女性騎手たちと親交のある、
競馬リポーターの大恵陽子さんが、
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(毎週金曜 更新予定)

COLUMN

Vol.42 ママ、ヘルメット貸して?


11月18日に地方通算1000勝を達成した宮下瞳騎手(名古屋競馬)。
そのセレモニーが翌19日、名古屋競馬場で行われました。

急遽決まったセレモニーにもかかわらず、名古屋競馬場には多くのファンが訪れたほか、
奇しくもこの日、調教師試験への合格が発表された別府真衣騎手(高知競馬)からもお祝いのお花が届きました。


  • ▲「瞳さんの勝負服カラーのお花を贈りたい」と別府騎手

宮下騎手がママさんジョッキーとして2016年に復帰する時、宮下騎手の持つ女性騎手最多勝記録に迫っていたのが別府騎手で、最多勝争いが注目されていた二人。

お互いにライバルとして認め合い、時には「負けませんよ~」と言い合って、ファイティングポーズでこんな写真を撮ったこともありました。

別府騎手は

「出産後、また復帰して活躍する(宮下)瞳さんはカッコいいし、尊敬します」

と、いつも話し、宮下騎手も2020年のレディスヴィクトリーラウンドでは

「休養中の(別府)真衣ちゃんの分もがんばります!」

と意気込みを語っていました。

そんなよき戦友からのお祝いのお花が、記録の偉大さをさらに物語っているようでもありました。

また、この日は二人の息子さんもママをお祝いするため、勝負服がプリントされたお揃いのTシャツを着て駆け付けました。

手には、勝負服カラーのブーケ。

小学4年生のお兄ちゃんはすっかり顔つきも性格も頼もしくなっていて、弟の様子を気にかけながら
セレモニーの主役のママへサプライズでブーケを渡しに行きました。


  • ▲後ろで師匠の竹口勝利調教師も心配そうに見つめます

すると、宮下騎手はママの表情になってブーケを受け取ります。

息子さんたちは恥ずかしがって、ブーケを手渡すなりダッシュで帰って行ってひと笑いが起きましたが、そんな姿さえも愛らしく思えるのです。

二人とも乗馬クラブに遊びに行ったりして、一人で大きな乗用馬にも乗れるそうです。

「長男はジョッキーになりたいみたいなことをボソボソと言っているのですが
改めて聞くと、『ならないよ』って言うんです(苦笑)。
でも、最近は『ジョッキーって楽しいの?』とかいろいろ聞いてきます」

と嬉しそうに話す宮下騎手。

復帰当初から「カッコいいママの姿を見せたい」と語っていましたが、
その姿は間違いなく息子さんたちに伝わっているようで、
小さい頃は「仮面ライダーになりたい!」と言っていたお兄ちゃんも、すっかりたくましくなりました。

そして1000勝達成セレモニーの後。
お兄ちゃんが報道陣に囲まれる横で、弟くんはこっそりとママのヘルメットを借りて被っていました。

そこへ、何か言葉をかける宮下騎手。

二人だけの秘密の会話は、とてもほんわかした空気が漂っていました。

改めて。
宮下騎手、地方通算1000勝、おめでとうございます!


  • ▲私から宮下騎手へ、「祝1000勝」刻印のりんごジュースのプレゼント。
    息子さんたちと一緒に飲んでください。
  • 大恵 陽子競馬ファン歴25年 女性競馬リポーター

    グリーンチャンネル「アタック!地方競馬」ウェストアタッカー(ゲスト)、 「地方競馬中継」コメンテーターなど競馬番組出演や、イベント MC、コラム執筆などで活躍中。

  • 大恵 陽子
    競馬ファン歴25年
    女性競馬リポーター

  • グリーンチャンネル「アタック!地方競馬」ウェストアタッカー(ゲスト)、 「地方競馬中継」コメンテーターなど競馬番組出演や、イベント MC、コラム執筆などで活躍中。