競馬ブックタイアップ 競馬プレミアムウィークの見どころ特集コラム

Vol. 01

年末年始も大熱戦!競馬プレミアムウィーク2023-2024の注目レース紹介

執筆:競馬ブック 岡田絋幸

 先日に行われたジャパンカップでは、GⅠ5連勝中のイクイノックスが単勝1.3倍の支持に応える走りを見せ、後続に4馬身もの差をつける完勝を収めた。当日の東京競馬場には、コロナ禍以降で最多となる8万5866名が入場し、詰めかけた大勢の観客はスターホースが魅せる圧巻のパフォーマンスに沸いた。徐々に入場制限が緩和されてきたことで、競馬場にもかつての賑わいが戻ってきたように感じる。
 地方競馬に目を移せば、全日本的なダート競走の体系整備によって各地の2歳戦に重賞級認定競走(ネクストスター)が新設され、重賞競走の早期化が見られる地区も見られた。来たる2024年から始まるダート三冠競走や新体系となる古馬戦線に向け、全国的に高揚感が漂っている。
 様々な変化があった2023年もあっという間に終わりを迎えそうだが、年末には中央、地方各場でビッグレースが目白押しで、まだまだ今年の競馬は終わらない。2024年の競馬を占ううえで重要なレースも年始にかけて多く存在し、ひと時も目を離せない期間が続く。競馬プレミアムウィーク中に施行される、各地の見どころとなるレースをピックアップし、それぞれについて軽く紹介していきたい。

12月20日兵庫ゴールドトロフィー園田 ダート1400m

 例年、地区交流競走で良績を残してきた勢力が多数参戦してくることから、過去22回の勝ち馬はすべてJRA所属馬となっている。
 昨年は59キロの斤量を背負ったラプタスが、単勝オッズ1.6倍の支持を受けたシャマルとの激しい追い比べを制して交流重賞5勝目を挙げた。終わってみれば、4着までをJRA勢が占める結果となった。
 2番人気に支持された地元の雄イグナイターは馬体に重めが残って精彩を欠き、5着に敗れた。ただ、馬体が絞れた次戦以降では本来の動きを取り戻し、翌年のJBCスプリントで兵庫所属馬初のJpnⅠ制覇を達成することとなる。
 全国レベルのスプリンターによる年末の最終決戦は見逃し厳禁だ。

2022年/兵庫ゴールドトロフィー/ラプタス

12月21日ゴールドカップ浦和 ダート1400m

 南関東所属馬によって争われる重賞競走。これが浦和では年内最後の重賞競走となる。2008年に復活して以降、ナイキマドリード(2011年、2012年連覇)、ソルテ(2015年、2017年制覇)、ブルドッグボス(2019年、2020年連覇)とダートグレード競走を制した馬たちが名を連ねている。
 昨年は、年内で重賞2勝を含む6戦6連対と絶好調だったスマイルウィが、逃げるサルサディオーネを捉え切り、サンタアニタトロフィーに続いて重賞連勝。その勢いのまま、翌年のさきたま杯ではのちにJBCスプリントを制すイグナイターと0秒1差の2着に好走し、今も大きな存在感を示し続けている。
 今年もダートグレード級の実力馬たちによる熱戦が繰り広げられそうだ。

2022年/ゴールドカップ/スマイルウィ

12月21日名古屋グランプリ名古屋 ダート2100m

 競馬場の移転に伴い、昨年から距離が2500mから2100mに変更された。チャンピオンズカップ(旧ジャパンカップダート)、東京大賞典が同時期にあることから、一線級が参戦してくるケースは少ないが、過去にはヴァーミリアン(2006年優勝)、ニホンピロアワーズ(2011年優勝)、チュウワウィザード(2018年優勝)など、のちにGⅠを制す馬が優勝しており、将来を嘱望される馬が名を揚げるレースとしての注目度は高い。
 昨年は東海三冠を達成したタニノタビトが地元馬代表として立ち向かったが、中央勢の層は厚く、結果的に5頭出走してきたJRA勢が掲示板を占拠する形となっている。

2022年/名古屋グランプリ/ペイシャエス

12月23日中山大障害JRA中山 芝・障害4100m

 障害界のチャンピオンホースを決める国内最高峰の障害競走だ。本競走は1934年に東京優駿に匹敵する中山の名物レースとする目的で創設され、何度かの距離変更を経て今の形となった。
 J・GⅠ9勝をあげ、障害レース界に一時代を築いたオジュウチョウサンが昨年で現役を退いた。今年はここまで9つの障害重賞が行われてきたが、複数の重賞に勝ったのは東京ジャンプステークス、阪神ジャンプステークスを制したジューンベロシティのみ。昨年の中山大障害を制したニシノデイジーが今年未勝利であることをも踏まえれば、絶対王者が退いたことで群雄割拠の時代が訪れたとの見方ができよう。この混戦を断つ新星の登場に期待したい。

2022年/中山大障害/ニシノデイジー(提供:JRA)

12月23日阪神カップJRA阪神 芝1400m

 暮れの阪神を締めくくる1400m戦のスーパーGⅡ競走。スプリンター、マイラーが一堂に会して熱戦が繰り広げられる。
 昨年はスワンステークス(阪神1400m)で掲示板内を確保した4頭に加え、海外帰りの有力馬も出走し、豪華メンバーが揃った。激戦を制したのは1400mを得意としていたダイアトニック。連覇を狙うグレナディアガーズの追撃を退け、重賞連勝で引退の花道を飾った。ダイアトニックは1400m戦で重賞4勝をあげ、距離成績は(8.1.1.0)と、この距離のスペシャリストと呼ぶに相応しい戦績を残した。その前後の距離成績が(2.2.2.10)であることを踏まえれば、阪神カップこそこの馬にとっての大一番だったと言えそうだ。
 GⅠでの実績を度外視し、1400mでの実績を最重要視して予想を組み立てるのも面白いのではないか。

2022年/阪神カップ/最後の直線 優勝馬:ダイアトニック(提供:JRA)

12月24日有馬記念JRA中山 芝2500m

 ファン投票によって選出されたスターホースたちによるドリームレース。ここ数年でファン投票の数が急激に伸びてきた点に、競馬ブーム再来の兆しが窺える。
 トリッキーと称されることの多い中山2500mは、コーナー6つをこなす器用さはもちろんのこと、高低差の激しいコースであるためスタミナとパワーも求められる舞台だ。歴代の勝ち馬には、日本を代表する名馬たちの名がズラリと並んでいる。
 昨年は3歳牡馬イクイノックスが他を寄せ付けない末脚を駆使し、後続に2馬身半もの差をつける完勝を収めた。デビューから6戦での有馬記念制覇は史上最短で、古馬となってからの更なる飛躍を思わせる勝ちっぷりであった。その期待に応えるかのように今年はドバイシーマクラシック、宝塚記念、天皇賞(秋)、ジャパンカップを制覇。今や日本競馬史に名を刻む存在となった。

2022年/有馬記念/イクイノックス(提供:JRA)
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