父ハタノヴァンクールは現役時にJpnIジャパンダートダービーとJpnI川崎記念を優勝。スティールグレイスが誕生した2020年世代は7頭しか産駒がいない中で、種牡馬となった父に初めての重賞タイトルを授けた。ここまで5戦4勝、敗れたのは混合重賞の栄冠賞（6着）だけと、地元馬では抜けた存在となっている。前走のリリーC（門別1200m）では大外から脚を伸ばして、2着馬に3馬身差を付ける快勝。その時は重馬場で、前々走のフローラルC（門別1600m）も不良馬場での勝利であった。エーデルワイス賞は過去3年続けて重馬場での開催となっているだけに、馬場も味方してくれる可能性も。

デビュー3戦目となる2歳未勝利戦（中山1200m）では、一番人気に応えて、待望の初勝利をあげる。ただ、メイクデビュー福島（福島1150m）、2歳未勝利戦（新潟1200m）と異なった競馬場でも連続して2着と、安定感溢れるレースを続けてきた。父ヘニーヒューズは2020年、2021年と2年連続でJRAのダートリーディングサイアーとなっており、今年も3年連続での首位に向けて2着以下を大きく引き離している。ヘニーヒューズ産駒は同レースを勝利していないものの、後継種牡馬のアジアエクスプレス産駒のソロユニットが2020年の同レースを優勝している。先行力もあるだけに大崩れも無さそうだ。

父マインドユアビスケッツは、現役時にG1ドバイゴールデンシャヒーンを連覇するなど、ダート短距離戦で活躍。本年度デビューした初年度産駒もまた、父の得意としたダートに加えて、芝でも勝ち鞍を重ねている。マルカラピッドもまた、メイクデビュー小倉（芝1200m）で14着に敗れると、次走はダートの2歳未勝利戦（中京1200m）を選択。好スタートから先団を形成し、最後の直線ではいち早く抜け出して初勝利をあげる。現役時の父は鮮やかな末脚を武器としていたが、本馬を含めて産駒は先行力があり、掲示板キープ率も高い。未勝利戦のように積極的なレースができたのならば、3着内も狙える。

僅か3戦のキャリアでフルールC（門別1000m）を制した新星がアサクサロック。初勝利をあげた2歳牝馬未勝利戦（門別1000m）では、2着馬に6馬身差をつけての逃げ切り。フルールCでは馬場の中央から鮮やかな差し切りと、同じ条件ながら全く違った競馬を見せた。父ダンカークは昨年のJpnIII JBC2歳優駿（門別1800m）を制した、アイスジャイアントも送り出すなど、産駒はダートのマイル付近を中心に活躍を見せている。アサクサロックは1000mでしか勝ち鞍をあげていないが、血統的には克服も可能なはず。母のアイスカチャンは大井在籍時も含めて地方で10勝、2着11回と堅実な走りを見せていた。

メイクデビュー新潟（新潟1200m）ではゲートの出も早く、レースの主導権を握っていく。直線では他馬に迫られるも、二枚腰を使って勝利。続くききょうS（中京芝1400m）でもハナを切ったが、初めての芝と1ハロンの距離延長も影響したのか、直線で失速して6着に敗れている。父のShacklefordは米G1プリークネスSなどG1を3勝。日本に輸入されてきた産駒はダートを中心に活躍を見せており、北米ではグレードレースの勝ち馬も送り出している。適性、距離と問題のない条件だけに、2009年にオノユウでこのレースを制している、名手武豊騎手の手綱に全てをゆだねたい。