11月3日 大井競馬場 右1200m
第4回JBCスプリント GI
世界タイトルへの第一歩
後続を楽に突き放し、
ダート短距離王座に君臨
マイルや2000m級のダートGIは年に何度か行われるが、1200mのGIはこのJBCスプリントが唯一のもの。それだけに、ダートのスプリンターにとってはここが目指すべき最大のレースになる。今年もチャンピオン決定戦にふさわしい顔ぶれが揃った。 断然1番人気はもちろんマイネルセレクト。昨年は追い込んでわずかハナ差、サウスヴィグラスに届かず。しかしそれを最後にサウスヴィグラスが引退したあとは、暫定チャンピオンとしてドバイゴールデンシャヒーンにも遠征した。そして前走、Road to JBCの東京盃GIIでは中団から余裕の差し切り勝ちを見せ、この路線に敵なしをアピールした。
今回は果たして、マイネルセレクトがどんな勝ち方をするかを見るレースとなった。好スタートを切ると、東京盃とは一転、カセギガシラ、ディバインシルバーの直後、好位の3番手を追走した。直線を向くといったんはディバインシルバーが先頭に立ったものの、マイネルセレクトが余裕の手ごたえで差し切り、ゴール前は独走。最高峰のGIの舞台で、再び圧倒的な強さを見せつけた。
2着争いは3頭が接戦。マイネルセレクトの直後を追走したアグネスウイングが外から伸びて2着。芝路線のスプリンターズステークス(9着)から参戦のサニングデールが中団追走からラチ沿いを突き、2番手で厳しいレースを強いられたディバインシルバーをわずかに差し切り3着に入った。
残念だったのがヒカリジルコニアだ。重賞未勝利ながら東京盃ではマイネルセレクトの1馬身半差2着に粘り、今回も期待されたが、スタートで痛恨の出遅れ。吉田稔騎手が尻もちをついてしまう格好でダッシュもつかず、勝負にならなかった。
短距離路線は層が薄い地方勢にありながら、ただ1頭気を吐いたのが高崎のタイガーロータリーだ。馬券にはからめなかったが、東京盃(4着)に続く地方最先着の5着。上がり3ハロンも東京盃ではメンバー中最速の35秒8、今回のJBCスプリントでも圏外のヒカリジルコニアに次ぐ36秒2と、確実に切れる脚を披露した。さすがにこのメンバーでは厳しいが、相手関係次第ではGIII程度なら勝つチャンスも巡ってきそうだ。
今年はGIIIタイトルのみでのドバイ挑戦だったマイネルセレクトだが、来年は堂々、日本のダートスプリントチャンピオンとして世界に挑戦する。クラシックのアドマイヤドンだけでなく、JBCスプリントからも世界へとつながる道が開けそうだ。
文:斎藤修、來田康宏、大貫師男、八木重和、小山内完友 | 写真:いちかんぽ(川村光章、森澤志津雄、トム岸田、宮原政典)
松永幹夫 騎手
状態が良かったので勝ててホッとしています。スタートが悪かったのですが、初めから2、3番手の馬任せでいこうと考えていました。道中の手ごたえも抜群でしたし、最後はヒヤっとしましたけどゴール前では勝利を確信しました。