
実績馬集う2歳短距離重賞
2歳秋に行われるダート短距離重賞で、北海道で行われるダートグレードからの転戦組は少ない。JRA馬は昨年は2勝馬が1頭のみと珍しい年となったが、基本的にダートで2勝以上挙げた馬や、芝で賞金加算した馬が顔を揃え、そこに地方馬が対峙する構成。例年、人気馬の好走が多く、小回り園田コースで器用な立ち回りができる逃げ・先行タイプが強さを発揮する。ここでは2015~24年の過去10回から傾向を見ていく。
園田競馬場で行われる4つのダートグレードはいずれもJRA馬の優勝が圧倒的に多く、当レースもJRA馬が過去10回で9勝。内訳はJRA栗東6勝、JRA美浦3勝。連対率や3着内率は美浦がやや上回るが、出走頭数は立地もあってか栗東が約2倍だ。地方馬は北海道のローズジュレップが2016年に優勝し、22年スペシャルエックスが2着で、3着は3回。3着以内に入った5頭中4頭が田中淳司厩舎(例外は22年3着デステージョで角川秀樹厩舎)だった。また、大井も21年プライルードが3着に入った実績がある。[表1]
| 1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
| JRA栗東 | 6 | 5 | 4 | 17 | 18.8% | 34.4% | 46.9% |
| JRA美浦 | 3 | 4 | 2 | 8 | 17.6% | 41.2% | 52.9% |
| 北海道 | 1 | 1 | 3 | 12 | 5.9% | 11.8% | 29.4% |
| 大井 | 0 | 0 | 1 | 2 | 0.0% | 0.0% | 33.3% |
| 上記以外 | 0 | 0 | 0 | 50 | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
単勝1番人気が6勝を挙げ、3着内率80.0%からも分かるように、上位人気での決着が多い。過去10回中8回で3連単4000円未満の配当で、上位人気3頭での決着も4回あった。最も人気薄での勝利は2016年ローズジュレップ(北海道)の6番人気で、この年は2着に4番人気のJRA馬、3着に7番人気バリスコア(北海道)が入ったことで3連単30万6650円の波乱だった。なお、1番人気はJRAの牝馬で5着。牝馬は過去10回で【0・2・3・30】で連対率5.7%、3着内率14.3%に留まる。[表2]
| 1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
| 1番人気 | 6 | 1 | 1 | 2 | 60.0% | 70.0% | 80.0% |
| 2番人気 | 2 | 3 | 3 | 2 | 20.0% | 50.0% | 80.0% |
| 3番人気 | 1 | 3 | 1 | 5 | 10.0% | 40.0% | 50.0% |
| 4番人気 | 0 | 2 | 0 | 8 | 0.0% | 20.0% | 20.0% |
| 5番人気 | 0 | 1 | 3 | 6 | 0.0% | 10.0% | 40.0% |
| 6番人気以下 | 1 | 0 | 2 | 66 | 1.4% | 1.4% | 4.3% |
園田競馬場は1周1051メートルと、日本で最も1周距離が短い競馬場。逃げ・先行が有利なコースで、当レースでも逃げ・先行が3着内率50%前後と、好成績を誇る。さらに細かく見ると、1コーナーを3番手以内で回った馬は【7・5・4・14】で勝率23.3%、連対率40.0%、3着内率53.3%。仮に逃げなくとも、3番手以内を取ることで好走率は上がる。[表3]
| 1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
| 逃げ | 2 | 3 | 0 | 5 | 20.0% | 50.0% | 50.0% |
| 先行 | 5 | 6 | 6 | 22 | 12.8% | 28.2% | 43.6% |
| 差し | 3 | 1 | 3 | 34 | 7.3% | 9.8% | 17.1% |
| 追込 | 0 | 0 | 1 | 28 | 0.0% | 0.0% | 3.4% |
戦歴から好走馬を探る。過去には芝の重賞好走馬の出走もあったが、基本的にはダート実績馬の好走例が多い。中でも好走率が高いのは『JRAのダート1400m以下で2勝以上』で【5・6・2・3】(3着内率81.3%)。また、地方馬で3着以内に入った6頭中4頭が『門別・南関東の重賞(ダートグレードを含む)で1コーナー3番手以内から1~5着』という戦歴を持っていた。これに該当しなかった2頭は2016年3着バリスコア(重賞未出走、逃げ切り勝ちあり)、17年3着ソイカウボーイ(1コーナー5番手から門別の重賞勝利実績あり)だった。

JRA栗東で単勝3番人気以内の馬は【6・4・2・3】で勝率40.0%。また、グランド牧場の生産馬は過去10回で3勝を挙げる好成績。2017年ハヤブサマカオー、19年テイエムサウスダン、22年オマツリオトコで、勝率50%を誇る。今年も出走があれば注目だ。
(文・大恵陽子)

1着
2着
3着
【注記】2010年は3着同着。
注記
当ページの情報は、NARが特定の馬の応援や推奨などを行うものではありません。