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第65回 2013年12月20日 アブクマポーロ

 地方競馬の一時代を築いた名馬アブクマポーロ。1997年に行われた東海ウインターSや1998年の東京大賞典、帝王賞、川崎記念など数々のビッグタイトルを手中に収め、2年連続でNARグランプリ年度代表馬に輝き、1998年のダートグレードレース競走最優秀馬も受賞。今でも地方競馬を代表する最強馬の1頭として名前が挙がります。

 「何か話し合うときは、しんちゃん(楠新二厩務員)と石崎さん(石崎隆之騎手)、ポーロの4人で話し合っている感じで、ポーロもみんなの話しを聞いているようでしたよ。ときには、どう生きるのかを悟っているような表情をするときもあって、人間っぽいところのある頭のいい馬でしたね」と、管理していた出川克己調教師は振り返ります。

 そんなアブクマポーロも今年21歳。長きに渡ってにいかっぷホロシリ乗馬クラブで過ごしてきましたが、11月上旬から北海道の石狩市にある乗馬クラブ・オーフルホースコミューンに移動したそうです。

 「まだうちに来て1か月ちょっとですが、とても元気ですよ。環境が変わったことでピリピリしているところはありますが、頭も行動も若いし、そういう馬は長生きすると思います。東京からも会いにきてくれたり、馬服を送ってくださったり、ファンの多い馬ですねぇ」とオーフルホースコミューンの斉藤武彦さん。

 実は、以前一緒に過ごしていたアラブのシゲルホームランもここで余生を過ごしているそうで、お互いに呼び合ったり、近づくと息をかけあったりして、とても仲がいいそうです。

 アブクマポーロはここでのお仕事をすでに始めていて、主に女性の会員さんたちが乗って楽しんでいくそうです。これからも元気に過ごして長生きして欲しいと思います。

 アブクマポーロの見学については、ふるさと案内所のホームページをご覧ください。
http://uma-furusato.com/

 ふと、この記事を書きながら、1998年の東京大賞典のことを思い出しました。私自身は東北から上京したばかりで、大好きだった岩手の雄メイセイオペラの応援で大井競馬場へ……。ライバルたちがとまって見えるかのようなアブクマポーロの末脚を目の当たりにして、あまりにも強すぎて衝撃を受けたことを思い出します。

 しかし、アブクマポーロはその前年の東京大賞典は3着に敗れていました(優勝 トーヨーシアトル)。「帰りの馬運車の中で、ポーロは怒りながらずっと蹴りまくっていました。あんなポーロを見たのは後にも先にもありません。よほど納得がいかなくて悔しかったんでしょうね」(出川調教師)。

 アブクマポーロにとって1年越しの忘れ物を取り戻した、1998年の東京大賞典。

 あれから、15年の月日が流れようとしています。






高橋華代子(たかはしかよこ)
元NHK山形放送局キャスター。
現在は南関東競馬を中心に活動中。
・南関魂
・TCKホームページ重賞情報
・楽天競馬
・ウェブハロン
・サンケイスポーツ
・ターファイトクラブ会報誌
・南関東競馬フリーペーパー
 『pocopoco(ポコポコ』
など