ダートグレード競走を中心としたレースハイライトや、シリーズ競走等の特集、各種連載など盛りだくさんの情報をお届けします。
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特集

グランダム・ジャパン2018

GRANDAME-JAPAN2018

レーススケジュール

2歳シーズン
レース名 実施日 競馬場 距離 地区
園田プリンセスカップ 9/20(木) 園田 1,400m 北陸・東海・近畿
エーデルワイス賞 JpnⅢ 10/16(火) 門別 1,200m 北海道
金沢シンデレラカップ 11/6(火) 金沢 1,500m 北陸・東海・近畿
ラブミーチャン記念 11/8(木) 笠松 1,600m 北陸・東海・近畿
プリンセスカップ 11/26(月) 水沢 1,400m 東北
ローレル賞 11/27(火) 川崎 1,600m 南関東
東京2歳優駿牝馬 12/31(月) 大井 1,600m 南関東
 地方競馬では、牝馬競走の振興と牝馬の入厩促進を図るため、今年で8年目となる 世代別牝馬重賞シリーズ 「GRANDAME-JAPAN2018(グランダム・ジャパン2018)」を実施します。

 全国各地で行われる牝馬重賞を世代別に体系づけ、競走成績によりポイントを付与。2歳、3歳、古馬の世代別ポイント獲得上位馬に対し、協賛各団体から日本軽種馬協会を通じボーナス賞金が授与されます。地方競馬の優れた牝馬の活躍の舞台を広げるとともに、交流を促進して魅力ある牝馬競走の実施を目指します。
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門別 1,200m

大外枠も直線早め先頭で押し切る
騎手・調教師ともグレード初制覇

 2017年のHBAオータムセール。小野望調教師は、オーナーからの依頼でサウスヴィグラスの産駒を探していた。
 「その時に3頭ピックアップした中で、ようやく落札できたのがアークヴィグラスでした」(小野調教師)
 優れた産駒成績で、セリ市場でも高い人気を集めていたサウスヴィグラス産駒であったが、620万円(税別)でハンマーが落ちた理由。それはアークヴィグラスが、上場された産駒の中でもひときわ小柄な馬体をしていたからだった。
 「(母キセキノショウリの)初仔ということでなかなか馬体が大きくならず、オータムセールまで上場を待ちました。それでもサウスヴィグラスと母父フジキセキの配合は、スピードが強く出ると思っていましたし、小柄な馬体もむしろスピードを生かせるのではと思っていました」と生産者である、新冠・村上牧場の村上博将代表は話す。
 5月31日に行われたフレッシュチャレンジを勝利した時の馬体重が438キロ。そして、このエーデルワイス賞JpnⅢでの馬体重が436キロと、ここまで大幅な馬体重の増減があったわけではない。ただ、管理をしていく中で小野調教師は、アークヴィグラスの馬体には現れない成長を感じ取っていた。
 「フルールカップ、リリーカップと重賞を連勝した後は食も落ちて、ソエを気にするようにもなりました。それでも間を空けたことで状態も良くなり、最近は強めの調教を行っても飼い葉食いが落ちなくなっただけでなく、心肺機能もさらに強化された印象を受けました」(小野調教師)
 大外16番枠からの発走となったエーデルワイス賞JpnⅢ。この日の門別競馬場は、内枠に入った馬の好走が目立っており、外枠からの発走もまた、「正直、枠はもう少し内側が欲しかった」と鞍上を務めた石川倭騎手も話していた。それでも好スタートを決めたアークヴィグラスは、積極的に先行争いに絡んでいくと、4頭が横並びとなった最後の直線では、いち早く先頭へと踊り出る。
 その姿を目標としたエムティアンが内で食い下がり、大外からはデンバーテソーロが一気に襲いかかる。脚色はデンバーテソーロがよく見えたものの、アークヴィグラスはその追撃をクビ差で凌ぎきった。3着争いは、最後方を進んでいたグレイアンジェラが直線一気の脚で追い込んでくるも、内でエムティアンが残してみせた。
 石川騎手、小野調教師、ともにこれがダートグレード初制覇。また小野調教師は、昨年のこのレースで2着に敗れたグラヴィオーラのリベンジを果たすことにもなった。
 「石川騎手も馬とのコンタクトを大事にしながら、上手に乗ってくれました」と小野調教師は元騎手ならではの視点で、好騎乗を見せた石川騎手を褒め称えた。
 アークヴィグラスはこの後、ローレル賞から東京2歳優駿牝馬というグランダム・ジャパン2歳シーズンの路線が予定されているが、「これから精神面もさらに大人になってくれると思いますし、力もどんどんつけていますので、期待も膨らみます」という小野調教師の言葉は、今後のレースでも証明されていくことになりそうだ。
取材・文:村本浩平
写真:浅野一行(いちかんぽ)

コメント

石川倭騎手

このレースを勝てたことにホッとしているだけでなく、興奮もしています。いいポジションでレースができましたし、いつでも抜け出せる手応えもありました。直線では一瞬で先頭に立てただけでなく、最後まで力強く走ってくれました。この先も今日のような力強い走りで頑張ってくれると思います。

小野望調教師

外枠からの発走となりましたが、当たってしまったものは仕方ないと考えていました。結果的にこの枠で良かったという競馬ができればと思っていましたし、石川騎手も理想通りの競馬を見せてくれました。アークヴィグラス自身も強いレースを見せてくれましたが、まだまだ強くなるはずです。