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テレ玉杯オーバルスプリント~東京盃(第85回)

テレ玉杯オーバルスプリントJpnⅢ

 終いにいい脚を使うレーザーバレットには、前2頭が競り合ってくれたことで絶好の展開になりました。向正面あたりではまだ中団でしたが、戸崎騎手は前で2頭が競り合うのを見て、これならと思ったのではないでしょうか。最後はソルテの脚が上がったため、楽にとらえることができました。
 逃げたソルテですが、外からレガルスイが競りかけてきたのは誤算だったのではないでしょうか。1~2コーナーでもレガルスイは引かず、向正面でも併走。相手が内枠であれば、ソルテ自身はは2、3番手からでも競馬ができますから控えたでしょうが、相手が外なので引くわけにいきませんでした。ソルテにはかなり厳しい競馬になったと思います。直線で先頭に立ちましたが、勝ち馬にあっさり交わされてしまいました。ゴール前、粘りきれなかったのは、レガルスイに競りかけられたぶんでしょう。ただ、これも競馬なので、仕方ないと思います。
 一方のレガルスイは、掛かっているわけではなく、馬なりでソルテに並びかけて行きましたが、こちらもキツい競馬だったと思います。控えればもう少し楽な競馬になったと思いますが、それでも3着に粘りましたから、よく走りました。

レディスプレリュードJpnⅡ

 勝ったタマノブリュネットは、中団よりうしろからの追走でした。人気がなかったので、気楽に乗れたということもあったと思いますが、それにしても直線では外から一気に伸びて、いい脚を使いました。勝因は、4コーナーでうまく外に持ち出せたことでしょう。
 逃げたトーコーヴィーナスは、3コーナーから追い通しででしたが、最後までよく粘りました。思い切って逃げた大山騎手の好騎乗でした。
 ホワイトフーガもいい位置を追走していました。蛯名騎手はうまく馬群の中に入れて、ときおり行きたがる場面もありましたが、前に馬を置いて、なんとか折り合いをつけての追走でした。最後は内を突く形になって、抜け出せませんでした。本当に強い馬なら、あそこからでも抜け出して来ると思います。本調子にはなかったのかもしれません。馬体の大きい馬なので、じりじりは伸びてきますが、一瞬の脚を使うのは難しいのかもしれません。それでも川崎1600メートルになるJBCレディスクラシックは、おそらくブルーチッパーがペースをつくってくれるので、もっといいレースができると思います。
 ララベルは、しらさぎ賞以来5カ月ぶりでも4着はよく走りました。この馬も次のJBCはさらによくなってくるでしょう。

東京盃JpnⅡ

 ドリームバレンチノは直線で大外を追い込んできました。前半、ダノンレジェンドとコーリンベリーが競り合った上に、道悪だとどうしてもテンが速くなるので、前半脚を溜めて、末脚が使えるこの馬には展開が向きました。9歳で、58キロを背負ってということでも、強い競馬をしました。
 コーリンベリーは、ダノンレジェンドに競りかけられましたが、そのわりにはよく粘りました。楽にハナに行っていれば勝っていたかもしれません。こうした厳しいレースを経験していけば、まだまだ強くなるでしょう。JBCの川崎1400メートルでも、ハナをとれれば好勝負だと思います。
 プラチナグロースは、コーリンベリーにアタマ差の3着は大健闘でした。好位に控えてうまく立ち回れば、JBCスプリントでもいい競馬をするかもしれません。
 ダノンレジェンドは、スタートがあまりよくありませんでした。砂を被るとダメなので、スタート後叩いて、かなり無理して行ったような感じでした。直線では、もう少し我慢できるかと思って見ていたのですが、まったく伸びませんでした。3、4番手に控えても競馬ができる馬なので、外枠ならいい競馬ができるでしょう。

佐々木竹見(ささきたけみ)
元川崎競馬所属騎手。地方競馬通算7,151勝という世界歴代6位(当時)の勝ち鞍を挙げ、2001年7月8日に騎手を引退。
引退後も2012年3月までNAR地方競馬全国協会参与として後進の指導にあたる等、地方競馬の発展に大きな役割を果たし続けている。