データ分析 Data Analysis

生え抜き馬限定のダービー

2016年に創設された西日本ダービーは、金沢、笠松、名古屋、兵庫、高知、佐賀の各競馬場でデビューした馬にのみ出走資格があるため、西日本地区の“おらが町の一番”を決める一戦とも言えるだろう。なお、18年には愛知の岡部誠騎手が、兵庫ダービーと西日本ダービー(その年は金沢開催)と他地区の“ダービー”2勝(馬はともに兵庫・コーナスフロリダ)を成し遂げている。ここでは創設された16年から21年までの過去6回から傾向を見ていく。

■兵庫と高知勢が圧倒的に強い

西日本各場からの出走頭数は過去6回で延べ11頭をベースに、佐賀が13頭、高知が12頭と、大きな違いはない。その中で最多勝を挙げるのは兵庫所属馬の3勝。2016年マイタイザン、18年コーナスフロリダ、21年スマイルサルファーで、特にコーナスフロリダは2着に大差をつける圧勝だった。また、15年にサラブレッドの新馬戦が17年ぶりに再開された高知競馬では、最初の世代となるディアマルコが16年に2着。17年にはフリビオンが、19年はアルネゴーが制した。いずれも地元開催以外でも勝利を挙げている。[表1]

[表1]所属別成績(過去6回)

1着 2着 3着 4着以下 勝率 連対率 3着内率
兵庫 3 2 2 4 27.3% 45.5% 63.6%
高知 2 1 1 8 16.7% 25.0% 33.3%
佐賀 1 0 2 10 7.7% 7.7% 23.1%
金沢 0 1 1 9 0.0% 9.1% 18.2%
愛知 0 1 0 10 0.0% 9.1% 9.1%
笠松 0 1 0 10 0.0% 9.1% 9.1%

■人気馬が強い一戦

世代ナンバーワンを決める“ダービー”と銘打つだけあって、基本的に人気馬が上位を占める一戦。過去6回中5回で3番人気以内の馬が勝っている。最も人気薄での勝利となったのは2020年エアーポケット(佐賀)で5番人気。単勝は10.9倍で、この年は各地のダービー馬の参戦が1頭もなく、混戦模様だった。[表2]

[表2]単勝人気別成績(過去6回)

1着 2着 3着 4着以下 勝率 連対率 3着内率
1番人気 3 2 1 0 50.0% 83.3% 100.0%
2番人気 1 1 0 4 16.7% 33.3% 33.3%
3番人気 1 2 2 1 16.7% 50.0% 83.3%
4番人気 0 1 1 4 0.0% 16.7% 33.3%
5番人気 1 0 1 4 16.7% 16.7% 33.3%
6番人気以下 0 0 1 38 0.0% 0.0% 2.6%

■持ち味を最大限に生かせるか

西日本各場の持ち回り制のため、過去6回はすべて異なる競馬場で実施された。距離は1870~2000mと年によって若干の差はあるものの、向正面からスタートして1周半というコース形態で統一されている。基本的に西日本の競馬場は小回りで直線が短いのが特徴だが、そんな中でも差しが2勝、追い込みが1勝と、中団以降からでも比較的上位に食い込みやすい。後方2番手から追い込んで勝った2019年アルネゴー(高知)はかねてよりそういう脚質の馬で、自身の持ち味を最大限に生かした結果と言えるだろう。[表3]

[表3]脚質別成績(過去6回)

1着 2着 3着 4着以下 勝率 連対率 3着内率
逃げ 1 1 1 8 9.1% 18.2% 27.3%
先行 2 3 0 12 11.8% 29.4% 29.4%
差し 2 2 4 17 8.0% 16.0% 32.0%
追込 1 0 1 14 6.3% 6.3% 12.5%

■ダービー馬には一目置くべし

各地のダービー馬が参戦してくると、好成績を残す。過去6回でダービー馬の参戦は5頭。3勝、2着1回、着外1回だった。ただし、いわゆる生え抜き馬限定レースのため、各地の“ダービー”を制していても、JRAや門別など他地区でデビューした馬には出走資格がなく、ダービー馬不在の年も2回あった。そのうち2019年は黒潮皐月賞勝ちのアルネゴーが、20年は九州ダービー栄城賞2着のエアーポケットが勝っており、ダービー馬不在の場合は地元3歳戦で上位争いをしている馬を中心に据えるべきだろう。

勝つのはこういう馬!

まず注目すべきはダービー馬。過去にダービー馬の参戦は兵庫と高知(高知優駿)からしかいないが、今年は両ダービー馬は生え抜きではないため出走資格はなし。それでも、他地区からダービー馬の参戦があれば積極的に狙うべきだろう。また、各地で三冠と銘打たれるレースで上位争いをしている馬にも注目したい。

(文・大恵陽子)

注記

当ページの情報は、特定の馬の応援や推奨などを行うものではありません。