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佐々木竹見元騎手がダートグレード各競走を“鉄人”の目線で鋭く解説!

2020年8月5日(水)

第108回 北海道スプリントカップ~ジャパンダートダービー

北海道スプリントカップ JpnⅢ

勝ったメイショウアイアンは、好スタートでしたが、下げて中団の外目を追走しました。先行勢を見ながら追走できるので、外枠はかえってよかったと思います。早めに位置取りを上げて、4コーナーでは2番手。馬も強かったですが、鞍上の判断もよかった。最後はハナ差で2着は同着ですから、どれが勝ってもおかしくはなかった。これは鞍上を褒めるべきでしょう。それにしても中央馬相手に10歳で、よく勝ったと思います。

マテラスカイは楽な感じで単騎で逃げていました。直線を向いてあたりでもまだ余裕がある感じで、これで負けたのでは仕方ありません。

帝王賞 JpnⅠ

クリソベリルは、流れ次第でどこからでもレースができるのが強みです。今回は3番手で、道中は余裕の追走でした。4コーナー手前で他の有力馬が追い出しても、手応え十分のまま。好位につけていって、レースの上り3ハロンが36秒4のところ、36秒2で上がられては、後続の馬たちはかないません。外国遠征帰りでもまったく影響はなかったようで、あらためて力の違いを見せました。

オメガパフュームは、淡々とレースが流れていたことから、いつもより前目の中団につけました。クリソベリルが相手とわかっていますから、早めに仕掛けて4コーナーでは射程圏にとらえる位置まで進出しました。最後、脚色が一緒になってしまったのは早め早めの競馬をしたぶんかもしれません。それだけにクリソベリルの強さが目立ちました。テンが速くなって末脚を生かせる展開になればもう少し際どいレースになったかもしれません。

チュウワウィザードも、オメガパフュームと同じ上り36秒5。直線、伸びてはいるんですが、脚色が同じになってしまいました。この馬の能力は発揮しましたが、勝った馬が強すぎました。

ジャパンダートダービー JpnⅠ

勝ったダノンファラオは2番手につけていきました。向正面ではずっと手を動かしていましたが、飛びが大きくて追わせるタイプなので、積極的に行ったのはよかったと思います。おそらくマイルあたりでは追走に一杯になってしまい、2000メートルやそれ以上長い距離で能力を発揮するタイプだと思います。坂井瑠星騎手の好騎乗だったと思います。

逃げたダイメイコリーダが2着に粘って、結局は前に行った2頭の決着でした。平均ペースで楽に逃げられたので、ダノンファラオには交わされましたが、3着馬には5馬身差がありました。

ブラヴールは4着でしたが、4コーナーでもまだ後方から直線よく追い込みました。これからまだまだ強くなると思います。

勝ちタイムが2分5秒9で、レースの上りが39秒8ということでは、それほど厳しい流れではなかったですが、カフェファラオは案外な凡走でした。3番手の絶好位につけましたが、3コーナー過ぎから追い通しになって、直線まったく伸びませんでした。ユニコーンステークスのレースぶりからは、ここで負けるとは思いませんでした。1コーナーで躓いた影響もあっただろうし、ユニコーンステークスから中2週足らずという間隔が短かったこともあったかもしれません。まったく能力を発揮していません。

佐々木竹見(ささきたけみ)

元川崎競馬所属騎手。地方競馬通算7,151勝という世界歴代6位(当時)の勝ち鞍を挙げ、2001年7月8日に騎手を引退。
引退後も2012年3月までNAR地方競馬全国協会参与として後進の指導にあたる等、地方競馬の発展に大きな役割を果たし続けている。