三冠路線を歩んだ実力馬と、上がり馬が夏を越えて川崎の長丁場で激突
盛岡・ダービーグランプリに向けて行われる3歳秋のチャンピオンシップのうちの一戦。2021年のダービーグランプリは、戸塚記念をステップに挑んだギガキング、ジョエル、セイカメテオポリスが上位を独占した。大一番を見据えて重要な意味を持つだけでなく、今後の南関東中長距離路線を展望するうえでも見逃せないレースとなっている。ここでは12~21年の過去10回の結果から傾向を分析する。
勝利数は船橋の4勝がトップだが、各項目を見てみると大井と浦和も互角以上の数字を残している。とは言っても船橋は5年連続3着以内と、安定していることは確か。近年勢いがあるのは浦和で2020年がティーズダンクとファルコンウィングでワンツー。21年はトランセンデンスが2着と、2年連続で連対を果たしている点は覚えておきたい。[表1]
1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
船橋 | 4 | 3 | 6 | 40 | 7.5% | 13.2% | 24.5% |
浦和 | 3 | 2 | 0 | 14 | 15.8% | 26.3% | 26.3% |
大井 | 2 | 4 | 3 | 19 | 7.1% | 21.4% | 32.1% |
川崎 | 1 | 2 | 1 | 29 | 3.0% | 9.1% | 12.1% |
1、2、4番人気が3着内率50.0%以上をマークしているが、信頼できるとは言いづらく、過去10回で3連単馬券圏の決着は7回。特に2014年以降は、4桁配当に3連単が留まったのは1回のみと波乱傾向にある。6番人気以下の低評価を覆して連対を果たした3頭は、いずれも黒潮盃かジャパンダートダービーJpnIで大敗を喫した後の巻き返しだった。この路線から参戦してきた場合は着順に関係なく、注意が必要だろう。[表2]
1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
1番人気 | 3 | 2 | 0 | 5 | 30.0% | 50.0% | 50.0% |
2番人気 | 0 | 3 | 3 | 4 | 0.0% | 30.0% | 60.0% |
3番人気 | 2 | 0 | 1 | 7 | 20.0% | 20.0% | 30.0% |
4番人気 | 1 | 2 | 2 | 5 | 10.0% | 30.0% | 50.0% |
5番人気 | 2 | 2 | 0 | 6 | 20.0% | 40.0% | 40.0% |
6番人気以下 | 2 | 1 | 4 | 76 | 2.4% | 3.6% | 8.4% |
前走黒潮盃組が断然の成績で、2018年を除けば必ず3着以内に好走している。また、トライアルの芙蓉賞組も相性がよく、1着となった馬は5頭が参戦して1~3着が各1回ずつ。出てくるようなら期待値は高いと判断してよさそうだ。他に傾向がはっきりしているのは自己条件組で、馬券圏に入った5頭全頭が南関東の1600mを使っていた。そのうちの4頭は前走1着から勢いに乗っての参戦。18年の覇者チャイヤプーンは前走4着に敗れていたが、岩手ダービーを制した実績があった。[表3]
1着 | 2着 | 3着 | |
黒潮盃 | 4 | 4 | 5 |
ジャパンダートダービー | 2 | 2 | 0 |
芙蓉賞(戸塚記念TR) | 1 | 1 | 2 |
東京ダービー | 1 | 1 | 1 |
関東オークス | 0 | 0 | 1 |
南関東の1600m | 2 | 2 | 1 |
小回りの川崎コースが舞台なだけに、勝負どころとなる3コーナーの位置取りが勝敗の行方を左右する。3番手以内につけていた馬が6勝、4~6番手が4勝と先団に取りついていないと勝利は厳しいことが分かる。馬券圏30頭のうち、3番手以内が19頭、4~6番手は9頭。7番手以降になると2頭にまで激減しており、前につけている馬が有利なことは歴然。逃げ・先行馬が信頼できる存在で、差し馬であれば自分から早めに動いていくことが求められる。[表4]
1着 | 2着 | 3着 | |
3番手以内 | 6 | 7 | 6 |
4~6番手 | 4 | 2 | 3 |
7番手以降 | 0 | 1 | 1 |
前走黒潮盃から参戦してきた馬は着順や、ここでの人気を問わずマークが必要。また戸塚記念のトライアル芙蓉賞1着馬も注意したい。3コーナーで前につけていた馬の成績が優秀で、逃げ・先行馬ならチャンスは十分といえる
(文・前田 恒)
注記
当ページの情報は、特定の馬の応援や推奨などを行うものではありません。