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2009/01/08
『NARグランプリ2008』表彰馬・表彰者決定!




NARグランプリ2008 優秀馬選定委員会 選定経過

◆サラブレッド2歳最優秀馬
 アンペア(北海道)

 エーデルワイス賞(JpnIII)のアンペア、そのアンペアを地区重賞で2回降し南関東に移籍して東京2歳優駿牝馬を楽勝したネフェルメモリー、JRAの京都2歳ステークスに勝ち重賞でも好走したイグゼキュティヴ、全日本2歳優駿(JpnI)で2着のナサニエル、他にもモエレエキスパートやワンダフルクエストなど例年どおり層の厚さを誇った北海道勢と、ハイセイコー記念に勝ち全日本2歳優駿で3着となった船橋のナイキハイグレードが候補に上がった。
 ダート、芝とも牡馬にタイトルホースがなかったこと、唯一のタイトルホースである牝馬のアンペアがネフェルメモリーとの対戦比較で分が悪かったことが選定を難しくしたが、最終的にアンペア、ネフェルメモリー、ナイキハイグレードの3頭に絞られた中から、やはりタイトルの重みが決め手となり、唯一のJpnタイトルホースであるアンペアが票を集めることとなった。


◆サラブレッド3歳最優秀馬
 ドリームスカイ(川崎)

 サクセスブロッケン以下、層の厚さを誇ったJRA勢に対して苦戦を強いられた地方競馬のこの世代。G/Jpnタイトル馬がない中では、例えば全国交流出走実績はないが金沢3冠馬で古馬相手にも重賞を連勝したノーブルシーズなども評価の対象に加えるべきとの声も出た。その上で、やはり東海ダービー馬ヒシウォーシイとノゾミカイザーの東海有力2騎や兵庫ダービー馬バンバンバンクも出走していたジャパンダートダービー(JpnI)での成績を重視すべきとの意見が大勢を占め、その3、4着馬であるコラボスフィーダとドリームスカイの南関東2頭が最終的な候補となった。
 両馬の比較では、ジャパンダートダービーでの着順は下であるが、東京ダービーという地区レベルでは最高のタイトルを獲得し、そこでコラボスフィーダを始めモエレラッキー、ディラクエ、ギャンブルオンミーら南関東有力馬のほとんどを降しているドリームスカイに全委員の票が集まった。


◆サラブレッド4歳以上最優秀馬
 フリオーソ(船橋)

 2008年にJpnタイトルを獲得した馬が5頭、他にJpnIの入着馬が4頭あったこの部門だが、最優秀馬は帝王賞(JpnI)馬フリオーソで文句のないところ。異論の余地なく全委員の票を集めた。同馬は2006年にサラブレッド2歳最優秀馬、2007年に同3歳最優秀馬に選定されており、3年連続での年齢別最優秀馬受賞となる。


◆アラブ最優秀馬
 該当馬なし

 アラブの入厩頭数は2008年11月現在でついに100頭を下回り、アラブ単独の競走も僅かとなった。もちろん、全国レベルの競走も実施されようがない現状である。選定委員会では、このような状況での選定の考え方自体が議論の対象となったが、例えば限られた中であっても1頭ずば抜けた成績と能力を示した馬や、ある程度の実績を持ったサラブレッドを相手に重賞勝ちを果たした馬があった場合はともかく、単に相対比較で1頭を選定するものではないという意見が大勢を占めた。
 2008年については、デラノキセキ、バクシンオー、ユノフォーティーンらの名があがったものの、どの馬も特別な1頭とまでの評価を得るには至らず、前年に続いて該当馬なしという結論となった。


◆ばんえい最優秀馬
 ナリタボブサップ

 ばんえい競馬の最高峰がばんえい重量1トンで争うばんえい記念であることは異論が少ないだろうが、逆にこの特殊な競走条件が故に、ばんえい記念のエキスパートを生むといった面も少なからずある。近年でいえばトモエパワーがそれにあたるだろう。それでも2007年には、このばんえい記念の他に帯広、岩見沢の両記念勝ちを加えて文句なしの最優秀馬に選定された同馬であるが、2008年はばんえい記念の1勝のみ。もちろん、この1勝の重みは大きいものの、年間の最優秀馬とするにはもうひとつ決め手を欠くという印象があった。一方、ナリタボブサップはばんえい記念に次ぐ競走である帯広記念を始め旭川記念、北斗賞の3重賞を制し、また、着外が僅か2回というばんえいではめずらしい堅実な成績で1年間トップホースであり続けた。タイプの違う両馬の比較は難しいところであるが、最終的にはナリタボブサップの年間を通しての好成績を推す声が上回り、最優秀馬に選定された。


◆最優秀牝馬
 トーセンジョウオー(船橋)

