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TCK女王盃~川崎記念(第68回)

TCK女王盃JpnⅢ

 これが引退レースとなったメーデイアですが、やはり牝馬同士では抜けて強かったですね。ワイルドフラッパーがハナに立って、メーデイアが直後でマークしてという展開。3コーナー過ぎから2頭が3番手以下との差を広げて、直線は叩き合いになりました。最後はメーデイアが突き放して2馬身半差、それも2キロ余分に背負ってですから、どちらも力を出し切って、完勝という内容でした。3着には5馬身差ですから、この2頭は実力が一枚上でした。勝ちタイムも良馬場で1分51秒4は、かなり優秀です。
 ワイルドフラッパーは、今回は2着でしたが、今後もダート牝馬路線に出走してくるようであれば、メーデイアに替って中心的な存在になると思います。
 カラフルデイズは外枠でしたが、スタート後は先行集団のうしろまで一旦下げて、内に入れました。4コーナーでもラチ沿いを突いて、直線でもそのまま最内から伸びてきました。1、2着馬との差は仕方ないですが、福永騎手の好騎乗での3着でした。以前であれば、中央の騎手が大井の4コーナーで最内を突くという騎乗はほとんど見られませんでしたが、レースをよく見ていたと思います。
 12月に船橋のクイーン賞を制したアクティビューティは、向正面から積極的に前2頭から離されないように仕掛けて行っていました。今回はその勝負に行ったぶん、最後に苦しくなっての4着だったと思います。

川崎記念JpnⅠ

 トウショウフリークが後続を離して逃げて、緩みのないペースになりました。ホッコータルマエは離れた2番手から。ただトウショウフリークの脚質や実力はわかっていますから、幸騎手は落ち着いて乗っていました。他の有力馬は限られていて、力関係もだいたいわかっていますから、乗りやすかったというのもあったでしょう。3コーナーあたりでとらえに行ってというのは、おそらく考えていたとおりだと思います。直線に入ってから追い出して、最後はムスカテールを抜かせませんでした。他の馬が並んできたら抜かせないところがこの馬の強いところです。スタートダッシュもいいですし、相手次第で、逃げることも、控えることもできるのが、この馬の強みです。
 ムスカテールは、直線でホッコータルマエに迫りましたが、半馬身以上に差は詰まりませんでした。おそらくどこまで行ってもこの差は詰まることなく、それが力の差だったと思います。馬体を併せにいかず、離れたところから一気に交わしに行くことができればチャンスはあるかもしれません。
 トウショウフリークは今回も掛かって行ってしまいました。武豊騎手が乗ってこれですから、抑えのきかない難しい馬なのでしょう。この距離のレースであれば、1周目のスタンド前の直線でペースを落として、向正面に入ってから仕掛けていけばいいのですが、この馬は向正面までずっと抑えきれないままでした。普通なら3コーナー過ぎでバッタリというパターンですが、直線まで粘って、2着のムスカテールからは5馬身離されましたが、それでも3着によく残ったと思います。ダイオライト記念あたりに出てくれば、ホッコータルマエが(ドバイ遠征で)いませんから、楽に逃げられればチャンスはあるかもしれません。

佐々木竹見(ささきたけみ)
元川崎競馬所属騎手。地方競馬通算7,151勝という世界歴代6位(当時)の勝ち鞍を挙げ、2001年7月8日に騎手を引退。
引退後も2012年3月までNAR地方競馬全国協会参与として後進の指導にあたる等、地方競馬の発展に大きな役割を果たし続けている。