データ分析 Data Analysis

ダービーグランプリ、JBCへつながる一戦

岩手競馬の3歳三冠の最終戦である不来方賞。読みかたは“こずかた”で、盛岡の旧名称だ。この重賞はダービーグランプリのJRA交流化や時期変更などに伴って、何度か日程が変わっている。そしてダービーグランプリの勝ち馬がJBCへ出走した場合に奨励金が支給されるようなった過去3回は9月の実施。岩手三冠で唯一、盛岡競馬場で行われる重賞であり、その先へとつながる面もある一戦。その傾向を、2012~21年の過去10回の結果を中心にみていくことにしたい。

■上位人気馬が優勢

過去10回はすべて盛岡競馬場のダート2000mで実施。そして勝ち馬はすべて単勝3番人気以内の支持を受けていた。とくに1番人気は3着内率90.0%と好成績。唯一の例外は2013年のハカタドンタク(4着)で、ダイヤモンドカップで2着に入った実績はあったが、その後は3戦連続で芝に出走という経歴だった。一方、4番人気以下からは2着に4頭、3着に6頭が入線。ただ、16年以降の連対馬はすべて、3番人気以内となっている。【表1】

[表1]単勝人気別成績(過去10年)

1着 2着 3着 4着以下 勝率 連対率 3着内率
1番人気 5 2 2 1 50.0% 70.0% 90.0%
2番人気 3 3 1 3 30.0% 60.0% 70.0%
3番人気 2 1 1 6 20.0% 30.0% 40.0%
4番人気 0 1 1 8 0.0% 10.0% 20.0%
5番人気 0 1 3 6 0.0% 10.0% 40.0%
6番人気以下 0 2 2 53 0.0% 3.5% 7.0%

■馬番別の成績をチェック

不来方賞の出走可能頭数は12頭。過去10回において12頭立てで行われたのは2012~14年と18年の4回だけとなっている。一方、もっとも少頭数で行われたのは20年の8頭。その条件ではあるが、馬番別の成績をまとめてみると、全体的に有意差は少ないように見える。ただ、9番と10番から連対馬が1頭も出ていないのは気になるところだ。【表2】

[表2]馬番別成績(過去10年)

1着 2着 3着 4着以下 勝率 連対率 3着内率
1番 1 1 1 7 10.0% 20.0% 30.0%
2番 2 1 0 7 20.0% 30.0% 30.0%
3番 1 0 1 8 10.0% 10.0% 20.0%
4番 1 1 1 7 10.0% 20.0% 30.0%
5番 1 0 2 7 10.0% 10.0% 30.0%
6番 0 2 1 7 0.0% 20.0% 30.0%
7番 2 1 0 7 20.0% 30.0% 30.0%
8番 1 1 1 7 10.0% 20.0% 30.0%
9番 0 0 3 5 0.0% 0.0% 37.5%
10番 0 0 0 8 0.0% 0.0% 0.0%
11番 0 3 0 4 0.0% 42.9% 42.9%
12番 1 0 0 3 25.0% 25.0% 25.0%

■東北優駿上位馬に注目

9月に実施されるようになった過去3回では、2~3走前が東北優駿(4着以内)だった馬が3着以内に1頭だけ入線。なお過去2回では、前走東北優駿(4着以内)だった馬が3着以内に3頭と関連が強い。今年もそういう経歴を持つ馬が出走してきたら、注目してみてもいいだろう。【表3】

[表3]3着内馬の近走成績(過去3年)

着順 馬名 前走 2走前 3走前
21年 1着 マツリダスティール イーハトーブM 1着 せきれい賞 3着 オパールC 4着
21年 2着 ゴールデンヒーラー ひまわり賞 1着 やまびこ賞 1着 東北優駿 4着
21年 3着 リュウノシンゲン 東北優駿 1着 ダイヤモンドC 1着 スプリングC 1着
20年 1着 フレッチャビアンカ 東北優駿 1着 ダイヤモンドC 2着 スプリングC 1着
20年 2着 ピアノマン やまびこ賞 1着 東北優駿 2着 大井・京浜盃 13着
20年 3着 グランコージー 東北優駿 4着 ダイヤモンドC 1着 川崎・クラウンC 6着
19年 1着 ヤマショウブラック 大井・黒潮盃 7着 大井・B2級 5着 大井・B2級 1着
19年 2着 ニューホープ 笠松・岐阜金賞 1着 金沢・MRO金賞 6着 金沢・B2級 1着
19年 3着 パンプキンズ ダイヤモンドC 1着 東北優駿 1着 やまびこ賞 2着

■千葉厩舎が好相性

過去10回で7頭が出走し4勝を挙げているのが千葉幸喜厩舎。しかも2着も2回で、6頭も連対している。なお前項のように好成績を残す東北優駿上位馬だが、今年は、1着グットクレンジングが板垣吉則厩舎、2着が瀬戸幸一厩舎、3、4着は菅原勲厩舎。いずれも当レースで勝利実績がある厩舎の所属となっている。【表4】

[表4]調教師別成績(過去10年)

1着 2着 3着 4着以下 勝率 連対率 3着内率
千葉幸喜 4 2 0 1 57.1% 85.7% 85.7%
板垣吉則 1 2 0 6 11.1% 33.3% 33.3%
菅原右吉 1 1 0 1 33.3% 66.7% 66.7%
小林俊彦 1 1 0 1 33.3% 66.7% 66.7%
佐藤祐司 1 1 0 4 16.7% 33.3% 33.3%
菅原 勲 1 0 2 3 16.7% 16.7% 50.0%
瀬戸幸一 1 0 2 4 14.3% 14.3% 42.9%
上記以外 0 3 6 57 0.0% 4.5% 13.6%

勝つのはこういう馬!

単勝3番人気以内というのが最初の条件。2016年以降は、前走が大井の黒潮盃だったヤマショウブラックを除いて、前走が重賞または準重賞で1着だった馬が勝利している。コーナー4回で最後の直線に上り坂がある2000mは、地方競馬では盛岡だけ。実力差が出やすいコース設定といえるだろう。

(文・浅野靖典)

注記

当ページの情報は、NARが特定の馬の応援や推奨などを行うものではありません。