金沢三冠を締めくる伝統の一戦
レースタイトルの重厚な印象通り、サラブレッド大賞典は半世紀を超える長い歴史を誇る。2017年に石川ダービーが創設されてからは、北日本新聞杯とともに形成される金沢3歳三冠路線の最終戦として、当レースの位置づけが一層明確となった。ここでは、2013~22年の過去10年の傾向を、データで紐解いていきたい。
1番人気が6勝というのはまずまずの数字だが、一方で4番人気以下の人気薄の勝利も3回。2、3着なら6番人気以下でも一定数出ており、全体としては波乱含みの傾向だ。3連単1万円以上の配当となったのが10回中6回。2019年と21年に出た3連単740円という超低配当を含めても、10年間の3連単の平均配当は34,957円。1番人気が勝ったのに万馬券といういわゆる「ヒモ荒れ」の年も3回(13、17、22年)あり、傾向からは、穴党が「これ」と思い定める馬がいるなら果敢に狙う価値のあるレースと言えるだろう。【表1】
1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
1番人気 | 6 | 1 | 0 | 3 | 60.0% | 70.0% | 70.0% |
2番人気 | 1 | 2 | 1 | 6 | 10.0% | 30.0% | 40.0% |
3番人気 | 0 | 2 | 2 | 6 | 0.0% | 20.0% | 40.0% |
4番人気 | 2 | 1 | 0 | 7 | 20.0% | 30.0% | 30.0% |
5番人気 | 1 | 1 | 3 | 5 | 10.0% | 20.0% | 50.0% |
6番人気以下 | 0 | 3 | 4 | 55 | 0.0% | 4.8% | 11.3% |
馬番別の成績を見ると、全体的には外に向かって優勢の傾向だ。1~3番の内枠が4勝しており一見互角に見えるが、この4勝は全て1番人気の馬。とりわけ1番枠は【1-0-0-9】と、2013年にポセイドンが勝って以来全くの不振で。敗れた中には14年の北日本新聞杯の勝ち馬ディアブレイズンや、17年の石川ダービーの勝ち馬ヴィーナスアロー(ともに2番人気)が含まれている。
馬番ではないが、逆に大外枠の戦歴は【4-1-0-5】。その連対馬5頭の人気は4・5・4・3・1番人気で人気薄の馬の活躍も目立っており、これならば勝ち馬検討は内から順に、ではなく大外から始めてもいいぐらいだ。【表2】
1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
1~3番 | 4 | 1 | 1 | 24 | 13.3% | 16.7% | 20.0% |
4~6番 | 0 | 1 | 2 | 26 | 0.0% | 3.4% | 10.3% |
7~9番 | 1 | 6 | 4 | 19 | 3.3% | 23.3% | 36.7% |
10~12番 | 5 | 2 | 3 | 13 | 21.7% | 30.4% | 43.5% |
性別では、1着2着の数は牡馬牝馬各5回とイーブン。ただ牝馬の方が出走数が多く、3着数は牡馬の方がかなり多いので、3着内率では牡馬優勢の傾向が見える。また、セン馬は6頭が出走して3着内なし。それも、9・3・1・3・4・4番人気と、多くはそこそこ注目されながら結果に結びついていない。サンプル数は少ないものの、セン馬の出走があれば一応疑ってかかりたい。【表3】
1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
牡 | 5 | 5 | 8 | 32 | 10.0% | 20.0% | 36.0% |
セン | 0 | 0 | 0 | 6 | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
牝 | 5 | 5 | 2 | 44 | 8.9% | 17.9% | 21.4% |
石川ダービーが創設され、金沢の3歳三冠路線が整備された2017年以降過去6年の、一冠目・北日本新聞杯、二冠目石川ダービーとの関連性を調べてみた。数字的には、石川ダービー出走ないしそこでの好走と、当レースの活躍には、ある程度の関連性が見られると言えそうだ。【表4-1,2】
1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
北日本新聞杯3着以内 | 2 | 3 | 3 | 11 | 10.5% | 26.3% | 42.1% |
北日本新聞杯4着以下 | 2 | 0 | 2 | 11 | 13.3% | 13.3% | 26.7% |
不出走 | 6 | 7 | 5 | 60 | 7.7% | 16.7% | 23.1% |
1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
石川ダービー3着以内 | 3 | 2 | 1 | 5 | 27.3% | 45.5% | 54.5% |
石川ダービー4着以下 | 1 | 0 | 4 | 9 | 7.1% | 7.1% | 35.7% |
不出走 | 2 | 4 | 1 | 37 | 4.5% | 13.6% | 15.9% |
北日本新聞杯と石川ダービーの両方に出走していた馬の当レースでの成績は、優勝が過去6年で3回。3着内率もちょうど5割で、これは予想の上では一目置くべきだろう。この条件で当レースで3着以内に入った馬は、昨年3着のマイネルヘリテージ以外は出走した両レースのどちらかでは3着以内に入っており、これはひとつの基準になりそうだ。
一方、両レースとも不出走で当レースで活躍した馬の特徴としては、当地転入後、レース数問わず重賞以外では負けていないこと。この例外は、18年のハーキマーダイヤ(8番人気2着)と17年のデルマキミコイシ(6番人気3着)で、後者は5月に当地転入後5連勝し、直近のレースだけ3着に敗れ当レースに臨んでいたもので、特徴に準じていると言ってもいい。それまでの二冠にいずれも出ていないような馬は、少なくとも当地では“底を見せていない”馬であることが必要と言える。【表4-3】
1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
両レース出走 | 3 | 2 | 3 | 8 | 18.8% | 31.3% | 50.0% |
北日本新聞杯のみ | 0 | 0 | 0 | 4 | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
石川ダービーのみ | 1 | 0 | 2 | 6 | 11.1% | 11.1% | 33.3% |
出走なし | 2 | 4 | 1 | 33 | 5.0% | 15.0% | 17.5% |
北日本新聞杯と石川ダービーの両方に出走歴があり、どちらかでは3着内の好走がある高実績馬がいればまず注目。できれば外枠が好ましく、それが牡馬であればなお有望。
(文・坂田博昭)
注記
当ページの情報は、NARが特定の馬の応援や推奨などを行うものではありません。