 2008年にG/Jpn競走を制した地方競馬の牝馬は2頭。1頭は2歳のアンペアで、もう1頭がトーセンジョウオーである。同馬は2008年に2戦1勝。脚部不安により限られた競走回数に止まったこともあって、エンプレス杯(JpnII)とマリーンカップ(JpnIII)を制した2007年の成績には及ばないが、それでもスパーキングレディーカップ(JpnIII)で破った相手は、ダート牝馬のトップホースの1頭であるメイショウバトラーであり、しかも1キロ重い負担重量を背負っての4馬身差快勝である。この1勝には大きな価値があるとの評価がされ、満場一致で同馬が2年連続での最優秀牝馬に選定された。


◆最優秀短距離馬
 フジノウェーブ(大井)

 1200mの東京盃(JpnII)の勝ち馬フジノウェーブ、1400mのクラスターカップ(JpnIII)を勝ったプライドキム、1400mのJBCスプリント(JpnI)で3着に健闘したアルドラゴンがいたこの部門。中ではタイトルホースであり、かつ、そのタイトルがこの部門の基本距離である1200mの2008年最高の競走であることから、フジノウェーブを推す意見が圧倒的だった。
 同馬はJBCスプリントに勝った前年に続いての2年連続受賞となる。


◆最優秀ターフ馬
 イグゼキュティヴ(北海道)

 芝でのG/Jpnタイトルホースがいなかった2008年。中央競馬のオープン特別に勝ったイグゼキュティヴとモエレエキスパート、北海道の2歳2頭では札幌2歳ステークス(JpnIII)での対戦比較からイグゼキュティヴの評価が高く、候補馬を同馬1頭に絞っての議論となった。
 過去のこの部門の受賞馬と比較して重賞タイトルがない点は減点材料とならざるを得ないものの、同馬は北海道所属馬が比較的参戦しやすい函館、札幌のみならず、秋シーズンに入っても積極的に芝競走に遠征しており、京都2歳ステークス制覇という一応の成果を残している。また、対戦相手がロジユニヴァースを筆頭に中央競馬のトップクラスの馬だったことが評価を高める要因となり、該当馬なしとの声もあったが、最優秀馬に相応しいとする意見が多数を占める結果となった。


◆年度代表馬
 フリオーソ(船橋)

 各部門最優秀馬から1頭を選ぶとなればフリオーソをおいて他にない、これが全委員の一致した意見であり、異論の余地なく同馬が2年連続の年度代表馬に選定された。
 帝王賞(JpnI)、ダイオライト記念(JpnII)の勝利はもとより、川崎記念、JBCクラシック、ジャパンカップダート、東京大賞典と王道を歩みながら、常に地方競馬の期待を一身に集め続けた同馬の足跡は、まさに2008年の地方競馬を代表するに相応しいものであったと言えるだろう。


◆ダートグレード競走特別賞
 カネヒキリ(JRA)

 今回新設されたこの部門は、地方競馬、中央競馬の所属に関わりなく地方競馬で実施されたダートグレード競走で最も優れた成績を残した馬を顕彰するもの。3歳以上の馬については、一年間の総決算に相応しいメンバーで行われた東京大賞典でヴァーミリアンとの死闘を制したカネヒキリが順当に第一候補となる。一方、2歳にはスーニという逸材があって、2歳馬として地方競馬を舞台に残し得るほぼ最高レベルの成績を誇った。例えば競走馬の能力指標であるレーティングでは110という2歳ダートでは過去最高の評価を得ており、同馬が選定されなければ今後2歳馬が選定される可能性はゼロに近いとの声も出たほどだ。確かに相手がカネヒキリでなければ、そして東京大賞典のメンバーがあれ程でなければ同馬の選定も大いにあり得ただろう。しかしながら、やはりフィールドルージュを除く2008年の3歳以上のJpnT勝ち馬すべてが顔を揃えた東京大賞典の価値は絶大であり、10票対2票という投票結果でカネヒキリが選定されることとなった。


◆特別表彰馬
 ホスピタリテイ(種牡馬、2008年死亡)

 ホスピタリテイ(1979年生、牡)は、2歳時に大井でデビューし、南関東の3歳クラシック第1冠の羽田盃まで8連勝。その後中央競馬に移籍して3戦2勝で、セントライト記念ではその年の皐月賞馬アズマハンターに完勝、唯一の敗戦となった国際招待オープン(カナダのフロストキングの2着)でも、前年の菊花賞馬ミナガワマンナらに先着した。脚部不安により競走馬としてのキャリアを完成させることはできなかったが、その少ない戦歴の中で、優にチャンピオンクラスの競走能力を示したといえる。
 種牡馬となってからもその素質を産駒に伝え、中でも北海道競馬出身で皐月賞を制したドクタースパートを筆頭に、スーパーダートダービーのサンライフテイオー、南関東4場全てで重賞を制覇したハナセール、船橋出身で初期のダート格付け競走で活躍したアブクマレディー、東海ダービー馬エスエムグレート等の地方競馬関連の活躍馬を輩出している。
 地方競馬が生んだ名馬の1頭であり、種牡馬として地方競馬に残した功績も多大であるとの称賛を集め、満場一致で特別表彰馬に選定された。