女性騎手たちと親交のある、
競馬リポーターの大恵陽子さんが、
彼女たちの日々の様子や
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発信していきます。
(毎週金曜 更新予定)

COLUMN

Vol.40 新記録!佐々木世麗騎手


女性騎手の記録が一つ、更新されました。

「新人女性騎手の最多勝(デビューから1年)」というもので、これまでは2005年10月にデビューした山本茜 元騎手がマークした66勝が最多勝記録でした。
2010年にはミサキティンバーとのコンビで重賞・ゴールドウィング賞を制し、翌年の東海ダービーはハナ差2着など、重賞レースでも活躍したジョッキー。

その新人記録を更新したのは佐々木世麗騎手(園田・姫路競馬)。

11月9日の園田第11レースをアカリンで勝って山本 元騎手の記録に並ぶと、翌10日、その日2鞍目の園田第3レースをマロンドクイーンで勝って記録更新を決めました。

「素直に嬉しいです」

と笑顔で戻ってきた佐々木騎手。

今年4月のデビューから約7カ月での67勝目で、前日から報道陣も多く、記録更新へのプレッシャーもあったのではないかな?と思っていたところ

「あと1勝で、どこかで勝てればと思っていました。
一つ一つ勝ち星を重ねていって、気づいたらこれだけ勝たせていただいていました」

とのこと。

続けて
「新子先生と親に感謝の気持ちを伝えたいです。
これからもがんばって記録を伸ばしていこうと思います」
と意気込みを語りました。

まだデビュー前の騎手候補生だった昨夏から、所属厩舎の新子雅司調教師とパーソナルトレーニングに通っていた佐々木騎手。
デビューしてからも調教終わりには木馬に乗って騎乗フォームを確認し(Vol.14)、レース後にはその日の全レースを振り返る作業(Vol.35)をどれだけ忙しくても欠かしませんでした。

いま、地方競馬教養センターにはデビューを目指す女性が在籍しています。

「これからデビューする女性たちが『この記録を超えるなんて、無理じゃないか』と感じるくらいの成績を残せるように、と思っています。
『女やからアカン』じゃなくて、やるべきことを一生懸命取り組めばできるんだ、というところを彼女たちにも見せたいですね。ジョッキーはプロの仕事ですから」

こう語るのは新子調教師。

かつては「力仕事は男の役割」「女性は料理ができて当たり前」といったジェンダーによる固定概念がありましたが、近年は男女関係なく、個々人が努力しながら個性を生かす時代。

競馬もきっとそうだと個人的には感じます。

佐々木騎手の新記録樹立が、今後の一つの道しるべとなって、より多くの女性が騎手デビューし、もっと勝つ騎手が増えれば、とても好循環だと感じます。

そういった意味で、先駆者の一人は宮下瞳騎手(名古屋競馬)。

佐々木騎手も「憧れの一人ですし、目標にしています!」と尊敬の眼差しを送ります。

宮下騎手は地方通算1000勝まであと6勝。
来週15日から名古屋競馬は5日間開催されます。
達成すれば、新しい扉がまた開けそうで、こちらも楽しみに待ちたいと思います。

  • 大恵 陽子競馬ファン歴25年 女性競馬リポーター

    グリーンチャンネル「アタック!地方競馬」ウェストアタッカー(ゲスト)、 「地方競馬中継」コメンテーターなど競馬番組出演や、イベント MC、コラム執筆などで活躍中。

  • 大恵 陽子
    競馬ファン歴25年
    女性競馬リポーター

  • グリーンチャンネル「アタック!地方競馬」ウェストアタッカー(ゲスト)、 「地方競馬中継」コメンテーターなど競馬番組出演や、イベント MC、コラム執筆などで活躍中。