データ分析 Data Analysis

波乱傾向の高知三冠最終戦

黒潮皐月賞、高知優駿から続く高知三冠の最終戦・黒潮菊花賞。基本的に高知優駿の勝ち馬が好成績を残すが、2016年に西日本ダービーが創設されたことや、高知優駿が17年から地方全国交流となったことで勝ち馬が不在の年もある。また、人気薄の上がり馬が上位に入ることもあり、3連単10万円超えは過去10回で3回と、波乱になりやすい一戦を、ここでは12~21年の過去10回から傾向を見ていく。

■ヒモ荒れになりやすく、3連単40万超えも

3番人気以内が8勝と、人気を信頼できる一方、5、6番人気がそれぞれ1勝。また、2、3着には7番人気以下が6回と、どちらかと言うとヒモ荒れになりやすい一戦。7番人気以下で3着以内に入った6頭のうち2016年2着ロイヤルジレンマ(10番人気)、18年2着ジャンニーナ(8番人気)、20年2着ペイシャワイルド(9番人気)は一、二冠目には出走しておらず、力関係の比較が難しい一面もあった。なお、3連単は最高配当が20年の49万2500円(6→9→3番人気)で、過去10回のうち3回が10万円超え。万馬券も6回と高い確率で出現している。[表1]

[表1]単勝人気別成績(過去10回)

1着 2着 3着 4着以下 勝率 連対率 3着内率
1番人気 3 3 1 3 30.0% 60.0% 70.0%
2番人気 4 2 1 3 40.0% 60.0% 70.0%
3番人気 1 0 2 7 10.0% 10.0% 30.0%
4番人気 0 2 0 8 0.0% 20.0% 20.0%
5番人気 1 0 2 7 10.0% 10.0% 30.0%
6番人気 1 0 1 8 10.0% 10.0% 20.0%
7番人気以下 0 3 3 48 0.0% 5.6% 11.1%

■差しも決まりやすいコース

向正面に入ってすぐの地点からスタートし、1周半する1900メートル戦。高知競馬場で行われる重賞では2番目に長い距離設定となっている。逃げ・先行馬が6勝を挙げる一方、差し馬が3着内に11頭と上位に台頭しやすい。その一因は、スタンド前で縦長になりやすいレース展開なども影響しているだろう。2016年2着ロイヤルジレンマは1コーナーで6番手から2コーナーで一気に先頭まで並びかけ、2着に粘った。[表2][表3]

[表2]脚質別成績(過去10回)

1着 2着 3着 4着以下 勝率 連対率 3着内率
逃げ 1 2 1 12 6.3% 18.8% 25.0%
先行 5 6 3 17 16.1% 35.5% 45.2%
差し 4 2 5 29 10.0% 15.0% 27.5%
追込 0 0 1 26 0.0% 0.0% 3.7%

[表3]1コーナーでの位置取り別成績(過去10回)

1着 2着 3着 4着以下 勝率 連対率 3着内率
1~3番手 5 5 3 17 16.7% 33.3% 43.3%
4~6番手 1 5 2 23 3.2% 19.4% 25.8%
7~9番手 4 0 4 22 13.3% 13.3% 26.7%
10~12番手 0 0 1 21 0.0% 0.0% 4.5%
競走中止 0 0 0 1 0.0% 0.0% 0.0%

■牝馬が強い一戦

過去10回で牡馬・セン馬と牝馬は5勝ずつと互角。3着内率まで範囲を広げると牝馬の方が32.6%と好成績を収めている。出走頭数はやや少ないが、牝馬だからと言って割り引く必要はなさそうだ。[表4]

[表4]性別別成績(過去10回)

1着 2着 3着 4着以下 勝率 連対率 3着内率
牡・セン 5 5 5 53 7.4% 14.7% 22.1%
5 5 5 31 10.9% 21.7% 32.6%

■高知優駿勝ち馬が良績

過去10回では、高知優駿勝ち馬が8頭出走し【2・3・2・1】で3着内率87.5%。出走しなかった2頭は2017年フリビオンと18年スーパージェットで、前者は翌週の西日本ダービーへ照準を合わせ、後者は佐賀所属で出走資格がなかった。世代頂点を決める高知優駿勝ち馬が出走してくれば、見逃せない。

勝つのはこういう馬!

まず注目すべきは高知優駿勝ち馬。出走すれば3着内を外したのは1回のみと、このレースで力を遺憾なく発揮できると言える。一方で、近走で力をつけてきた馬の存在も忘れてはならない。2021年の勝ち馬トーセンジェイクは黒潮皐月賞8着後、古馬混合のC3とC2クラスで勝利を挙げていた。また、伏兵の台頭も視野に入れるべきで、21年3着のダイヤマリー(8番人気)は距離が延びて力を発揮できるタイプだった。

(文・大恵陽子)

注記

当ページの情報は、NARが特定の馬の応援や推奨などを行うものではありません。