データ分析 Data Analysis

金沢秋の3歳重賞

石川ダービーが終わると、金沢競馬の3歳重賞は7月下旬のMRO金賞(東海・近畿交流)、8月中旬の加賀友禅賞(牝馬限定)、そしてこのサラブレッド大賞典と続く。遠征馬を迎えるMRO金賞と違い地元馬同士の一戦とあって、多くの陣営が狙うレースとなっている。ここでは2012~21年の過去10回から傾向を見ていく。

■上位人気馬が一枚抜けた存在になりやすい

過去10回で2番人気以内が7勝。勝ち馬は5番人気以内からのみ出ていて、比較的人気馬が勝つレースと言える。力差がハッキリと出やすいのもこのレースの特徴で、平均して2着に約3馬身の着差をつけて勝っている。特にここ3回は2019年タンクティーエー(2番人気)が7馬身、20年カガノホマレ(1番人気)が8馬身、21年ベニスビーチ(1番人気)が3馬身の差をつけており、他のレースに比べても上位人気馬の力が抜けていると言えるだろう。【表1】

[表1]単勝人気別成績(過去10回)

1着 2着 3着 4着以下 勝率 連対率 3着内率
1番人気 5 1 0 4 50.0% 60.0% 60.0%
2番人気 2 2 1 5 20.0% 40.0% 50.0%
3番人気 0 2 1 7 0.0% 20.0% 30.0%
4番人気 2 1 0 7 20.0% 30.0% 30.0%
5番人気 1 1 3 5 10.0% 20.0% 50.0%
6番人気以下 0 3 5 55 0.0% 4.8% 12.7%

■レースの流れに乗れる馬が有力

過去10回すべての優勝馬が4コーナーで3番手以内。先行するか、中団以降からの場合は勝負所の向正面後半から3コーナーで仕掛けていき先行集団に取り付く必要がある。これは逆算して考えると、序盤からレースの流れに乗れる馬の方が有利ということ。ポジションを取りに行けないタイプの馬はやや割り引いて考えてもいいかもしれない。【表2】

[表2]4コーナーの位置取り別成績(過去10回)

1着 2着 3着 4着以下 勝率 連対率 3着内率
1~3番手 10 7 7 8 31.3% 53.1% 75.0%
4~6番手 0 3 2 24 0.0% 10.3% 17.2%
7~9番手 0 0 0 31 0.0% 0.0% 0.0%
10~12番手 0 0 1 20 0.0% 0.0% 4.8%

■牡・牝の勝利数は五分

過去10回中、牡馬・セン馬、牝馬とも5勝ずつと、性別による勝利数の差はない。これは、2017年創設の石川ダービーが21年までの5回で牡馬2勝、牝馬3勝と、金沢3歳戦線では牝馬が活躍していることにも影響を受けているかもしれない。なお、3着内率では牡馬・セン馬の方がわずかに高く、30.2%となっている。【表3】

[表3]性別別成績(過去10回)

性別 1着 2着 3着 4着以下 勝率 連対率 3着内率
牡・セン 5 6 8 44 7.9% 17.5% 30.2%
5 4 2 39 10.0% 18.0% 22.0%

■着順不問でMRO金賞組に注目

サラブレッド大賞典の約1~2カ月前に行われるMRO金賞は、100m短い1900m(2014年までは1700m)の3歳限定戦(東海・近畿交流)。過去10回の当レース優勝馬のうち9頭がMRO金賞に出走歴があり、遠征馬を迎えハイレベルで行われる同レースを経験した馬の3着内率は40.5%と高い。ただし、必ずしもMRO金賞とサラブレッド大賞典の成績がリンクするわけではなく、15年優勝のライブザドリームはMRO金賞12着から巻き返した。

勝つのはこういう馬!

人気は素直に信頼していいだろう。金沢では重賞が行われるたびに優勝馬が変わることも珍しくなく、石川ダービーやMRO金賞で敗れていても、その後のレースぶりなどから巻き返せる要素があれば狙ってみるのも一手。特に、MRO金賞に出走歴があり、逃げ・先行タイプの馬であればなお良し。

(文・大恵陽子)

注記

当ページの情報は、NARが特定の馬の応援や推奨などを行うものではありません。