女性騎手たちと親交のある、
競馬リポーターの大恵陽子さんが、
彼女たちの日々の様子や
最新ニュースなどを
発信していきます。
(毎週金曜 更新予定)

COLUMN

Vol.41 1000勝!10代から見守る師匠の言葉


2021年11月18日、名古屋競馬第2レースをリアルスピードで勝ち、宮下瞳騎手(名古屋競馬)が地方通算1000勝を達成しました!

国内女性騎手では初の快挙。
15日から始まった今開催では初日から2勝を上げて順調に勝ち星を積み重ねると、前日の最終レースを勝ってメモリアルに王手をかけました。

そして、この日の1鞍目を勝っての1000勝達成。

「瞳ちゃん、おめでとう!」

と、調教師のみならず検量室の職員さんたちからも声をかけられ

「ありがとうございます!」

と笑顔を弾けさせながら馬から降りてきました。

その様子を嬉しそうに見つめていたのは師匠の竹口勝利調教師。
宮下騎手が「ジョッキーになりたい」と中学を卒業して鹿児島から単身で名古屋に来た時からの師匠です。

「うちには子供がいないけどさ、我が子以上だよ」

と目を細めます。

「私も体調が悪くて、瞳がこうして復帰していなかったら、いま頃は引退していたと思います。
それが、ある日突然『先生、またジョッキーをやろうと思うんです』と厩舎に来て言ってね。
瞳が1000勝するのと、競馬場が移転して新しくなるまでは頑張って調教師を続けようと思って、原動力になっていました」

ニッコニコの竹口調教師につられてこちらまで笑顔になります。
ふと見ると、今日は黒い革のジャケットでピシッと決めていて、心なしかいつもとは違う雰囲気。



  • ▲写真はたまたまこの表情ですが、終始にこやかでした。


「そりゃあ、人には言えないけど、今日1000勝するだろうなと思っていました。
よその厩舎でいい馬にたくさん乗せてもらっていましたからね」

1000勝目となったリアルスピードも藤ヶ崎一人厩舎の馬なのですが

「ハナには行かない馬と聞いていて、包まれないように乗っていましたね。3コーナーでは前2頭から離されて『あー』と思ったけど、4コーナーくらいで『これはやったな』と思いました」

と見守っていたようです。

そしてレース後、藤ヶ崎調教師から

「竹口先生、一緒に写真を撮りましょう」

と声をかけられ、師匠の竹口調教師も口取り写真に収まることができました。


  • ▲口取り撮影に向かう藤ヶ崎一人調教師(左)と、
    後ろを歩く竹口勝利調教師

「写真を撮れるなんて思っていなかったから、嬉しいね。思い出に残るよ。
瞳には『おめでとう』って、それだけ。
普段から喋っているから、その言葉だけで十分。
でもね、初めて瞳と握手をしたよ」

騎手も調教師も勝負の世界に身を置きます。
竹口調教師にとっては他厩舎の馬が勝ったことになるのですが、
そんなことよりも愛弟子が勝ったということが本当に嬉しくて言葉があふれる!といった様子でした。

また、兄弟子でもある宇都英樹 元騎手(調教師)はこう話します。

「すごいと思います。
復帰する時は『危ないから』と反対しましたけど、女性騎手で1000勝は前人未踏ですもんね。
勝ち気な性格もあって達成できたのだと思います。
怪我なく記録を伸ばしてほしいですね」


  • ▲「おめでとう!」と祝福し、握手をする宇都英樹調教師(右)

宮下騎手ご本人はこう話します。

「夢のようで、まだ実感がわきませんが、本当に嬉しいです。
息子たちに『ママ、やったよ!』と伝えたいです」

翌19日、つまりこのコラムが掲載される日には1000勝達成セレモニーが名古屋競馬場で行われます。

その様子は来週のコラムでお伝えできればと思います。

宮下瞳騎手、本当におめでとうございます!

  • 大恵 陽子競馬ファン歴25年 女性競馬リポーター

    グリーンチャンネル「アタック!地方競馬」ウェストアタッカー(ゲスト)、 「地方競馬中継」コメンテーターなど競馬番組出演や、イベント MC、コラム執筆などで活躍中。

  • 大恵 陽子
    競馬ファン歴25年
    女性競馬リポーター

  • グリーンチャンネル「アタック!地方競馬」ウェストアタッカー(ゲスト)、 「地方競馬中継」コメンテーターなど競馬番組出演や、イベント MC、コラム執筆などで活躍中。