データ分析 Data Analysis

歴史ある佐賀3歳王者決定戦

ダービーシリーズ2022の開幕戦・九州ダービー栄城賞は、今年で第64回と佐賀で最も長い歴史を誇る重賞。歴代の勝ち馬には古馬となっても佐賀を代表する活躍を見せた馬が名を連ねている。佐賀(九州)3歳三冠の二冠目にあたり、荒尾競馬廃止後の2012年以降では3頭の三冠馬が誕生している。ここでは12~21年の過去10回から傾向を見ていく。

■勝利は北海道か佐賀デビュー馬

デビュー(初出走)場別では、北海道(門別)6勝、佐賀4勝。ともに出走40頭以上と多いものの、勝ち馬はどちらかから出ている。JRA未勝利からの転入馬は収得賞金が少ない場合が多く、下級から連勝続きで出走が叶っても、トップ級との初対戦で壁にぶつかる傾向が見られ、近3回では馬券絡みがない。北海道と佐賀以外の地方でデビューした馬は近3回では、19年3着、21年2着と3着内率100%。もし出走があればマークしたい。[表1]

[表1]初出走場別成績(過去10回)

1着 2着 3着 4着以下 勝率 連対率 3着内率
北海道(門別) 6 4 2 35 12.8% 21.3% 25.5%
佐賀 4 3 5 29 9.8% 17.1% 29.3%
地方その他 0 1 1 5 0.0% 14.3% 28.6%
JRA 0 2 2 15 0.0% 10.5% 21.1%

■1番人気は信頼できるが人気通りに決まりにくい

1番人気が6勝、3着2回。オッズは1.0~2.4倍でいわゆる“一本被り”になることが多く、3着内率80.0%と信頼できる。2番人気も3着内率70.0%と堅調だが、3~5番人気は20.0~30.0%と一気に数字が落ちる。上位人気3頭で決まったのは1回(2020年)だけ。1、2番人気とも3着以内は6回あるが、うち5回で5番人気以下が馬券絡みと、人気薄の食い込みに警戒が必要だ。[表2]

[表2]単勝人気別成績(過去10回)

1着 2着 3着 4着以下 勝率 連対率 3着内率
1番人気 6 0 2 2 60.0% 60.0% 80.0%
2番人気 1 4 2 3 10.0% 50.0% 70.0%
3番人気 1 1 1 7 10.0% 20.0% 30.0%
4番人気 1 1 0 8 10.0% 20.0% 20.0%
5番人気 0 2 1 7 0.0% 20.0% 30.0%
6番人気以下 1 2 4 57 1.6% 4.7% 10.9%

■一冠目・佐賀皐月賞の連対馬が3勝

佐賀皐月賞が一冠目となった2018年以降の過去4回では、同1着馬は2勝、3着1回。同2着馬も1勝、3着1回と結びつきが強い。18年の勝ち馬スーパージェットは、当時の規定(佐賀所属で2走以上)のため佐賀皐月賞には出走不可で、古馬B級戦を使われていた。[表3]

[表3]佐賀皐月賞での着順別成績(過去4回)

1着 2着 3着 4着以下 勝率 連対率 3着内率
皐月賞1着 2 0 1 1 50.0% 50.0% 75.0%
皐月賞2着 1 0 1 2 25.0% 25.0% 50.0%
皐月賞3着以下 0 3 0 16 0.0% 15.8% 15.8%
皐月賞不出走 1 1 2 15 5.3% 10.5% 21.1%

※佐賀皐月賞が一冠目となった18年以降が対象

■古馬戦での勝利は勢いに

九州ダービー栄城賞の時点で古馬B級以上で勝利実績のあった馬は過去10回では9頭いるが、うち4頭は当レースも勝利し、2着も2頭。なお、18年1着スーパージェット、17年2着フジノカミワザは古馬B級で2着、15年1着キングプライドは古馬C級で2連勝。古馬との対戦で勝ち負けレベルのレースをした馬は信頼度が大きく上がる一方、掲示板外に敗れた馬はそこでの消耗が影響するのか不振に終わるケースが多い。

勝つのはこういう馬!

佐賀皐月賞が一冠目となって以降、2019年スーパージンガ、21年トゥルスウィーと、二冠馬が2頭誕生(ともにのちに三冠達成)。20年1着トップレペルも佐賀皐月賞2着と、一冠目の上位陣が優位に立っており、この傾向が続きそう。2歳重賞の九州ジュニアチャンピオンと、当レースの両方を勝ったのは17年スーパーマックスのみで、3歳になってから力をつけた馬に大きな期待が集まるところだが、3歳条件戦のみを連勝して重賞初挑戦の馬は割引が必要だ。

(文・上妻輝行)

注記

当ページの情報は、NARが特定の馬の応援や推奨などを行うものではありません。