データ分析 Data Analysis

地方馬の活躍も期待される高知唯一のダートグレード競走

舞台となる高知競馬場は小回りで、内の砂が深い一方で日によって馬場傾向が大きく異なる競馬場。すでに高知の馬場を経験していた兵庫所属馬が過去10年で、2018年エイシンヴァラー、22年イグナイターの2勝と別定戦ながら上位争い。騎手も前述2頭の下原理騎手、田中学騎手に、兵庫競馬出身の岩田康誠騎手が3勝(通算5勝は史上最多)するなど兵庫競馬との縁が深い重賞だ。ここでは13~22年の過去10年から傾向を見ていく。

地方馬も見逃せない一戦

過去10年でJRAが8勝と、一見圧倒的な強さを見せているように感じられるが、地方馬は斤量の恩恵が少ない別定戦ながら2勝、3着4回と上位争いを繰り広げている。その要因には小回りコースと、全国の地方競馬場の中でも1、2を争う砂の深さがあるだろう。特に乾いた馬場ともなればそのタフさにJRA勢は苦戦し、15年ぶりに良馬場で行われた2022年はイグナイター(兵庫)が優勝し、3着にダノングッド(高知)が入った。[表1]

[表1]所属別成績(過去10年)

1着 2着 3着 4着以下 勝率 連対率 3着内率
JRA 8 10 6 24 16.7% 37.5% 50.0%
兵庫 2 0 1 11 14.3% 14.3% 21.4%
南関東 0 0 2 5 0.0% 0.0% 28.6%
高知 0 0 1 32 0.0% 0.0% 3.0%
その他地方 0 0 0 15 0.0% 0.0% 0.0%

実績ある地方馬は軽視禁物

2番人気以内が過去10年で7勝と、人気馬がしっかり力を発揮できる一戦。一方で、2018年にはエイシンヴァラー(兵庫)が9番人気で勝ち、単勝2万3430円などやや波乱も含んでいる。特に3着には4番人気以下が7回入っており、ひも荒れも警戒した方がいいだろう。1つ前の項目と併せて、人気薄であっても地方馬は実績があれば軽視は禁物だ。[表2]

[表2]単勝人気別成績(過去10年)

1着 2着 3着 4着以下 勝率 連対率 3着内率
1番人気 3 3 0 4 30.0% 60.0% 60.0%
2番人気 4 3 2 1 40.0% 70.0% 90.0%
3番人気 1 3 1 5 10.0% 40.0% 50.0%
4番人気 0 1 4 5 0.0% 10.0% 50.0%
5番人気 1 0 2 7 10.0% 10.0% 30.0%
6番人気以下 1 0 1 65 1.5% 1.5% 3.0%

意外と内枠有利な理由は?

高知競馬場と言えば内ラチから数頭分の砂が深いことで知られるが、馬番別の成績で見ると、意外にも内めの枠に入った馬が好成績を挙げている。これはいくつか要因が考えられ、一つは有力馬に騎乗するJRA騎手は普段からインへの意識が強いこと。もう一つは、馬場傾向によってはインを使えるため。2022年は黒船賞の1つ前のレースで、好位の内を追走した11番人気馬が勝ち穴をあけると、黒船賞もイン3~4番手を進んだイグナイターが勝利。高知競馬に対する固定観念にとらわれない方がいいかもしれない。[表3]

[表3]馬番別成績(過去10年)

1着 2着 3着 4着以下 勝率 連対率 3着内率
1番~3番 4 3 3 20 13.3% 23.3% 33.3%
4番~6番 4 0 4 22 13.3% 13.3% 26.7%
7番~9番 0 4 3 22 0.0% 13.8% 24.1%
10番~12番 2 3 0 23 7.1% 17.9% 17.9%

基本は逃げ・先行有利

逃げ・先行馬が過去10年で9勝と、圧倒的な強さを誇る。小回りの競馬場ゆえ、やはり前有利で差し・追込馬にはやや厳しくなるが、末脚が身上のキングズガードは2017年と18年が2着、19年は3着と、上位争いに加わった。19年2着のヤマニンアンプリメや20年2着テーオージーニアスも中団以降から差し脚を伸ばした。

勝つのはこういう馬!

まず狙うべきはJRAの逃げ・先行馬。スピードを生かして序盤から前めで運ぶ(3コーナー5番手以内)と、勝率21.1%、3着内率47.4%と高い確率で馬券圏内に入る。地方馬では立地が近く、実力馬が揃う兵庫か、普段から深い馬場を走り慣れている地元馬に注目だろう。

(大恵 陽子)

過去20年の所属別成績

  • 1着

  • 2着

  • 3着

【注記】2008年は施行なし、11年は競走取り止め。

注記

当ページの情報は、NARが特定の馬の応援や推奨などを行うものではありません。