水沢が舞台の岩手3歳頂上決戦
岩手競馬は2006年から18年までダイヤモンドカップが『岩手ダービー』として行われていた。しかし、19年からはかつて東北3県で行われていた東北優駿を復活させるかたちで『岩手ダービー』を移行し、翌年からダイヤモンドカップは岩手三冠の一冠目という位置づけに変わった。ここではダイヤモンドカップ時代(13~18年)を含む『岩手ダービー』の13~22年の過去10回から傾向を見ていく。
1番人気は過去10回で7勝を挙げ、2着2回と3着内率90.0%。高い信頼度を誇る。唯一3着以内を外したのは2020年グランコージーで4着。一旦は先手を取ったものの、内から主張する馬がいて競り合うかたちでハイペースになってしまってはさすがの1番人気でも厳しかったことだろう。勝ち馬は5番人気以内から出ており、6番人気以下になると2着1回、3着2回とグッと馬券圏内に入る確率も下がる。【表1】
1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
1番人気 | 7 | 2 | 0 | 1 | 70.0% | 90.0% | 90.0% |
2番人気 | 0 | 2 | 4 | 4 | 0.0% | 20.0% | 60.0% |
3番人気 | 1 | 3 | 1 | 5 | 10.0% | 40.0% | 50.0% |
4番人気 | 1 | 1 | 2 | 6 | 10.0% | 20.0% | 40.0% |
5番人気 | 1 | 1 | 1 | 7 | 10.0% | 20.0% | 30.0% |
6番人気以下 | 0 | 1 | 2 | 55 | 0.0% | 1.7% | 5.2% |
過去10回で8回騎乗し3勝を誇るのは村上忍騎手。2勝の高松亮騎手、1勝かつ2着もある山本政聡騎手、聡哉騎手兄弟も含めた4名は15~22年の8年にわたり岩手リーディング(年次)トップ5を維持している。世代頂点を決める一戦は騎手の騎乗技術や駆け引きも求められ、リーディング上位騎手が好成績を収めていると言える。【表2】
1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
村上忍 | 3 | 0 | 1 | 4 | 37.5% | 37.5% | 50.0% |
高松亮 | 2 | 2 | 0 | 5 | 22.2% | 44.4% | 44.4% |
山本政聡 | 1 | 2 | 0 | 5 | 11.1% | 33.3% | 33.3% |
山本聡哉 | 1 | 1 | 4 | 3 | 11.1% | 22.2% | 66.7% |
高橋悠里 | 1 | 0 | 2 | 5 | 12.5% | 12.5% | 37.5% |
坂口裕一 | 1 | 0 | 0 | 8 | 11.1% | 11.1% | 11.1% |
菅原俊吏 | 1 | 0 | 0 | 3 | 25.0% | 25.0% | 25.0% |
上記以外 | 0 | 5 | 3 | 44 | 0.0% | 9.6% | 15.4% |
ダイヤモンドカップ時代も現在の東北優駿も、年によって開催場は変わっているが、水沢と盛岡では左右の周りも違えば、1周距離も異なる競馬場ゆえ、ここでは今年の開催場である水沢競馬場で行われた17~18年ダイヤモンドカップ、19、21、22年東北優駿のデータから分析する。水沢は1周1200mで1600mの盛岡より小回りで直線も短く、圧倒的に逃げ・先行有利。後方からの追い込みでは3着以内に入った馬は1頭もおらず、差し馬も1勝、3着以内4回だった。【表3】
脚質 | 1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
逃げ | 2 | 1 | 0 | 5 | 25.0% | 37.5% | 37.5% |
先行 | 2 | 3 | 3 | 7 | 13.3% | 33.3% | 53.3% |
差し | 1 | 1 | 2 | 16 | 5.0% | 10.0% | 20.0% |
追い込み | 0 | 0 | 0 | 15 | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
ダイヤモンドカップが岩手一冠目として行われるようになった過去3回(水沢1600m)、ダイヤモンドカップ勝ち馬2頭が東北優駿も勝利。わずか3回のデータゆえまだまだ母数は少ないが、高い確率で二冠を達成していると言えるだろう。唯一、東北優駿を勝てなかったグランコージーはハイペースに巻き込まれ4着で、敗因を考えれば致し方なしといったところ。ただ2、3着など上位組は、2020年フレッチャビアンカが東北優駿を制したものの、結果に繋がらない場合も多いので注意が必要だ。
1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
まず注目すべきはダイヤモンドカップの勝ち馬。同型馬の存在や距離延長などに大きな不安がなければ高い信頼を寄せていいだろう。相手選びにはリーディング上位騎手も基準の一つとして取り入れたい。
(文・大恵陽子)
注記
当ページの情報は、NARが特定の馬の応援や推奨などを行うものではありません。