ダートグレード競走を中心としたレースハイライトや、シリーズ競走等の特集、各種連載など盛りだくさんの情報をお届けします。
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特集

グランダム・ジャパン2018

GRANDAME-JAPAN2018

レーススケジュール

古馬シーズン
レース名 実施日 競馬場 距離 地区
佐賀ヴィーナスカップ 6/10(日) 佐賀 1,400m 九州
スパーキングレディーカップ JpnⅢ 7/5(木) 川崎 1,600m 南関東
ノースクイーンカップ 7/18(水) 門別 1,800m 北海道
兵庫サマークイーン賞 7/27(金) 園田 1,700m 北陸・東海・近畿
読売レディス杯 8/14(火) 金沢 1,500m 北陸・東海・近畿
ブリーダーズゴールドカップ JpnⅢ 8/16(木) 門別 2,000m 北海道
ビューチフルドリーマーカップ 8/26(日) 水沢 1,900m 東北
秋桜賞 9/11(火) 名古屋 1,400m 北陸・東海・近畿
レディスプレリュード JpnⅡ 10/11(木) 大井 1,800m 南関東
 地方競馬では、牝馬競走の振興と牝馬の入厩促進を図るため、今年で9年目となる 世代別牝馬重賞シリーズ 「GRANDAME-JAPAN2018(グランダム・ジャパン2018)」を実施します。

 全国各地で行われる牝馬重賞を世代別に体系づけ、競走成績によりポイントを付与。2歳、3歳、古馬の世代別ポイント獲得上位馬に対し、協賛各団体から日本軽種馬協会を通じボーナス賞金が授与されます。地方競馬の優れた牝馬の活躍の舞台を広げるとともに、交流を促進して魅力ある牝馬競走の実施を目指します。
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大井 1,800m

ゴール前の接戦制しJBCへ
GDJはディアマルコが女王に

 ダートの大種牡馬・アジュディケーティングが死亡して3年半が経つ。アジュディミツオーなど多くのダートグレードウイナーのみならず、アンサンブルライフが今年のさきたま杯JpnⅡでも3着に食い込んでいるように、息長く活躍馬を輩出。ダート競馬の拡大時期を支えた英雄だった。
 そのアジュディケーティングを軸としたベルモントファーム生産馬も、地方競馬を中心に一時代を築いた。今ももちろん実力馬を生産しているが、活躍馬は枚挙にいとまがなく、時代を彩る存在が次々と脳裏をよぎる。ノスタルジーと言うと大げさだが、十年一昔。“ベルモント血統”という響きを聞けば、一陣の風が胸をサッと吹き抜ける。
 プリンシアコメータはそれを思い起こさせてくれる存在。ベルモントファーム生産馬で、母の父はアジュディケーティング。そして母の全姉には、川崎所属として2004年のマリーンカップGⅢを制したベルモントビーチ。地方初参戦となった昨年のJBCレディスクラシックJpnⅠで、いきなり2着と気を吐いたのも、血の成せるわざと納得させられた。
 そして、この日も血が騒いだ。外の3番手を軽快に追走したプリンシアコメータは、3コーナー過ぎで抜群の反応を示し、直線で敢然と抜け出す。ゴール手前で外から大井のブランシェクールが急追するも、しぶとい粘り腰を発揮し、アタマ差で退けた。昨年のクイーン賞JpnⅢに続く重賞2勝目は、やはり南関東の地。ゴール手前で交わされそうになりながらも、最後までしのぎ切ったあたり、“血の利”があったか。
 鞍上のジョアン・モレイラ騎手は、これが地方での重賞初勝利となった。香港を拠点に、いまや日本のファンにも広く知られるようになった35歳のブラジリアン。「地方で(重賞を)初めて勝てて、本当にうれしい」と喜ぶ姿が印象的だった。
 惜しかったのは2着のブランシェクール。先団追走から抜群のタイミングで仕掛け、直線では勝ち馬を上回る脚いろだった。吉原寛人騎手は「馬体も絞れていたし、いい位置にもつけられました。でも、最後に併せにいったら相手も伸びて……」と、悔しさと落胆の入り交じった表情で話した。ただ、大井転入後の3戦が今ひとつだっただけに、復調のきざしは見えた。同じことは3着のアルティマウェポン(北海道)にも言えそうで、ともにタイトル奪取のチャンスは十分だろう。
 このレース連覇を目指したクイーンマンボは単勝1.7倍の1番人気に推されたが、中団のまま伸びず7着に敗れた。「反応が良くなかったし、あまり進んでいかなかった」とクリストフ・ルメール騎手。昨年の圧勝ぶりからも能力は確かだが、近況はリズムが今ひとつ。軌道修正が待たれるところだ。
 なお、グランダム・ジャパン(GDJ)古馬シーズンは、このレースが最終戦。8着だったディアマルコが合計52ポイントとし、高知所属馬として初となる総合優勝を果たした。佐原秀泰騎手は「3歳のときも(永森)大智さんが乗った昨年も(GDJで)優勝できなかったので、やり遂げた気持ちがあります」と笑顔。JBCレディスクラシックJpnⅠを使う意向を知らされると、「出走できたならグランダムの代表として頑張りたいですね。先生(那俄性哲也調教師)も僕も、中央は初めてになるから楽しみです」と期待に胸をふくらませた。
 もちろん、勝ったプリンシアコメータもJBCレディスクラシックJpnⅠへ向かう意向を示している。そもそもJBCは生産牧場が主導するダートの祭典であり、優秀な血をつなぐための選定の場。そこへ“ベルモント血統”が、前哨戦の覇者として挑むというのも胸に迫るものがある。プリンシアコメータのJBC挑戦は、地方で育まれた血の挑戦でもある。

GDJ古馬シーズン優勝、ディアマルコ
取材・文:大貫師男
写真:宮原政典(いちかんぽ)

コメント

J.モレイラ騎手

初めて騎乗しましたが、以前のVTRも見たし、前走も同じレースで(別の馬に)騎乗していたので、イメージはできていました。最後は外からプレッシャーをかけられたけど、それにも耐えてくれました。コンディションが良かったし、競馬場も合っていたと思います。また地方で重賞を勝てるように頑張ります。

矢野英一調教師

ペースはそこまで速くなかったと思うのですが、決め手勝負になると他馬が来るかもしれないから、3コーナーの手前から行ったほうがいいと話していました。最後に気を抜く面があるのを騎手も分かっていて、ナイスな騎乗をしてくれました。次走はJBCレディスクラシック。昨年の雪辱を果たしたいですね。