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第44回 2015年5月8日(金) 中華飯セット(名古屋競馬場)

名古屋競馬場
「えびすや」 中華飯セット(900円)

メニューはまさに街の中華料理屋さん
 名古屋競馬場で入ったことがない店はまだあるのだが、私が行った日は祝日のお昼どきで、しかも5人グループ。その条件に加えて、そそられるメニューがある店……を探して食堂街をさまよった結果、正門を入って右側にある中華料理の店「えびすや」という選択になった。中央の大きなテーブルに相席という形ではあったが、待ち時間なく入れたのだからタイミングがよかった。
 すると、店のお姉さまが「ハムかつ丼セットを注文されました?」と、全部のテーブルを回っている。しかし返事はすべてノー。「注文してから店を出ちゃったのかな」と、ご主人も困った顔をしていた。
 さて、我々5人衆。私以外の4人はここに入るのが初めてだったらしい。そのなかの1人が壁に貼られたメニューを見て「ハムかつ丼って珍しいですね」と興味を示していた。そしてご主人の「注文決まった?」の声に、すかさず「ハムかつ丼ください」と返事。そこで私が「セットにすれば?」と後押しすると、「じゃあ、そうします」。
 というわけで、届け先がなくなって宙に浮いていた「ハムかつ丼セット」は、その声から5秒もしないうちに、彼の目の前に据えられた。めでたしめでたし。
 続いて残り4名の注文に移ろう。「できるだけ同じものを頼んだほうが、出てくるのが早いよ」とご主人。確かにそのとおりだし、作る手間も省けるわけだから、そのお言葉に協力しましょう。ということで、2人がどてめし(500円)、2人が中華飯セットで決定。
ハムカツ丼セット
中華飯セット
 では、頼んだ料理が出てくるまでの間、ハムかつ丼の写真を撮りましょう。これで単品400円、セット600円とはお得感がある。するとご主人から、「助かったから500円でいいよ」と声がかかった。その言葉に彼はうれしそう。馬券だと100円なんて、あっという間になくなってしまうのに、こういうときの100円ってなんでこんなにテンションが上がるのだろう。不思議だなあ。なんて思っていたらしまった、味の感想を聞くのを忘れてた。こんど名古屋に行ったときに、自分で注文することにしよう。
 さて、数分ののちにやってきた「中華飯セット」。見た目はいわゆる街角の中華料理店そのままで、競馬場の食堂っぽくないところがすばらしい。鶏ガラの香りがとてもよくて、おそらく誰が食べても「おいしい」と言うだろう。ラーメンもごく普通の醤油味で、昨今の特徴があるのが個性というようなラーメン専門店とは一線を画す。こちらも安心感がある味だ。
 店内に貼られたメニューは多彩で、ベテラン調理人であるご主人の引き出しの多さが垣間見える。祝日だとお客さんの数が多いけれど、平日なら店内でのんびりしても大丈夫だろうから、ここで料理をつまみながら店内のテレビで競馬を見る、という楽しみかたもありそうだなあ。
浅野靖典(あさのやすのり)
競馬キャスター・ライターとして活動中。「クリック!地方競馬」キャスターを務めているほか、JRAブリーズアップセール、八戸、九州の各競走馬市場にて司会進行を担当。ライターとしては、
・競馬総合チャンネル(netkeiba.com)
・POGの達人
・JRAホームページ
・週刊プレイボーイ
・WEBハロン
などに寄稿している。

※ 本文で紹介している逸品については、取材時点のものです。 その後、値段改定やメニューが変わっている場合もございます。