データ分析 Data Analysis

高知で唯一のダートグレード

通年ナイター“夜さ恋ナイター”を導入後、売り上げが右肩上がりの高知競馬場は、コロナ禍をきっかけにさらなる売り上げ急増が見られた。試算では今年度も過去最高額を更新する見込みで、全国から注目を集める高知で唯一行われるダートグレードが黒船賞JpnIIIだ。しかし、力を要する馬場は特殊で、特にここ数年は馬場が乾きやすくなっており、その点も注意が必要。ここでは2015~24年の過去10回から傾向を見ていく。

地方馬2頭が3着以内に入る年も

JRA馬、中でも栗東が7勝、2着9回とそれぞれの過半数を占める。地方馬が3着以内に入った年は6回(計9頭)あり、うち3回で2頭が馬券に絡んでいる。2018年は1着エイシンヴァラー(兵庫)+3着ブルドッグボス(浦和)、22年は1着イグナイター(兵庫)+3着ダノングッド(高知)、24年は2着ヘルシャフト(高知)+3着タイガーインディ(兵庫)と、いずれも兵庫所属馬+もう1頭という形だ。[表1]

[表1]所属別成績(過去10回)

1着 2着 3着 4着以下 勝率 連対率 3着内率
JRA栗東 7 9 4 26 15.2% 34.8% 43.5%
JRA美浦 1 0 0 1 50.0% 50.0% 50.0%
兵庫 2 0 3 10 13.3% 13.3% 33.3%
高知 0 1 1 30 0.0% 3.1% 6.3%
大井 0 0 1 1 0.0% 0.0% 50.0%
浦和 0 0 1 2 0.0% 0.0% 33.3%
上記以外 0 0 0 17 0.0% 0.0% 0.0%

上位人気は連対率5割超え

単勝3番人気以内は勝率26.7%、連対率53.3%、3着内率63.3%。連対率は5割を超え、安定して上位には入着するが、人気薄の好走も見られる。最も人気薄での勝利は2018年エイシンヴァラー(兵庫)の9番人気。20年にはラプタス(JRA)が5番人気で勝利と、JRA馬でも人気薄の好走があった。[表2]

[表2]単勝人気別成績(過去10回)

1着 2着 3着 4着以下 勝率 連対率 3着内率
1番人気 3 2 0 5 30.0% 50.0% 50.0%
2番人気 4 3 2 1 40.0% 70.0% 90.0%
3番人気 1 3 1 5 10.0% 40.0% 50.0%
4番人気 0 1 3 6 0.0% 10.0% 40.0%
5番人気 1 0 2 7 10.0% 10.0% 30.0%
6番人気以下 1 1 2 63 1.5% 3.0% 6.0%

4歳馬の活躍が目立つ

4~5歳のフレッシュな馬の活躍が目立つ。4歳馬は2020年から3年連続で勝利を挙げており、20年はラプタス(JRA)が重賞初挑戦で勝利。21年テイエムサウスダン(JRA)は2歳時の兵庫ジュニアグランプリJpnIIに続くタイトルで、22年イグナイター(兵庫)は古馬ダートグレード2戦目での初制覇だった。ベテラン馬では18年1着エイシンヴァラー(兵庫)が7歳、22年3着ダノングッド(高知)が10歳だった。[表3]

[表3]年齢別成績(過去10回)

1着 2着 3着 4着以下 勝率 連対率 3着内率
4歳 3 1 0 10 21.4% 28.6% 28.6%
5歳 4 3 1 10 22.2% 38.9% 44.4%
6歳 2 2 3 18 8.0% 16.0% 28.0%
7歳 1 3 2 20 3.8% 15.4% 23.1%
8歳 0 1 3 12 0.0% 6.3% 25.0%
9歳以上 0 0 1 17 0.0% 0.0% 5.6%

近年は馬場が乾きやすい

高知競馬場は砂が深く、雨が降って一度湿るとなかなか乾かないというイメージが強かった。しかし、2021年9月下旬に内馬場の練習走路の砂を入れ替えて以降は水はけが良くなった印象で、冬季でも天候や風次第では数日で馬場が乾くこともある。そこで、砂を入れ替える前の2020年と昨年とで馬場状態を比較したところ、良馬場の日は20年が12日に対し、昨年は30日(第1レース時点)と2倍以上に増えていた。
昨年の良馬場と不良馬場での脚質別成績を比較すると、良馬場になると逃げの勝率がやや下がり、先行より後ろから運んだ馬の勝率が上がる傾向にある。YouTube Liveなどではレースのラップタイムがリアルタイム表示されており、馬場が乾くと直線はバテ合いの様相。それゆえ、良馬場ではレース前半に体力を温存していた馬が上位入着するシーンがしばしば見られる。[表4]

[表4]馬場状態と脚質別の勝率(2024年)

逃げ 先行 差し 追込
29.9% 16.3.% 6.7% 3.3%
不良 40.8% 16.3% 4.9% 1.7%

勝つのはこういう馬!

過去10回で3着以内に複数回入ったことのあるリピート馬は6頭。うち4頭が勝利を挙げており、黒船賞好走馬が出走してくれば狙いたい。また、力を要する高知の馬場では地元馬同士のレースであれば最近は軽量馬の好走も見られるが、基本的には馬格がある方が有利。黒船賞優勝馬では過去10回で450kg台が2015・16年と連覇のダノンレジェンド(JRA)と20年ラプタス(JRA)のみで、他はみな500kg超えの馬体だった。

(文・大恵陽子)

過去20年の所属別成績

  • 1着

  • 2着

  • 3着

【注記】2008年は施行なし、11年は競走取り止め。

注記

当ページの情報は、NARが特定の馬の応援や推奨などを行うものではありません。