高い能力の一方、気持ちにムラがあるため好走と凡走を繰り返していたが、プロキオンSで重賞初制覇を果たすと、1戦を挟んだのち水の浮く不良馬場の金沢・白山大賞典、浦和・浦和記念と連勝。逃げて押し切る形がすっかり板についた。今回は浦和記念以来2カ月半ぶりのレースとなるが、この馬の特徴を手中に収めた感のある川田将雅騎手が騎乗予定となれば、鬼に金棒。佐賀競馬場で生まれ育った川田騎手は当地の重賞にも滅法強く、年2回行われるダートグレード競走は佐賀記念、サマーチャンピオンともに各3勝を挙げている。

無敗の牝馬三冠馬デアリングタクトをクビ差抑えて昨年の金鯱賞を制したギベオンが、初めてのダート戦に挑む。3歳時にはNHKマイルCでゴール直前まで先頭を走って2着。その年の暮れ、中日新聞杯で重賞初制覇を果たし、同じ中京芝2000㍍が舞台の金鯱賞を逃げ切って2年3か月ぶりの勝ち星を手にした。軽い走りをする馬が多いディープインパクト産駒だが、母コンテスティッドはエイコーンSなどアメリカでダートGI2勝。秘めたる能力は一線級で、小回りの佐賀2000㍍はコーナーが6回と多いため、集中力を切らさずに走れそうな舞台である。

JRAでオープン特別2勝を挙げる実績馬。ダート1700m～1800mで6勝を挙げ、初の地方参戦となった前走の名古屋グランプリでは3番手外から勝負所で自ら動いて2着。最後は勝ったヴェルテックスの決め手に屈した形となったが、一旦は先頭に立ち力を見せた。オープン特別での2勝も2着の前走も、好走の一因は揉まれない位置で先行できたことだろう。先行して最後までバテない脚が一つの武器で、小回りと地方の砂への適性も示しただけに、ここでも外目の枠が当たればかなり面白い存在になりそう。鞍上はコンビ2勝を挙げる藤岡康太騎手の予定。

ダート1800㍍で5勝。昨年10月のオープン特別・太秦Sでは、のちのみやこS勝ち馬メイショウハリオをアタマ差おさえて勝利を収めた。オープン入り後は強い馬相手に苦戦することもあるが、先行して抜け出す競馬で強さを見せる馬。地方初参戦となった前走の名古屋グランプリでは2番手で先行するものの、3頭の先行争いで序盤にややペースが速くなったことに加え、3～4コーナーで外から2着ケイアイパープルに来られて失速してしまい、8着。展開が向けば力は発揮できそう。前走に続き岩田望来騎手が騎乗予定で、ここを勝てば同騎手は重賞初制覇となる。

2017年平安S、18年アンタレスSと制覇し、18年暮れに佐賀競馬へ移籍した。550㌔を超える雄大な馬体と、豊富なスピードゆえに抱える蹄の弱さから、近年は能力を十分に発揮できないレースが続いていたが、昨年11月に九州大賞典を勝ち、約1年ぶりの勝ち星を手にした。それは同レース初の3連覇でもあり、年末には佐賀版有馬記念とも言われる中島記念を制覇。小回りの佐賀競馬場ではトビの大きなフォームを持て余すこともあったが、2000㍍を超えるとその強さを遺憾なく発揮できる。前走はプラス15㌔での出走で8着だっただけに、当日は馬体が絞れているかも鍵となりそう。

1勝クラスを勝つまで3戦続けて2着3回と足踏みをしたが、昨年2月に勝利を挙げると、返す刀で2勝クラスも勝利。ともに、好位～中団からしっかり差し脚を伸ばした。3走前には得意とする東京2100㍍の赤富士Sを勝ってオープン入り。初のダートグレード競走となった浦和記念は残り1000㍍を切ったあたりで自ら動いて行くも、3コーナー手前で後続に飲み込まれて7着と、厳しい展開となった。前走の門司Sでは上がり3ハロン3位タイでジワジワと伸びて5着に入っており、2回目のダートグレード挑戦でさらなる前進を狙う。