南関東3歳チャンピン決定戦
全日本的なダート競走の体系整備に伴い、2024年よりJpnIに格付けされ、JRA所属馬や他地区の地方馬も参戦可能な3歳ダート頂上決戦として生まれ変わる。数々の南関東所属馬が名勝負をくり広げてきた従来の東京ダービーは今年で見納め。最後の南関東限定となるダービーを的中させるためにも、分析は不可欠。ここでは13~22年の過去10回の結果から傾向を探っていく。
5勝を含む9連対の船橋と、2勝を含む6連対の大井が数字上ではトップ2を形成しているように思えるが、3着内率で見てみると川崎が少し劣る程度で、浦和も含めた3場がほとんど横一線といった構図。その中でもやはり中心に考えたいのが船橋で、2022年こそ上位に食い込めなかったが、21年までは6年連続で連対圏をキープする活躍を見せていた。特筆すべきは林正人厩舎の強さで、ここ10年で【3-1-0-2】と、3頭のダービー馬を育て上げている。同厩舎から出走してくる馬がいれば注目しておきたい。【表1】
1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
船橋 | 5 | 4 | 2 | 42 | 9.4% | 17.0% | 20.8% |
大井 | 2 | 4 | 6 | 43 | 3.6% | 10.9% | 21.8% |
浦和 | 2 | 1 | 2 | 20 | 8.0% | 12.0% | 20.0% |
川崎 | 1 | 1 | 0 | 17 | 5.3% | 10.5% | 10.5% |
3着内率で50.0%以上が1、2番人気のみで、上位人気馬に信頼を置けるレースとは言い難く、6番人気が1勝、2着3回とトップに並ぶ連対数を叩き出していることは覚えておきたいところ。とにかく順当に決まることがほとんどないレースで、2015年は上位人気馬総崩れで3連単は66万9140円。翌16年も14番人気が2着に食い込み、2年連続で大波乱の決着に。前3年を振り返ってみても20年は9番人気のエメリミット(船橋)が勝利、21年の2、3着は二桁人気馬が台頭、22年は6→12→2番人気の順で入線と波乱が続いている。【表2】
1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
1番人気 | 2 | 2 | 1 | 5 | 20.0% | 40.0% | 50.0% |
2番人気 | 2 | 1 | 3 | 4 | 20.0% | 30.0% | 60.0% |
3番人気 | 2 | 0 | 1 | 7 | 20.0% | 20.0% | 30.0% |
4番人気 | 1 | 0 | 1 | 8 | 10.0% | 10.0% | 20.0% |
5番人気 | 0 | 1 | 1 | 8 | 0.0% | 10.0% | 20.0% |
6番人気 | 1 | 3 | 0 | 6 | 10.0% | 40.0% | 40.0% |
7番人気以下 | 2 | 3 | 3 | 84 | 2.2% | 5.4% | 8.7% |
馬券圏に好走した馬の前走を書き出したのが【表3】。主流ローテは一冠目となる羽田盃で、まずはここから予想を組み立てるのが得策。つまり羽田盃組の取捨が重要になってくるわけだが、同レースの着順別成績を【表4】で見てみると、二冠馬誕生の可能性が低いことが分かる。その反面で2、3着馬が逆転してダービー馬の称号を手にすることが多く、羽田盃6着馬は6頭の出走で連対3回と立派な成績を残している。羽田盃組に割って入るとしたら東京湾カップからの参戦組が有力で、20年はエメリミットとマンガンでワンツー。続く21年も12番人気の低評価を覆してギャルダルが2着に好走と、近年は存在感が増している。
1着 | 2着 | 3着 | |
羽田盃 | 7 | 6 | 8 |
東京湾C | 1 | 3 | 1 |
京浜盃 | 1 | 0 | 1 |
JRA1勝クラス | 1 | 0 | 0 |
東京ダービーTR | 0 | 1 | 0 |
牝馬二冠目の東京プリンセス賞が羽田盃と同じ開催で行われていることもあり、過去10回で12頭の牝馬が参戦。13~17年には東京プリンセス賞馬が登場と、世代トップクラスの牝馬が挑んできたが3着以内に好走した馬はいない。また勝ち馬のデビュー地を調べてみると、南関東7頭、門別2頭、JRA1頭となっていた。意外なことに南関東デビュー4頭を含む6頭はデビュー戦黒星から3歳頂点の座を勝ち取っていた。
船橋所属馬が活躍する傾向にあり、特に過去10回で3頭のダービー馬を送り出した林正人厩舎の所属馬が出てくるようなら要チェック。当日の人気はほとんど参考にならず、穴馬も軽視ができない存在に。羽田盃2、3、6着馬や、東京湾カップからここに向かってきた馬には警戒。また勝ち馬の半数以上がデビュー戦を勝てておらず、迷ったときの材料として一考の余地あり。
(文・前田 恒)
注記
当ページの情報は、NARが特定の馬の応援や推奨などを行うものではありません。