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特集

2018ヤングジョッキーズシリーズ

2018 YOUNG JOCKEYS SERIES
 本年12月27日(木)に大井競馬場、28日(金)にJRA中山競馬場で実施される『2018ヤングジョッキーズシリーズ ファイナルラウンド』への出場権をかけて、地方競馬およびJRAの若手ジョッキーが争う代表騎手選定競走が『2018ヤングジョッキーズシリーズ トライアルラウンド』です。このトライアルラウンドでの着順に応じて得た点数により、地方競馬およびJRAそれぞれの代表騎手が選ばれます。

2018ヤングジョッキーズシリーズの総括はこちらです
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Final Round

  • 12月27日(木)
  • 大井競馬場
  • ヤングジョッキーズシリーズFR 大井
  • ポイント表

第1戦

櫻井光輔(川崎)

デルマタスケ

第2戦

荻野 極(JRA)

ザウォルドルフ

リポート動画

櫻井騎手が人気馬を勝利に導く 荻野騎手は会心の差し切り勝ち

 2代目チャンピオンを決めるヤングジョッキーズシリーズ(YJS)ファイナルラウンドが12月27日、大井競馬場で開幕。28日JRA中山競馬場との2日間、計4戦をファイナリスト14名が戦う。
 決戦を前に笑顔が咲いたのは横山武史騎手(JRA)。エキストラ騎乗の第3レースで勝利し、「YJSに向けていいイメージを作れました」と父・典弘騎手らとともに口取り撮影に収まった。また地元がオフシーズンに突入している落合玄太騎手(北海道)もエキストラ騎乗を行い、「しばらくレースに乗れていなかったので、よかったです」と話した。
 西日を受けながらの騎手紹介式では、デビューを目指す騎手候補生たちがプラカードを持って登場。近い将来、彼ら・彼女らもYJSで熱い戦いを見せてくれることだろう。また、地方競馬通算最多勝利記録を更新中の的場文男騎手はメッセージビデオで「僕も若い頃はなかなか勝てなかったけど、一生懸命がんばりました。ヤングジョッキーのみなさんも一生懸命騎乗してください」とエールを送った。
 和やかな雰囲気だった騎手紹介式だが、レースが近づくにつれ各騎手からは緊張感が漂った。第1戦は1800メートル。出馬表をザっと見たところ、積極的に前に行くのは吉井章騎手(大井)と山本咲希到騎手(北海道)かと思われたが、その2頭の内から先手を主張したのは横山騎手。かなり気合いをつけた返し馬を行っており、「逃げたら粘り強そうだなと思って、返し馬から気持ちを乗せていました」という。
 馬群は縦長になり、3~4コーナーで横山騎手と吉井騎手が後続を引き離すが、そこから約10馬身後方にいたデルマタスケと櫻井光輔騎手(川崎)が末脚を伸ばし、3.2倍の単勝1番人気に応えて勝利。トライアルラウンド最多の3勝を挙げた男が、ファイナルラウンド1戦目を勝利で飾った。「パドックで厩務員さんから『勝とうな!』と声をかけられていたんです」とのことで、検量室前に帰ってくると熱い握手を交わした。
 1馬身3/4差の2着は横山騎手。11番人気馬を粘らせ、ニヤリと笑顔を見せる場面もあった。一方で、3馬身差3着の長谷部駿弥騎手(兵庫)は冴えない表情で、「向正面で『この位置でいいのかな?』と不安になったり、追い出す準備が遅れてしまいました」と初めての大井に対応しきれなかった様子。4着は落合騎手、5着に義英真騎手(JRA)だった。
 第2戦は1200メートル。ここでも3.9倍の単勝1番人気に推された櫻井騎手がスタートから押して行くところ、外から松木大地騎手(高知)、内から吉井騎手がハナ争いに加わり、服部寿希騎手(JRA)は無理せず4番手に控えた。それらを見る位置でしっかり折り合っていたザウォルドルフと荻野極騎手(JRA)が、直線半ばで抜け出した櫻井騎手をゴール約50メートル手前できっちり差し切ると、「勝ててよかったです」と胸をなでおろした。
 1馬身半差2着の櫻井騎手は「結果的に抜け出すのが早かったですかね」と悔やんだ。さらに半馬身差の3着は内をロスなく回ってきた長谷部騎手で、「3~4コーナーで外に出そうかと思いましたが、馬の様子から内を選んだのが結果的にいい方に出ました」とのこと。4着は義騎手、5着に木幡巧也騎手(JRA)だった。
 ファイナルラウンド大井での2戦を終えて、暫定順位は1位が1着、2着で50ポイントの櫻井騎手、2位に6着、1着で38ポイントの荻野騎手。2人は騎手候補生になる前から面識があったとのことで、レース後は笑顔で2ショット写真に収まる場面もあった。他にも「学校時代の同期が南関東にいて頼もしいです」などJRA・地方という所属の枠を超えての交流が見られた。
 なお、暫定3位は3着、3着で30ポイントの長谷部騎手。対照的に「2ポイントしか獲得できませんでした……」と話したのは西村淳也騎手(JRA)。3ポイントの井上敏樹騎手(JRA)もやや視線を落としながら「明日がんばります!」と言葉に力を込めた。
 2年連続ファイナル出場の渡邊竜也騎手(笠松)は10ポイントで「(総合)8位だった去年はすごく悔しいなと思ったけど、今年も悔しいです。寝て、気持ちを切り替えます」と中山競馬場へ向かった。
 翌日28日に中山競馬場で2戦が行われ、いよいよ総合優勝が決定する。ポイント上位騎手が逃げ切るのか、はたまたこの日の悔しさをバネに飛躍する騎手が出てくるのか。若者たちの戦いから目が離せない。
取材・文:大恵陽子
写真:いちかんぽ(宮原政典・早川範雄)

コメント

第1戦1着櫻井光輔騎手
(川崎)

(第1戦は)先頭との距離がありましたが、1800メートルなので前が止まるだろうと思っていました。3~4コーナーで外に出すと手応えがだいぶ違ったので「勝てる」と感じました。いいかたちで明日を迎えられるので、今日はしっかり休みます。あくまで暫定1位なので、総合優勝目指してがんばります。

第2戦1着荻野極騎手
(JRA)

理想としていた競馬ができました。乗り味がとてもいい馬で、馬格もパワーもあります。渋太い脚を使ってくれましたね。2回目のYJSファイナルラウンド出場で、今年はきっちり優勝したいです。暫定2位でまだまだポイントが足りないので、明日また気を引き締めてがんばります。