人気4頭それぞれに見せ場
速い流れも積極策が奏功

　今年の梅雨は、首都圏ではゲリラ的な豪雨に悩まされているが、北陸地方は雨が少ないそうで、夏を思わせる陽気のもと、グランダム・ジャパン（GDJ）古馬シーズンが幕を開けた。
　地元馬6頭に対して遠征馬も6頭。その遠征馬の多くが、話をうかがうとGDJのタイトルに意欲満々。人気順にピッチシフター（愛知）、エーシンサルサ（兵庫）、エミーズパラダイス（船橋）、キモンレッド（大井）の4頭が単勝一桁台のオッズで人気が集中した。
　先行争いは激しいものとなった。逃げて連勝してきたエーシンサルサの木村健騎手が出ムチを何発か入れて行こうとしたが、GDJ3歳シーズンで総合3位だった高知のクロスオーバーに、エミーズパラダイスも譲らず、さらには大外から一気に地元のジョウテングレイスがハナを奪った。
　それでも3コーナー手前でエーシンサルサが先頭に立ち、先行勢のうしろでレースを進めていたキモンレッド、ピッチシフターが3～4コーナーで押し上げてきたあたりで、勝負は人気4頭に絞られた。そしてその4頭、いずれにも「勝ったか？」と思わせる場面があった。
　まずはエーシンサルサの外にぴたりとつけていたエミーズパラダイス。エーシンサルサが先頭に立ってペースが上がっても、がっちり押さえたままの吉原寛人騎手は、「このままなら突き抜けるか」と思ったという。しかし途中で競馬をやめて反応がなくなったとも。たしかに4コーナー手前あたりから懸命に追っている。
　3～4コーナー、抜群の手ごたえで上がってきたのがキモンレッド。「伸びて、よしやった」と思ったと森泰斗騎手。しかし直線を向いてエミーズパラダイスと脚色が一緒になり、落鉄もしていたという。
　同じく3コーナーから押し上げてきたのが1番人気のピッチシフター。直線で伸びあぐねていた南関東の2頭を外から交わし、さらに前のエーシンサルサもとらえるかという勢いはあった。
　しかし最後に笑ったのが、エーシンサルサだった。「物見をして手ごたえはあまりなかったんですけど、直線は伸びてくれるだろうと思って追っていました」と木村騎手。この日は人気薄でも前に行った馬が残るという馬場も味方したかもしれない。2着のピッチシフターを2馬身差で振り切っての完勝。クビ差3着にキモンレッド、半馬身差でエミーズパラダイスと、2着争いは接戦。5着のゴールドソレイユ（笠松）には8馬身もの差がついたので、やはりこの4頭は人気どおり実力も抜けていた。とはいえ、コースや距離や枠順などを変えて再戦すれば、この4頭はやるたびに着順は違うものになるのではないだろうか。
　その再戦は、エーシンサルサの地元となる第4戦、7月25日の兵庫サマークイーン賞（園田）で実現することになりそうだ。