データ分析 Data Analysis

3歳ダート女王の名をかけた戦い

日本で白毛馬初の重賞制覇が成し遂げられたのは2008年の関東オークス。現在JRAで注目を集めるGI馬・ソダシの近親にもあたるユキチャンと武豊騎手による大記録だった。そんな歴史も持つ関東オークスは南関東牝馬三冠路線を歩んできた馬、他地区の重賞で活躍した馬、そしてJRAからはダート実績の高い牝馬が集う。地方馬にとっては南関牝馬三冠レースの最終戦であり、グランダム・ジャパン3歳シーズン最終戦という意味も持つ一戦を、ここでは2012年~21年まで過去10年のデータから傾向を探る。

JRA9勝の一方、3着以内には南関東勢が多数

過去10年で地方馬による勝利は12年アスカリーブル(船橋)の1頭のみ。JRAが9勝と圧倒的な強さを見せるが、注目すべきは2,3着。南関東4場(川崎、大井、船橋、浦和)の所属馬が2着4回、3着5回と上位に食い込んでいる。過去10年では13年以外の全ての年で地方馬が3着以内に入っており、見逃せない。また、遠征馬の頭数は多くないが兵庫から参戦のトーコーニーケも14年に2着に入っている。

[表1]所属別成績(過去10年)

所属 1着 2着 3着 4着以下 勝率 連対率 3着内率
JRA 9 5 5 21 22.5% 35.0% 47.5%
川崎 0 1 0 21 0.0% 4.5% 4.5%
大井 0 0 3 15 0.0% 0.0% 16.7%
船橋 1 2 0 18 4.8% 14.3% 14.3%
浦和 0 1 2 3 0.0% 16.7% 50.0%
兵庫 0 1 0 4 0.0% 20.0% 20.0%
地方他地区 0 0 0 21 0.0% 0.0% 0.0%

人気の信頼度は高い

4番人気以内の馬が9勝、2着7回、3着6回で3着内率は55%と、人気上位4頭の信頼は厚い。歴史をさかのぼっても1番人気の勝利が多いレースで、過去10年で最も人気薄での勝利は18年のハービンマオ(JRA)で6番人気。この年は1番人気を含む3頭がハイペースで逃げ・先行勢を形成し、ハービンマオが中団から差すという内容だった。

[表2]人気別成績(過去10年)

人気 1着 2着 3着 4着以下 勝率 連対率 3着内率
1番人気 3 2 1 4 30.0% 50.0% 60.0%
2番人気 4 2 2 2 40.0% 60.0% 80.0%
3番人気 1 1 3 5 10.0% 20.0% 50.0%
4番人気 1 2 0 7 10.0% 30.0% 30.0%
5番人気 0 2 1 7 0.0% 20.0% 30.0%
6番人気 1 0 1 8 10.0% 10.0% 20.0%
7番人気以下 0 1 2 70 0.0% 1.4% 4.1%

真ん中よりやや内の枠が好成績

馬番別で成績を見てみると、複数勝利を挙げているのは7番。フルゲート14頭立てでちょうど真ん中の枠となる場所で、これよりやや内の枠で3着内率が比較的高くなっている。川崎競馬場は3~4コーナーがタイトなため、枠も含めた立ち回りの上手さが求められるコースでもある。

[表3]馬番別成績(過去10年)

馬番 1着 2着 3着 4着以下 勝率 連対率 3着内率
1番 0 0 2 8 0.0% 0.0% 20.0%
2番 1 0 0 9 10.0% 10.0% 10.0%
3番 0 1 1 8 0.0% 10.0% 20.0%
4番 1 0 0 9 10.0% 10.0% 10.0%
5番 1 0 1 8 10.0% 10.0% 20.0%
6番 1 3 3 3 10.0% 40.0% 70.0%
7番 2 2 1 5 20.0% 40.0% 50.0%
8番 0 1 0 9 0.0% 10.0% 10.0%
9番 0 0 1 9 0.0% 0.0% 10.0%
10番 1 1 0 8 10.0% 20.0% 20.0%
11番 0 1 0 9 0.0% 10.0% 10.0%
12番 1 0 1 8 10.0% 10.0% 20.0%
13番 1 1 0 6 12.5% 25.0% 25.0%
14番 1 0 0 4 20.0% 20.0% 20.0%

注記:14年、21年は12頭立て、15年、17年、18年は13頭立て

東京プリンセス賞組が好成績

過去10年で3着以内に入った馬の前走を見てみると、5月上旬に行われる兵庫CS(園田1870m)と、3月下旬~4月上旬の伏竜S(JRA中山1800m)組が各2勝。4頭ともJRA馬で、14年エスメラルディーナや17年クイーンマンボはともに兵庫CS3着からの関東オークス優勝だった。牝馬とあって、牡馬混合レースでの敗戦は大きく負けたものでなければあまり気にしなくていいかもしれない。また、南関東所属馬では東京プリンセス賞組が好成績。なお、東京プリンセス賞を含む南関東牝馬三冠をかけて挑んだ19年トーセンガーネットは3着、20年アクアリーブル、21年ケラススヴィアは2着だった。

[表4]3着以内馬の前走別成績(過去10年)

前走 1着 2着 3着
兵庫CS 2 1 1
伏竜S 2 0 0
鳳雛S 1 1 1
JRA特別レース(端午S・青竜S・昇竜S) 2 1 0
東京プリンセス賞 1 3 2
その他 2 4 6

勝つのはこういう馬!

まずはJRA所属馬で、前走で兵庫CSや伏竜S、鳳雛Sなどダート1700メートル以上のレースを走っている馬を狙いたい。奇をてらって伏兵を狙うより、素直に人気を信じていいだろう。また、南関東所属馬で前走・東京プリンセス賞組に要注目。今年はスピーディキックが南関東牝馬二冠で、06年チャームアスリープ(船橋)以来、史上2頭目の南関東牝馬三冠馬の座をかけて出走してくれば、期待は高まる。

(大恵 陽子)

過去20年の所属別成績

  • 1着

  • 2着

  • 3着

注記

当ページの情報は、NARが特定の馬の応援や推奨などを行うものではありません。