番外編 SJT総括

写真:いちかんぽ、NAR

●SJT川崎 第1戦

 村上忍騎手のプリティーパインは、先行集団4〜5頭のうしろのいい位置につけて、3〜4コーナーで外から一気にまくってきました。直線で1番人気のキタサンメールを競り落としたのは、終いの決め手の差だったように思います。
 御神本騎手のキタサンメールは、4コーナーまで先頭で手ごたえが楽でしたから、このまま勝てるかと思って見ていたのですが……。先行勢の中で残ったのはこの馬だけで、さすがに1番人気に支持されただけあって、このメンバーでは力上位でした。



●SJT川崎 第2戦

 戸崎騎手のラヴァリーズームはダッシュよく飛び出すと、ほかに競りかけてくる馬もいなかったので、楽にハナに立ってマイペース。手ごたえもずっと楽なままでの逃げ切りでした。
 吉原騎手のエンジンソウルは3着でしたが、4コーナーで前3頭が並んだ直後の絶好の位置にいました。あそこで内を突いて、直線でちょっと狭くなる場面があったのは残念でした。すんなり抜けられていれば2着はあったかもしれません。4コーナーで内を突くのか、外に出すかの判断は、川崎競馬場の勝負どころの難しいところです。


●SJT名古屋 第3戦

 三村騎手のニホンピロルーシーと東川騎手のホウライパレードが並ぶように先行しましたが、3コーナー過ぎで東川騎手のほうが後退したので、単独先頭に立った三村騎手のほうが、ここで楽になりました。ゴール前はちょっと脚が上がったような感じもありましたが、よく粘りました。道中、かなり楽に走っていたので、そのぶんがあったと思います。
 ゴール前で岡部騎手のシーセラピスが追い込んできました。スタートはよかったのですが、すぐに控えています。道中、耳を立てて走っているので、あまりまじめに走っていないのかもしれません。ゴール前では差し切ったかとも思いましたが、クビ差届かず残念でした。馬がまじめに走れるようになれば、もっと強くなると思います。


●SJT名古屋 第4戦

 勝った木村騎手のスウィングダンスは、好スタートを切って内から行く馬を行かせて、砂を被らない外の絶好位につけました。スローな流れで、折り合いもよくついていました。向正面で仕掛けましたが、行くのであれば、こういうふうに一気に先頭まで行き切ってしまうのが正解です。そして4コーナーあたりでは馬に息を入れていますから、楽にレースを運べました。終いまでしっかり伸びています。連勝中でもあり、ここでは馬の力が違いました。
 吉原騎手のホウライオーカンが、最後に差を詰めて惜しい3着でした。スタート後はうしろから3番手、向正面でもう少し前に行けていれば、きわどいところまであったかもしれません。ただこういう馬は早めに仕掛けてしまうと、終いに伸びないというパターンもあるので難しいところです。吉原騎手は1つも勝たずに優勝ですから、すべてのレースで確実に上位の成績を残したということでしょう。


佐々木竹見(ささきたけみ)
NAR地方競馬全国協会参与。地方競馬通算7,151勝という世界歴代6位(当時)の勝ち鞍を挙げ、2001年7月8日に騎手を引退。
 現在は地方競馬教養センターなどで後進の指導にあたる。