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兵庫チャンピオンシップ~さきたま杯(第60回)

兵庫チャンピオンシップJpnⅡ

 コパノリッキーは馬なりでハナに立って、折り合いもついて、余裕の走りをしています。この乾いた馬場で、ほとんど追われずに(3ハロン)37秒5で上がるのはたいしたものです。馬体重が530キロもあって、いい馬格をしています。無事ならジャパンダートダービーでもいい勝負だったと思いますが、骨折していたのは残念でした。
 ベストウォーリアは、砂をかぶるのをいやがるところがあったかもしれません。最初は掛かり気味で岩田騎手が押さえて行きましたが、5番手あたりから無理せずに位置取りを上げてきました。勝った馬には離されましたが、3着には9馬身差をつけていますから、この馬もかなりのレベルにあると思います。ジャパンダートダービーに出てくれば勝負になるのではないでしょうか。
 ダートが初めてのバッドボーイは、芝の重賞で好走しているのでどうかと思いましたが、血統的にはダートで走ってもおかしくはないと思いますが、走りはよくなかったですね。向正面で一杯になってしまいました。

かしわ記念JpnⅠ

 ホッコータルマエは4番手から、前のエスポワールシチーを目標に、3コーナーあたりからは、それをとらえればという展開でした。ある程度先行もできて、追ってからの伸びがすばらしいです。帝王賞も楽しみです。
 エスポワールシチーは最内枠からハナに行きました。行く気を見せたピエールタイガーに競りかけられましたが、さすがに枠順もあってピエールタイガーのほうが控えざるをえませんでした。エスポワールシチーは直線を向いても粘っていましたが、ホッコータルマエの勢いには勝てませんでした。それでも8歳ですから、よく走っていると思います。
 ローマンレジェンドは3コーナーから追い通しで、直線は伸びませんでした。休み明けだからでしょう。ここを叩いて、帝王賞はきっちり仕上げてくると思います。
 テスタマッタは1~2コーナーあたりで完全に掛かってしまい、抑えがききませんでした。向正面でようやく落ち着きましたが、最後は伸びを欠いて4着。この馬は折り合いをつけられるかどうか、ですね。
 ナイキマドリードは好位の3番手、絶好位を進んで、川島正太郎騎手がうまく乗りましたが、マイルの距離で、さすがにここまでメンバーのレベルがあがってしまうと、勝負になりませんでした。今回は中央の馬が強すぎました。

さきたま杯JpnⅡ

 テスタマッタは前走から戸崎騎手で、かしわ記念を経験していたのが大きかったです。スタートで少しタイミングが遅れて、そのまま行ったのでは包まれてしまいますから、意識的に最後方まで下げたのでしょう。それで外に持ち出して、向正面で位置取りを上げて行きました。前4頭が競り合って流れが速くなったこともありますが、今回はまったく掛かることもなく、スムーズな競馬ができました。戸崎騎手の好判断、好騎乗でした。
 セイクリムズンは、競り合った4頭を前に見て5番手から、いい位置を追走しました。負けはしましたが、ナイキマドリードをとらえて、テスタマッタに迫りました。強いレースをしましたが、今回はそれ以上にテスタマッタにうまく乗られたということでしょう。
 ナイキマドリードは先行争いの3番手からで、直線でも先頭で、よく3着に粘りました。川島正太郎騎手もうまく乗っていると思います。

佐々木竹見(ささきたけみ)
元川崎競馬所属騎手。地方競馬通算7,151勝という世界歴代6位(当時)の勝ち鞍を挙げ、2001年7月8日に騎手を引退。
引退後も2012年3月までNAR地方競馬全国協会参与として後進の指導にあたる等、地方競馬の発展に大きな役割を果たし続けている。