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第60回 2013年7月19日 ボンネビルレコード

 地方と中央に所属し、『ボンちゃん』という愛称で、多くの人たちから愛されているボンネビルレコード。07帝王賞と08かしわ記念、08日本テレビ盃など通算タイトルは7勝。ゴールデンコンビ大井の帝王・的場文男騎手と、どんなときでも必ず追い込んでくる根性たっぷりの走りでダート界をわかせました。10歳だった昨年、年末の東京大賞典(9着)がラストランとなり、フリオーソとともに合同引退式を行い現役から退きました。

 皆さんもご存じのように、ボンネビルレコードの第二の馬生は大井競馬場の誘導馬です。引退から半年経ち、帝王賞JpnⅠの日にお披露目されました。

 その前日、優駿スプリントの本馬場入場時に出走馬たちのいちばん後ろからついていく練習をしたそうですが、途中でたまたま馬群の中に入ってしまい、競走馬としての本能が戻ってきたのか元気になる姿が見られたそうです。「あのまま厩舎に戻ってカイバを食べさせたので、『今は走らなくていいんだなぁ』っていうことを、覚えは早い馬なので理解してくれたと思います。一緒に積み重ねてきたことは間違いなかったんですが、帝王賞前日のことだったし、夜は眠れなかったですね」と坂口昇さん。この半年間、ボンネビルレコードの教育係としてほぼ毎日二人三脚で練習をして苦楽を共にしてきました。

 帝王賞は6年連続出走し、なおかつ相性抜群だった思い出のレース。当日は、2レース(9レースと帝王賞)を担当しました。雨が降りしきる悪コンディションの中でしたが、誘導馬としてのお仕事をしっかりとこなしていました。半年前までは速く走ることを使命にしてきましたが、真逆と言ってもいいことを一生懸命に取り組んでいる姿に感動を覚えた人も多かったでしょう。

 無事にお仕事を終えて馬場から引き上げてきたとき、騎乗していた坂口さんはボンネビルレコードの首筋をポポ~ンと大きく愛撫。「これまで一緒にやってきたのを信じていたし、安心はしていたんですが、前日のことがあったので、そのギャップには涙が出るほどうれしかったですね。この短期間で頑張ってくれて、今日の点数は100点満点以上です。(ボンネビルレコードに)ありがとうって言いたいですね」(坂口さん)。

 お披露目は無事に終わりましたが、誘導馬としてはまだまだ新米なので、その成長を追っていくのも楽しみです。今は、栗毛の先輩たちドルチェ君やクレッセーノ君がそばにいて、ボンネビルレコードにとっても心強い存在。しばらくはメインレースを中心に誘導する予定だそうです。

 「これからは大井競馬場のいちばん中心となる誘導馬になって欲しいし、誘導馬に乗る人たちにいろんな面を教えていく教官馬としても頑張ってもらいたいです」(坂口さん)。

 11歳夏を迎えたボンネビルレコード、第二の馬生も立派に歩み始めました。



高橋華代子(たかはしかよこ)
元NHK山形放送局キャスター。
現在は南関東競馬を中心に活動中。
・南関魂
・TCKホームページ重賞情報
・楽天競馬
・ウェブハロン
・サンケイスポーツ
・ターファイトクラブ会報誌
・南関東競馬フリーペーパー
 『pocopoco(ポコポコ』
など