早めに抜け出し後続を完封
鞍上の好判断が連覇に導く
前日のJBCマイルでブルーコンコルドが連覇を達成。クラシックではタイムパラドックスにその期待がかかったが、近走の結果から厳しいと見られ、単勝は5番人気だった。しかしフタを開けてみれば、低評価を覆す鮮やかな走り。見事に連覇を果たした。 中団からレースを進めていたタイムパラドックスは、1周目ゴール板あたりから徐々に進出。この馬の場合、鞍上がつねに折り合いに苦労しており、今回も悪い部分が出てしまったように思われた。しかし岩田康誠騎手は、手綱を抑えてはいたものの、ある程度馬の行く気に任せる戦法をとった。2周目向正面で後続が追撃態勢に入ると、3コーナー手前でタイムパラドックスも進出。楽な手ごたえで直線に向くと、伸びきれない後続を尻目にそのまま先頭でゴールを駆け抜けた。 やはり今回は岩田騎手の好判断が大きな勝因だろう。掛かったところで無理せず行かせ、しかしながら2番手まで上がったところで我慢させる。普通に掛かったのであれば、直線を向いた時のあの抜群の手ごたえはあり得ない。柔と剛を合わせた騎乗で、タイムパラドックスの本来の力を見事に引き出した。だがタイムパラドックスは、その後ジャパンカップダートGIへ向けての調整中に骨折が判明。引退、種牡馬入りすることになった。 2着は1番人気に推されたシーキングザダイヤ。最内枠からハナを切る勢いも、好位を追走。直線で外に持ち出すと最速の上がり(39秒2)を見せて追い込んだ。だが、結局1馬身半届かず2着。これが8度目のGI2着となってしまった。実力は誰もが認めているだけに、悲願成就もそう遠くないと思うのだが…。 地方勢では大井のボンネビルレコードが3着に突っ込んできた。的場文男騎手は「『大井なら…』と思っていたけど、今日は走ったね。まだ力をつけそうだよ」と満足そうな表情。今回が初めての遠征、そして初めての左回りで、この好結果。終いの脚は相変わらず強烈で、遠征に慣れてくれば今後の展望も大きく広がるだろう。
松田博資 調教師
年寄りですけど、本当によくがんばってくれます。夏場は体調が悪かったのですが、徐々に行きっぷりもよくなっていました。騎手には指示を出していませんでしたが、三分三厘で抜けてきた時に「今日はいける」と思いましたし、1ハロン手前で勝利を確信しました。
岩田康誠 騎手
ちょっと出負けして中団からになりましたが、ペースが遅くて引っかかりました。でも結果としては馬が「行け!」って言ったんだなと思います。早めに抜け出して、直線でも何とかなるかなと思っていましたが、最後は必死でした。2000m前後で、掛かるくらいのペースがこの馬には理想なんでしょうね。