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JBCレディスクラシック~兵庫ジュニアグランプリ(第86回)

JBCレディスクラシックJpnⅠ

 ホワイトフーガは、スタートして行きっぷりがよくて、引っ張りきれないような感じもありました。そこにブルーチッパーが行く気を見せて、ペースが落ち着くかと思ったところ、外からレッツゴードンキが競りかけてきたので、2ハロン目が10秒8、3ハロン目が12秒2と、ペースが速くなりました。これでホワイトフーガにはちょうどいいペースになりました。内枠から理想的な競馬ができました。4コーナー手前では、前のブルーチッパーがバテるのがわかっていたのでしょう、うまく外に持ち出しました。レディスプレリュードでは2着(同着)に負けてしまいましたが、距離が短くなったことでペースが流れて、レースぶりがよくなりました。内の3番手の位置取りで、もしスローペースになっていたら抑えがきかなかったかもしれません。
 レッツゴードンキは、初めてのダートで直線でもよく粘りました。これでダートに慣れてくれば、いずれチャンスがあるのではないでしょうか。
 トーセンセラヴィは好スタートでしたが、ペースが速いと思ったのでしょう、すぐに控えました。このメンバーに入って、着差はありましたが3着はよく走ったと思います。今回、一線級との対戦が初めてだったので、ペースに慣れてくればもっと差は詰められると思います。

JBCスプリントJpnⅠ

 ダノンレジェンドはいつもどおりスタートがあまりよくありませんでしたが、今回は出遅れたというほどでもなく、馬群に包まれると良くないので、思い切ってハナを取りきったのが勝因でしょう。無理してでもハナに行こうということは考えていたと思います。2コーナーを回るところで単騎の逃げになって、そうなれば他の馬でダノンレジェンドにかなう馬はいません。
 ベストウォーリアは、終いの脚がいい馬なので、行く馬を行かせて3番手の内はいい位置につけました。直線でも1頭だけ勝ち馬に食い下がっていましたが、今回はスムーズな競馬をした勝ち馬にはかないませんでした。
 地方期待のソルテは、6着でした。これほど負ける馬ではなく、力を発揮できませんでした。好スタートを切りましたが、内のダノンレジェンドに主張されたので、1コーナーを回るところで控えざるをえませんでした。あそこで突っ張っていったらレースが壊れてしまうので、仕方ありません。4コーナーを回るところでは一杯になってしまいました。強いメンバーとレースを使われるようになって、疲れもあったのでしょう。結果的に、今年のピークは、勝ったさきたま杯だったかもしれません。1400メートルの今回のペースはソルテには厳しかったと思います。控えたレースもできるので、控えてもよかったと思います。順調には使ってきていたので、しばらく休ませたほうがいいかもしれません。

JBCクラシックJpnⅠ

 アウォーディーはきっちり折り合いがついて、この馬のペースになりました。向正面から徐々に位置取りを上げて、4コーナー手前でホッコータルマエに並びかけていきました。単独で抜け出してしまうより、この馬は競り合いになったほうが力を発揮すると思います。うまく折り合いもついて、長い距離では折り合った馬は強いです。
 ダッシュ力があるホッコータルマエは、今回も抜群のスタートでした。毎年ドバイに行って、よく立て直してきたと思います。ただ7歳になって、腰の筋肉がちょっと落ちたような感じもあります。それでも最後はアウォーディーに食い下がってよく粘りました。幸騎手はうまく乗っていて、これで負けたのでは仕方ありません。
 サウンドトゥルーは、最後まで伸びていますが、バテたコパノリッキーをとらえたまでで、前の2頭をとらえるまではいきませんでした。
 ノンコノユメは、以前はもっと直線で切れた印象がありましたが、最近では以前ほどの末脚が見られないのが残念です。
 コパノリッキーは、スタートで互角に出てホッコータルマエの外くらいにつけていければよかったのですが、スタートで少し出遅れました。さらにスタンド前の直線でペースが落ち着いたところでかなり掛かっていました。直線でバテてしまったのは、出遅れた上に掛かったぶんでしょう。南部杯のときと行きっぷりが違っていました。

兵庫ジュニアグランプリJpnⅡ

 ローズジュレップは、スタート後の直線で中央の2頭が競り合うところ、うまく外に出したところが好判断でした。先行争いが激しくなって、前半に無理していかなかったぶん、この馬に展開が向きました。走っているときの飛びがいいですね。大事に使っていけば相当に強くなるかもしれません。
 ハングリーベンは前半かなり掛かっていました。折り合いがつけられるようになれば、さらによくなってくるでしょう。
 バリスコアは2着争いの一線で、惜しくも3着でした。前が速くなって、直線での末脚が生きました。
 ネコワールドはスタートで無理をしたぶん、最後はバテてしまいました。枠順が内だったらもう少しいいレースをしたかもしれません。

佐々木竹見(ささきたけみ)
元川崎競馬所属騎手。地方競馬通算7,151勝という世界歴代6位(当時)の勝ち鞍を挙げ、2001年7月8日に騎手を引退。
引退後も2012年3月までNAR地方競馬全国協会参与として後進の指導にあたる等、地方競馬の発展に大きな役割を果たし続けている。