2023年9月3日(日) 金沢競馬場
サラブレッド
大賞典
右2000m 17:45発走
サラブレッド大賞典 ゴール前

データ分析 Data Analysis

金沢三冠を締めくる伝統の一戦

レースタイトルの重厚な印象通り、サラブレッド大賞典は半世紀を超える長い歴史を誇る。2017年に石川ダービーが創設されてからは、北日本新聞杯とともに形成される金沢3歳三冠路線の最終戦として、当レースの位置づけが一層明確となった。ここでは、2013~22年の過去10年の傾向を、データで紐解いていきたい。

■高配当はヒモ穴で狙え

1番人気が6勝というのはまずまずの数字だが、一方で4番人気以下の人気薄の勝利も3回。2、3着なら6番人気以下でも一定数出ており、全体としては波乱含みの傾向だ。3連単1万円以上の配当となったのが10回中6回。2019年と21年に出た3連単740円という超低配当を含めても、10年間の3連単の平均配当は34,957円。1番人気が勝ったのに万馬券といういわゆる「ヒモ荒れ」の年も3回(13、17、22年)あり、傾向からは、穴党が「これ」と思い定める馬がいるなら果敢に狙う価値のあるレースと言えるだろう。【表1】

[表1]人気別成績(過去10回)

1着 2着 3着 4着以下 勝率 連対率 3着内率
1番人気 6 1 0 3 60.0% 70.0% 70.0%
2番人気 1 2 1 6 10.0% 30.0% 40.0%
3番人気 0 2 2 6 0.0% 20.0% 40.0%
4番人気 2 1 0 7 20.0% 30.0% 30.0%
5番人気 1 1 3 5 10.0% 20.0% 50.0%
6番人気以下 0 3 4 55 0.0% 4.8% 11.3%

■外枠優勢、内枠は1番人気なら

馬番別の成績を見ると、全体的には外に向かって優勢の傾向だ。1~3番の内枠が4勝しており一見互角に見えるが、この4勝は全て1番人気の馬。とりわけ1番枠は【1-0-0-9】と、2013年にポセイドンが勝って以来全くの不振で。敗れた中には14年の北日本新聞杯の勝ち馬ディアブレイズンや、17年の石川ダービーの勝ち馬ヴィーナスアロー(ともに2番人気)が含まれている。
馬番ではないが、逆に大外枠の戦歴は【4-1-0-5】。その連対馬5頭の人気は4・5・4・3・1番人気で人気薄の馬の活躍も目立っており、これならば勝ち馬検討は内から順に、ではなく大外から始めてもいいぐらいだ。【表2】

[表2]枠番別成績(過去10回)

1着 2着 3着 4着以下 勝率 連対率 3着内率
1~3番 4 1 1 24 13.3% 16.7% 20.0%
4~6番 0 1 2 26 0.0% 3.4% 10.3%
7~9番 1 6 4 19 3.3% 23.3% 36.7%
10~12番 5 2 3 13 21.7% 30.4% 43.5%

■牡馬がやや優勢

性別では、1着2着の数は牡馬牝馬各5回とイーブン。ただ牝馬の方が出走数が多く、3着数は牡馬の方がかなり多いので、3着内率では牡馬優勢の傾向が見える。また、セン馬は6頭が出走して3着内なし。それも、9・3・1・3・4・4番人気と、多くはそこそこ注目されながら結果に結びついていない。サンプル数は少ないものの、セン馬の出走があれば一応疑ってかかりたい。【表3】

[表3]性別別成績(過去10回)

1着 2着 3着 4着以下 勝率 連対率 3着内率
5 5 8 32 10.0% 20.0% 36.0%
セン 0 0 0 6 0.0% 0.0% 0.0%
5 5 2 44 8.9% 17.9% 21.4%

■三冠皆勤の馬に敬意を

石川ダービーが創設され、金沢の3歳三冠路線が整備された2017年以降過去6年の、一冠目・北日本新聞杯、二冠目石川ダービーとの関連性を調べてみた。数字的には、石川ダービー出走ないしそこでの好走と、当レースの活躍には、ある程度の関連性が見られると言えそうだ。【表4-1,2】

[表4-1]北日本新聞杯との関係(過去10回)

1着 2着 3着 4着以下 勝率 連対率 3着内率
北日本新聞杯3着以内 2 3 3 11 10.5% 26.3% 42.1%
北日本新聞杯4着以下 2 0 2 11 13.3% 13.3% 26.7%
不出走 6 7 5 60 7.7% 16.7% 23.1%

[表4-2]石川ダービーとの関係(過去6回)

1着 2着 3着 4着以下 勝率 連対率 3着内率
石川ダービー3着以内 3 2 1 5 27.3% 45.5% 54.5%
石川ダービー4着以下 1 0 4 9 7.1% 7.1% 35.7%
不出走 2 4 1 37 4.5% 13.6% 15.9%

北日本新聞杯と石川ダービーの両方に出走していた馬の当レースでの成績は、優勝が過去6年で3回。3着内率もちょうど5割で、これは予想の上では一目置くべきだろう。この条件で当レースで3着以内に入った馬は、昨年3着のマイネルヘリテージ以外は出走した両レースのどちらかでは3着以内に入っており、これはひとつの基準になりそうだ。
一方、両レースとも不出走で当レースで活躍した馬の特徴としては、当地転入後、レース数問わず重賞以外では負けていないこと。この例外は、18年のハーキマーダイヤ(8番人気2着)と17年のデルマキミコイシ(6番人気3着)で、後者は5月に当地転入後5連勝し、直近のレースだけ3着に敗れ当レースに臨んでいたもので、特徴に準じていると言ってもいい。それまでの二冠にいずれも出ていないような馬は、少なくとも当地では“底を見せていない”馬であることが必要と言える。【表4-3】

[表4-3]北日本新聞杯と石川ダービー出否との関係(過去6回)

1着 2着 3着 4着以下 勝率 連対率 3着内率
両レース出走 3 2 3 8 18.8% 31.3% 50.0%
北日本新聞杯のみ 0 0 0 4 0.0% 0.0% 0.0%
石川ダービーのみ 1 0 2 6 11.1% 11.1% 33.3%
出走なし 2 4 1 33 5.0% 15.0% 17.5%

勝つのはこういう馬!

北日本新聞杯と石川ダービーの両方に出走歴があり、どちらかでは3着内の好走がある高実績馬がいればまず注目。できれば外枠が好ましく、それが牡馬であればなお有望。

(文・坂田博昭)

注記

当ページの情報は、NARが特定の馬の応援や推奨などを行うものではありません。