JBCを締めくくる2000mの頂上対決
地方競馬の祭典として2001年に誕生したのがJBC。そのメインレースとして位置付けられているのがこのJBCクラシックJpnI。金沢競馬場で行われた2021年にはミューチャリー(船橋)が地方所属馬として初制覇。その偉業が評価されて同年のNARグランプリ年度代表馬にも選出された。ただ、JRA勢が圧倒的な成績を収めていることはこれまでの歴史が証明。今年は第二のミューチャリーが現れるのか。ここでは大井で行われた過去8回(01、03、04、07、11、15、17、20年)に限定して傾向を見ていく。
大井で開催された8回は全てJRAが勝利。特に7勝を含む11連対の栗東所属馬が抜けた好成績を収めており、必ず馬券圏内に2頭以上を送り込んでいる。地方馬も南関東勢が3回の連対を果たすなど健闘はしているが、2001年マキバスナイパー、04年アジュディミツオー、07年フリオーソ(いずれも船橋)といった地方を代表するような実力馬であっても栄冠には届かなかった。【表1】
1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
JRA栗東 | 7 | 4 | 6 | 18 | 20.0% | 31.4% | 48.6% |
JRA美浦 | 1 | 1 | 1 | 5 | 12.5% | 25.0% | 37.5% |
南関東 | 0 | 3 | 1 | 43 | 0.0% | 6.4% | 8.5% |
地方他地区 | 0 | 0 | 0 | 25 | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
勝ち馬は1~4番人気で、1番人気は5勝と人気に応えるケースが目立つ。その1番人気を3着内率で上回っているのが3番人気で、馬券圏外は1度だけ。3連単や3連複といった馬券の軸には最適と言えそうだ。また8回のうち5回は上位4番人気までが3着以内を独占。2011年と20年は1→2→3番人気の決着で、3連単は250円と520円。基本的には順当な決着が多い。ただ、高配当を狙いたい方のために6番人気以下で3着以内に入った4頭を調べてみると、同年のダートグレードを勝っていたのが2頭、前走がGI/JpnIまたはGII/JpnIIで2着からの参戦が2頭。力があるにもかかわらず、人気があまりない馬は一考の余地がある。【表2】
1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
1番人気 | 5 | 0 | 1 | 2 | 62.5% | 62.5% | 75.0% |
2番人気 | 1 | 2 | 0 | 5 | 12.5% | 37.5% | 37.5% |
3番人気 | 1 | 2 | 4 | 1 | 12.5% | 37.5% | 87.5% |
4番人気 | 1 | 2 | 1 | 4 | 12.5% | 37.5% | 50.0% |
5番人気 | 0 | 0 | 0 | 8 | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
6番人気以下 | 0 | 2 | 2 | 71 | 0.0% | 2.7% | 5.3% |
JRA所属馬に絞った枠番別成績と単勝人気の平均数値を出したのが【表3】。平均人気が3.71に対して2勝を含む馬券圏5回の8枠と、人気が3.86で3勝を含む4連対の3枠が好相性と考えることができる。1枠は5頭中3着以内3回と結果だけを見れば優秀に見えるが、人気を見てみると2.40。人気馬がいたことを考慮すれば、勝ち馬が出ていないというのは気がかりな部分だ。また4枠と6枠に関しても結果はイマイチだが、上位人気馬があまりいなかったことも要因の一つ。JRA勢の枠順と当日の人気を要チェック。
1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | 単勝人気平均(番人気) | |
1枠 | 0 | 1 | 2 | 2 | 0.0% | 20.0% | 60.0% | 2.40 |
2枠 | 0 | 0 | 0 | 4 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 3.75 |
3枠 | 3 | 1 | 0 | 3 | 42.9% | 57.1% | 57.1% | 3.86 |
4枠 | 0 | 0 | 1 | 5 | 0.0% | 0.0% | 16.7% | 6.33 |
5枠 | 1 | 0 | 2 | 1 | 25.0% | 25.0% | 75.0% | 2.75 |
6枠 | 1 | 0 | 0 | 3 | 25.0% | 25.0% | 25.0% | 5.25 |
7枠 | 1 | 2 | 0 | 3 | 16.7% | 50.0% | 50.0% | 3.17 |
8枠 | 2 | 1 | 2 | 2 | 28.6% | 42.9% | 71.4% | 3.71 |
前走との距離を比較してみると距離延長組が好結果を残していることが浮かび上がってきた。勝率・連対率・3着内率で前走同距離組を下回っているのは、地方馬が多く該当していることが影響しており、5勝、2着5回の数字をここは素直に評価したい。距離延長で連対を果たした10頭の前走は、日本テレビ盃JpnII(3勝、2着3回)、マイルチャンピオンシップ南部杯JpnI(2勝、2着2回)のいずれかのみ。また2020年は帝王賞JpnI・1、2、3着馬が上半期の強さそのままに馬券圏を独占。同年の帝王賞馬は【3-2-1-1】と安定感がある。この条件に合う馬が出てくれば有力候補になってくる。
1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
前走から距離延長 | 5 | 5 | 2 | 49 | 8.2% | 16.4% | 19.7% |
前走同距離(2000m) | 2 | 2 | 3 | 13 | 10.0% | 20.0% | 35.0% |
前走から距離短縮 | 1 | 1 | 3 | 29 | 2.9% | 5.9% | 14.7% |
大井で開催された8回全てで2頭以上が3着以内に好走しているJRA栗東所属馬が中心。4番人気以内に支持されていることがV条件で、日本テレビ盃JpnIIやマイルチャンピオンシップ南部杯JpnIからの参戦や、同年の帝王賞JpnI勝ち馬であれば信頼度はさらに上がる。3、8枠に入ったJRA勢の好走が多い点も覚えておきたい。
(文・前田 恒)
1着
2着
3着
注記
当ページの情報は、NARが特定の馬の応援や推奨などを行うものではありません。