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特集

2018ヤングジョッキーズシリーズ

2018 YOUNG JOCKEYS SERIES
 本年12月27日(木)に大井競馬場、28日(金)にJRA中山競馬場で実施される『2018ヤングジョッキーズシリーズ ファイナルラウンド』への出場権をかけて、地方競馬およびJRAの若手ジョッキーが争う代表騎手選定競走が『2018ヤングジョッキーズシリーズ トライアルラウンド』です。このトライアルラウンドでの着順に応じて得た点数により、地方競馬およびJRAそれぞれの代表騎手が選ばれます。

2018ヤングジョッキーズシリーズの総括はこちらです
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Trial Round

  • 7月16日(祝月)
  • 高知競馬場
  • ヤングジョッキーズシリーズTR 高知
  • ポイント表

第1戦

長谷部駿弥(兵庫)

セイカポコアポコ

第2戦

荻野 極(JRA)

パスファインダー

第1戦は最低人気馬が勝利する波乱 2戦とも後方からの差しが決まる

 南国土佐というだけあって最高気温34度を記録した高知競馬場。出場騎手も観客も汗を滴らせながらヤングジョッキーズシリーズ・トライアルラウンド高知の騎手紹介式は行われた。
 「今日、初めてヤングジョッキーズシリーズに参加します。先輩方の技術を1つでも盗めるようがんばりたいです」と初々しい挨拶をしたのは今年デビューの服部寿希騎手(JRA)。同じくルーキーの西村淳也騎手(JRA)、石堂響騎手(兵庫)、初遠征のため師匠の中川竜馬調教師も同行した出水拓人騎手(佐賀)がこの日、同シリーズデビュー戦を迎えた。
 一方で小崎綾也騎手(JRA)は2日前にJRA通算100勝を達成。地方の条件交流での1勝を加え通算101勝となり、翌週から減量卒業となる。出場資格は「4月1日時点における見習騎手」なので、今年は引き続き参戦可能。「馬に乗れるのが嬉しいし、楽しい」という思いを胸にファイナルへ向けラストチャンスを狙う。
 「去年の悔しさを晴らしたい」と意気込んだのは昨年、落馬負傷でトライアルラウンドを途中離脱した柴田勇真騎手(金沢)。今春の復帰に合わせデザインを一新した勝負服で挑んだ。
 第1戦はルーキー石堂騎手がレースを引っ張り、3~4コーナーで地元の塚本雄大騎手(高知)が追い上げにかかった。2頭が後続をやや離して直線に向いたが、「後ろのペースを見られていませんでした」と塚本騎手。直線では手応えが怪しくなり、後方から4番手にいた長谷部駿弥騎手(兵庫)が外からまとめて差し切った。最低人気で単勝12,030円。「初めて単勝万馬券を出せました。大阪から家族も応援に来てくれていたので嬉しいです」。昨年は6着が最高で「何もできないまま終わってしまいました……」と肩を落としていたが、待望のトライアルラウンド初勝利を挙げることができた。
 2着は「前が速いなと思った」と向正面では大きく離れた最後方追走の富田暁騎手(JRA)。5着の服部騎手も後方2番手からの追い込みで、ジョッキー交流レースらしくハイペースでの決着となった。
 服部騎手や荻野極騎手(JRA、6着)は4コーナーで内に進路を取りハイペースを差し切ろうと目論んだが「最後はしんどくなってしまいました」と異口同音に内の砂が深い高知競馬場の難しさを語った。一方で塚本騎手と松木大地騎手(高知)は3着、4着。地元の意地を見せた。
 第2戦は先行できれば好勝負という馬が複数頭。その中で出ムチを入れハナを主張したのは長谷部騎手。向正面では馬群が2つに分かれる中、後続馬群から虎視眈々と前を見つめていたのは荻野騎手。「後半にリズムよく走り出してくれて、そこからスムーズなレースができました」と直線で差し切った。さらに勝因はレース前にもあったと言う。「連続騎乗で自分で鞍をつけることができなかったので、万全の態勢で挑めるよう本馬場入場の前に確認しました」とパドックから出た所で一旦下馬して馬装点検。返し馬では馬が嫌がる素振りを見せたが、「なぁなぁになってはいけないので、しっかり主従関係をつくりました」と初騎乗馬を手の内に入れた。
 2着は「追い負けてしまいました」とアタマ差で義英真騎手(JRA)。3着にはルーキー西村騎手が「普段から周りに影響されないように意識して乗っています」と焦らずに馬群を捌いた。
 同じルーキーの出水騎手(12着、9着)は「減量がないと馬が止まるのが早いですね」と苦い表情。普段は3キロ減で乗っているため、直線でのひと踏ん張りの効き方に違いを感じたようだ。「それは僕も昨年感じました」とは2年目の長谷部騎手。その苦い経験を生かし、今年はここまで4戦中3戦で掲示板確保と成績を上げ、ファイナル進出へ有利な位置につけている。またJRAでは荻野騎手も高ポイント獲得で一歩リードしている。
 第2戦のあと、検量室では騎手が集まってレースVTRを繰り返し見ていた。「まだあと4鞍乗れるので、挽回したいです!」と柴田騎手(7着、10着)が話すように、この日の経験が今後の戦いに生きてくるはずだ。小崎騎手も10着、12着だったが、今年のルールでは獲得ポイント上位4レースの合計点で競うため、今後の成績次第ではファイナル進出の可能性を大いに残している。暑さに負けない熱いトライアルラウンドが来月も繰り広げられる。
取材・文:大恵陽子
写真:桂伸也(いちかんぽ)

コメント

第1戦1着長谷部駿弥騎手
(兵庫)

前めにつけたかったですが、スタート後、他馬の影響で後ろからになりました。結果的にハイペースになり良かったですね。地元ではナイター開催の日が好成績で、高知でもそうなりました。大きな夢は全国リーディング。トライアルラウンドは残す地元・園田でいい成績を挙げてファイナルに進出したいです。

第2戦1着荻野極騎手
(JRA)

前半は行き脚がなかなかつきませんでしたが、無理せずリズムよく走らせることを心がけました。高知競馬場は昨年も勝たせていただき、いい気持ちで挑めました。目指すはファイナル優勝。昨年の苦い思いを晴らしたいです。そしていつかは日本を代表する騎手として世界に行けるようになりたいですね。