2023年9月3日(日) 水沢競馬場
不来方賞
右2000m 18:15発走
不来方賞 ゴール前

データ分析 Data Analysis

岩手3歳三冠の最終戦

難読レース名に挙げられても不思議ない不来方(こずかた)賞。かつて盛岡がそう呼ばれていたことに起因し、かの石川啄木も“不来方のお城の草に寝ころびて空に吸はれし十五の心”と詠んだ。さて当レースは岩手所属馬にとって3歳秋のチャンピオンシップのファイナル・ダービーグランプリ(10月1日・盛岡2000m)へ向けても重要な一戦。なお今年は2009年以来14年ぶりに水沢競馬場での実施となるが。ここでは13~22年の盛岡開催だった過去10回から傾向を見ていく。

■勝ち馬は3番人気以内から

過去10回の勝ち馬は1、2番人気が各4頭、3番人気2頭と、すべて3番人気以内となっている。4番人気以下で勝ったのは2008年ピンクゴールド(6番人気)まで遡らねばならない。勝ち馬は基本的に人気上位から考えていいだろう。なお、4番人気以下は2、3着が計10頭。人気薄を狙うなら、こちらか。【表1】

[表1]単勝人気別成績(過去10回)

1着 2着 3着 4着以下 勝率 連対率 3着内率
1番人気 4 2 2 2 40.0% 60.0% 80.0%
2番人気 4 3 1 2 40.0% 70.0% 80.0%
3番人気 2 1 1 6 20.0% 30.0% 40.0%
4番人気 0 1 1 8 0.0% 10.0% 20.0%
5番人気 0 1 2 7 0.0% 10.0% 30.0%
6番人気以下 0 2 3 50 0.0% 1.9% 4.8%

■舞台替わりの今年の傾向は

過去10回は盛岡で実施。脚質別に見てみると、逃げ・先行が7勝。2000mという地方重賞の中でも長い距離にカテゴライズされるが、基本は前に行ける馬有利というデータとなった。しかしながら今年は、距離はそのままに水沢競馬場に舞台を移す。向正面スタートでコーナー6回、ゴールまでの直線距離は盛岡より55m短い245mとなる。そこで、今年の不来方賞と同じ条件である「水沢ダート2000m」「3歳限定」で実施された東北優駿(2019年、21~23年)の脚質別データ【表2】を見てみる。母数は4回分と少ないが、勝ち馬はすべて逃げ・先行。対して追い込みは3着以内がなく、舞台替わりの今年は例年以上に前有利と考えていかもしれない。

[表2]水沢2000mの東北優駿・脚質別成績(2019年、21~23年の4回)

1着 2着 3着 4着以下 勝率 連対率 3着内率
逃げ 1 0 0 5 16.7% 16.7% 16.7%
先行 3 2 2 4 27.3% 45.5% 63.6%
差し 0 2 2 11 0.0% 13.3% 26.7%
追込 0 0 0 11 0.0% 0.0% 0.0%

■ベテラン村上忍騎手の存在感

騎手別では地方通算3800勝以上を挙げるベテラン・村上忍騎手がトップの4勝を挙げる。さらに、2022年は7番人気のオンラインボスで3着と、伏兵馬でも存在感を示す。高松亮騎手は22年マナホクで勝利。2番手につけた1番人気グットクレンジングが8着に敗れる展開を最後方から差し切った。【表3】

[表3]主な騎手別成績(過去10回)

1着 2着 3着 4着以下 勝率 連対率 3着内率
村上忍 4 2 1 3 40.0% 60.0% 70.0%
高松亮 3 1 0 4 37.5% 50.0% 50.0%
山本聡哉 1 4 3 2 10.0% 50.0% 80.0%
阿部英俊 1 0 0 3 25.0% 25.0% 25.0%
高橋悠里 1 0 0 7 12.5% 12.5% 12.5%

■移籍初戦馬は重賞経験が大事

今年の東北優駿の1番人気は船橋から移籍初戦のロッソナブアで3着だった。不来方賞でも過去10回で毎年、移籍初戦の馬が出走(再転入馬を含む)。既存勢力との力関係がポイントとなるが、該当する20頭中7頭が3着以内に入っており【3-3-1-13】。勝率15.0%、連対率30.0%、3着内率35.0%だった。勝ち馬は2015年ダイワエクシード(前走JRA3歳1勝クラス16着)、19年ヤマショウブラック(黒潮盃7着)、22年マナホク(王冠賞5着)。また、19年ニューホープが岐阜金賞1着から2着に入っており、前走が南関東・門別の重賞で入着、またはそれ以外の地区の重賞勝ちであれば信頼度はグッと上がる。

勝つのはこういう馬!

人気を素直に信じていい一戦。移籍初戦馬も前述のように重賞上位実績が求められることから、過度に評価しない方がいいだろう。特に前走・JRA未勝利戦組はダートで掲示板の実績があってもなかなか好走は難しく、17年ウニオミュスティカの3着が最高だった。データからは逃げ・先行できる地元馬を中心に考えていいだろう。

(文・大恵陽子)

注記

当ページの情報は、NARが特定の馬の応援や推奨などを行うものではありません。