各地で行われる2歳馬による重賞競走のレースハイライトをピックアップしてお届け。

第40回 栄冠賞

6/30(火) 門別 1200m  タイニーダンサー Movie競走成績

2013年生まれ世代日本最初の重賞勝ち馬は、
サウスヴィグラス産駒のタイニーダンサー!

 日本国内で1番最初の2歳重賞馬は、門別競馬場から誕生する。毎年その栄誉の行方に大きな注目が集まるとともに、未来を約束されたと言っても過言でないほど、この「栄冠賞」の優勝馬は出世するケースが多い。古くはオリオンザサンクス(南関東三冠)、エンゼルカロ(函館2歳S優勝)、また記憶に新しいところでもネフェルメモリー(南関東牝馬二冠)、クラーベセクレタ(南関東二冠)など、のちに全国区の活躍を見せる馬たちが栄冠賞の優勝馬に名を連ねている。近3年の優勝馬を見ても、シーギリヤガールはJRAオープンのすずらん賞に優勝、ノットオーソリティは南関東移籍後に牝馬重賞を4勝、ティーズアライズは今年の東京プリンセス賞を制し、牝馬ながらに東京ダービーへも挑戦するなど、その栄冠の持つ輝きは色褪せていない。

 今年の「第40回栄冠賞」に顔を揃えたのは牡馬6頭、牝馬6頭の計12頭。1番人気は、前走のアタックチャレンジで7馬身差圧勝を収めたスティールキング(牡、角川秀樹厩舎、父シルバーチャーム)で2.0倍。2番人気は、デビュー戦を圧倒的なスピードで逃げ切って8馬身差をつけたモダンウーマン(牝、角川秀樹厩舎、父サウスヴィグラス)で3.1倍。3番人気は、今季門別開幕日のスーパーフレッシュチャレンジに勝利して2歳世代で最も早く勝ち名乗りを挙げたプレイザゲーム(牡、田中淳司厩舎、父パイロ)で7.0倍。この3頭が単勝10倍を切る人気を集め、4番人気エイシンキロオル(牡、松本隆宏厩舎、父マンハッタンカフェ)、5番人気タイニーダンサー(牝、角川秀樹厩舎、父サウスヴィグラス)が10倍台でつづく戦前の評価だった。

 当日の門別競馬場は、日中から降りつづく雨がダートコースを湿らせ、脚抜きの良い馬場状態。栄冠賞発走の時刻(20時40分)になっても小雨が降ったり止んだりという状況で、稍重馬場発表でのゲートインとなった。スピード決着が予測されるなか、ゲートをまっ先に飛び出してハナを奪ったのはモダンウーマン。7番人気ランランラン(牝、田中淳司厩舎、父エクラヴァンクール)がこれに絡んでいき、9番人気フレンチイデアル(牡、田中正二厩舎、父キンシャサノキセキ)、プレイザゲーム、エイシンキロオルらも早めに追走。スティールキングは外から中団につけ、タイニーダンサーは後方3番手を追走するという隊列になった。4コーナーをまわって直線に入ると、楽に逃げていたモダンウーマンが後続を引き離しにかかる。これを追いかけたのは、道中内でじっと我慢をして、コーナーワークを利してポジションをスルスルと上げてきたタイニーダンサー。直線で一完歩ずつ前との差を詰め、残り100mのハロン棒あたりで捕えて力強くゴール板を突き抜けた。3馬身後方の2着にモダンウーマンが粘り、4コーナーで一旦置かれたプレイザゲームが再び伸びて3着。1番人気のスティールキングも外から追い込んだものの、離れた4着が精一杯だった。

 2013年生まれ最初の重賞馬となったタイニーダンサーには、7月26日(日)にJRA函館競馬場で行われる「函館2歳ステークス(GⅢ)」への出走権が与えられた。その2歳馬離れした大人びたレース内容から、2007年のハートオブクィーン以来となるホッカイドウ競馬所属馬による優勝を期待したくなる逸材だ。

 また、このレースでワンツーしたタイニーダンサーとモダンウーマンには共通点が多い。父はサウスヴィグラス、グランド牧場のオーナーブリーディングホース、角川秀樹厩舎所属と、2頭のプロフィールがほとんど同じなのだ。同じ父を持つ牝馬が同じ牧場で、わずか17日の間に2度産声を挙げ、同厩舎に所属して日本一早い2歳重賞で1・2着したという奇跡のような話が、門別グランシャリオナイターの舞台で実際に起きた。まるで今年の2歳戦がミラクルに満ちたものとなることを予感させるような、2歳重賞の幕開けだった。
桑村真明騎手
どんな競馬でもできる馬なので、道中のポジションは気にしていませんでした。4コーナーでも手応えは十分で、前が開いた狭いところも怯まずに伸びてくれました。冬場から期待していた馬だったので、結果を出せて嬉しいです。まだまだ強くなると思いますので、応援してください。
角川秀樹調教師
良い状態で出走させることができたので期待していました。思っていたより後ろからの競馬となりましたが、根性のあるところを見せてくれましたね。軽い馬場とはいえ、時計も立派だと思います。サウスヴィグラス産駒なので芝は走ってみないと分かりませんが、馬場が渋って時計がかかるようならチャンスもあるのではないでしょうか。

 
文:浜近英史(うまレター)
写真:小久保巌義