5% 33.3% 37.0%
JRA関東 3 5 3 12 13.0% 34.8% 47.8%
船橋 1 0 1 11 7.7% 7.7% 15.4%
川崎 1 0 0 13 7.1% 7.1% 7.1%
浦和 0 1 2 7 0.0% 10.0% 30.0%
大井 0 0 1 5 0.0% 0.0% 16.7%
北海道 0 0 2 31 0.0% 0.0% 6.1%
上記以外 0 0 0 7 0.0% 0.0% 0.0%

馬格があるほうが優勢

好成績を残しているのは前走時の馬体重が『480~499㎏』のエリア。ある程度の馬格があるほうが優勢という傾向はあるが、『500~519㎏』は過去10回で勝利ゼロ。しかし『520㎏以上』は11頭のうち3頭が勝ち、3着以内に5頭が入る好成績。今年もその点を考慮してみるのも面白いかもしれない。[表3]

[表3]前走の馬体重別成績(過去10回)

1着 2着 3着 4着以下 勝率 連対率 3着内率
前走449㎏
以下
2 0 0 13 13.3% 13.3% 13.3%
前走450~459㎏ 0 1 0 9 0.0% 10.0% 10.0%
前走460~469㎏ 1 0 0 19 5.0% 5.0% 5.0%
前走470~479㎏ 0 1 3 17 0.0% 4.8% 19.0%
前走480~489㎏ 2 2 2 17 8.7% 17.4% 26.1%
前走490~499㎏ 2 2 2 5 18.2% 36.4% 54.5%
前走500~509㎏ 0 3 2 12 0.0% 17.6% 29.4%
前走510~519㎏ 0 0 0 5 0.0% 0.0% 0.0%
前走520㎏
以上
3 1 1 6 27.3% 36.4% 45.5%

前走がJRAだった馬が好成績

昨年はJBC2歳優駿JpnIIIを制したフォーエバーヤングが快勝したが、同レース(旧・北海道2歳優駿JpnIIIを含む)から臨んで勝利を挙げたのは、2014年のディアドムス以来。好成績を残しているのは、前走がJRAのレースだった馬となっている。南関東の重賞から臨んだ馬は19年ヴァケーション(川崎)、20年アランバローズ(船橋)が勝利しているが、全体的にみると苦戦傾向を示している。[表4]

[表4]前走別成績(過去10回)

1着 2着 3着 4着以下 勝率 連対率 3着内率
JRA 4 4 3 11 18.2% 36.4% 50.0%
南関東の重賞 2 1 2 22 7.4% 11.1% 18.5%
JBC2歳優駿(北海道2歳
優駿を含む)
2 1 0 19 9.1% 13.6% 13.6%
兵庫ジュニアグランプリ 1 4 3 18 3.8% 19.2% 30.8%
エーデル
ワイス賞
1 0 0 1 50.0% 50.0% 50.0%
上記以外 0 0 2 32 0.0% 0.0% 5.9%

馬券絡みの大半は前走1着

3着以内に入った30頭のうち25頭は前走が1着。前走4着以下からの好走例は2頭。昨年3着のサントノーレ(北海道)は前走門別の2歳オープンで1番人気6着だったが、2走前に鎌倉記念で1着の実績。20年3着ルーチェドーロは前走兵庫ジュニアグランプリJpnIIで3番人気4着だった。基本的には前走で勝利を挙げた馬が中心になる一戦だ。

勝つのはこういう馬!

4番人気での勝利が2005年を最後に途絶えているという点を踏まえると、単勝1、3、5番人気の馬が有力。前走の馬体重が400㎏台の後半、または520㎏以上だった馬にも注目だ。それに該当する馬が前走でJRAのレースを勝っていれば、さらに期待度が高くなる。

(文・浅野 靖典)

過去20年の所属別成績

  • 1着

  • 2着

  • 3着

注記

当ページの情報は、NARが特定の馬の応援や推奨などを行うものではありません。