グランダム・ジャパン タイトル
レース名 実施日 競馬場 距離 地区
読売レディス杯 7/1(火) 金沢 1,500m 北陸・東海・近畿
スパーキングレディーカップ JpnⅢ 7/2(水) 川崎 1,600m 南関東
ノースクイーンカップ 7/15(火) 門別 1,800m 北海道
兵庫サマークイーン賞 7/25(金) 園田 1,700m 北陸・東海・近畿
ブリーダーズゴールドカップ JpnⅢ 8/14(木) 門別 2,000m 北海道
ビューチフル・ドリーマーカップ 9/1(月) 水沢 1,900m 東北
秋桜賞 9/15(祝・月) 名古屋 1,400m 北陸・東海・近畿
レディスプレリュード JpnⅡ 10/2(木) 大井 1,800m 南関東
地方競馬では、牝馬競走の振興と牝馬の入厩促進を図るため、昨年に引き続き、世代別牝馬重賞シリーズ「GRANDAME-JAPAN(グランダム・ジャパン)」を実施します(創設2010年)。

全国各地で行われる牝馬重賞を世代別に体系づけ、競走成績によりポイントを付与。2歳、3歳、古馬の世代別ポイント獲得上位馬に対し、協賛各団体から(社)日本軽種馬協会を通じボーナス賞金が授与されます。地方競馬の優れた牝馬の活躍の舞台を広げるとともに、交流を促進して魅力ある牝馬競走の実施を目指します。

迷いのない逃げで押し切る
距離を克服して重賞初制覇

 雨天や不良馬場で行われることが多いこの時期の川崎競馬。特に今年は不安定な天気が続いており空模様が心配だったが、スパーキングレディーカップJpnⅢ当日は、梅雨の晴れ間に恵まれた。
 過去10年の成績を見ると、地方勢は1勝のみで中央勢が断然有利のこのレース。また、1番人気馬が馬券にからめなかったことは1度しかなく、比較的堅く収まる傾向にあった。今年も地方馬にとっては、中央の壁は厚いという結果になったのだが、一方で、断然人気馬が馬券圏外という波乱の決着となった。
 先行争いが注目だったが、「普通にスタートを切れば抜けて速いと思っていたので、迷いはありませんでした」(武豊騎手)と、大外枠から先手を主張したのはサウンドガガ。1番人気のエスメラルディーナは2番手に控えた。外3番手にアクティビューティがつけ、直後のインコースにカチューシャが位置取り中央勢が先団を固めた。少し離れた中団に、地方馬では最も人気を集めたレッドクラウディアやマイネエレーナが追走し、向正面では縦長の展開でレースが進んだ。
 3コーナーではエスメラルディーナの手ごたえがあやしくなり、代わってカチューシャが2番手に。直線は、逃げるサウンドガガ、追うカチューシャ、この2頭の一騎打ちとなった。3番手以下を大きく突き放してのその攻防は、サウンドガガの勝利。粘りに粘ってクビ差しのぎ切り、1600メートルを逃げ切ってみせた。
 2着のカチューシャから7馬身差の3着には「スムーズに流れに乗れて、直線では内の開いているところを通れた」(坂井英光騎手)という浦和のマイネエレーナが入った。
 単勝1.7倍という断然の支持を集めたエスメラルディーナは馬群に沈み7着に敗れた。前走の関東オークスJpnⅡでは他馬を寄せ付けない圧勝劇。さらに、現ダート女王のワイルドフラッパーが不在ということもあり、3歳馬ながら優勝候補に踊り出たのだが、古馬が相手ではそう甘くはなかったということなのだろうか。「初めて乗ったので分からない部分が大きいですが、3コーナーあたりから追っても手ごたえがまったく良くありませんでした。圧倒的な人気だったのにそれに応えられず申し訳ありません」と戸崎圭太騎手はコメントを残した。
 今回が重賞初挑戦だったサウンドガガは、地方、左回り、ナイターなど初物づくしにきっちりと対応してタイトルを手にした。これまでの6勝はいずれも1200メートルだけに距離の不安はあったそうだが、「最後はさすがにいっぱいいっぱいになったけど、これを押し切ってくれたことは大きいですね」(武豊騎手)と、今後に繋がる一戦になったことは間違いないようだ。
 佐藤正雄調教師からは「JBCスプリントJpnⅠ(盛岡1200メートル)も視野に入れている」という話も出た。このスピードを武器に、牝馬交流重賞のみならず、地方のスプリント戦線でも楽しみな存在になりそうだ。
 なお、武豊騎手と佐藤正雄調教師は、帝王賞JpnⅠのワンダーアキュートに続き、2週連続でのダートグレード制覇となった。
 スパーキングレディーカップJpnⅢはグランダム・ジャパン古馬シーズン第2戦でもあり、3着のマイネエレーナが10ポイントを獲得。前日の読売レディス杯を制したエーシンサルサ(兵庫)と並び、表彰対象の地方馬ではトップ。4着のカイカヨソウも7ポイントを獲得した。
武豊騎手
馬にとっては初めてのことばかりでどうかなと思っていましたが、調子がとても良かったのでそれは大きかったですね。向正面に入ると力みが抜けていい走りになって、これなら距離は大丈夫だと思いました。初めて乗った頃とは馬がまったく違うし、体調がどんどんよくなっているので今後も非常に楽しみです。
佐藤正雄調教師
前走後は短期放牧でここに照準を合わせて調整し、いい状態で臨めました。小回りですしスピードを生かして先行し、距離ロスなく運べれば粘れるんじゃないかと思っていました。最後は差されたかと思いましたけどね。調教も動くし、歳をとって精神面も落ち着いてきてこれからさらによくなると思いますよ。



取材・文:秋田奈津子
写真:宮原政典(いちかんぽ)、NAR