南関東2歳馬による頂上決戦
大井からデビューして第一次競馬ブームを巻き起こした国民的アイドルホース・ハイセイコーの名前がレース名になった。2020年からは南関東SIに昇格し、南関東2歳の頂上競走としての地位を確立。勝ち馬には全日本2歳優駿JpnIの優先出走権が与えられ、20年の覇者アランバローズ(船橋)は無敗のまま2歳ダートチャンピオンに。22年Vのマンダリンヒーロー(大井)は、地方馬としてはじめてアメリカに遠征してサンタアニタダービーGIで2着に好走。地方競馬の歴史に新たな1ページを刻んだ。未来の地方競馬を背負う存在が現れるかもしれない一戦。ここでは13~22年の過去10回の結果から傾向を調べる。
勝利数だけを見てみると大井(5勝)と船橋(4勝)の争いになるが、勝率・連対率・3着内率を見比べてみると船橋が優勢なことが分かる。またSI昇格後に成績が急上昇した浦和の小久保智厩舎も要注目と言える存在。2019年までは【0-0-1-7】だったのに対し、20年以降は【1-2-2-1】と圧倒的に成績を伸ばした。数々のビッグタイトルを手にしてきたトップトレーナーだけに、大舞台にきっちりと照準を合わせていることが表れている。【表1】
1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
大井 | 5 | 5 | 3 | 68 | 6.2% | 12.3% | 16.0% |
船橋 | 4 | 2 | 1 | 13 | 20.0% | 30.0% | 35.0% |
浦和 | 1 | 2 | 5 | 13 | 4.8% | 14.3% | 38.1% |
川崎 | 0 | 1 | 1 | 8 | 0.0% | 10.0% | 20.0% |
2、3番人気が各4勝に対して、1番人気は1勝のみ。1~3番人気でのワンツーは6回あるが、そのうちの4回が2番人気と3番人気の組み合わせだったことからも、このレースに関しては1番人気よりも2、3番人気を信頼するのが得策と言えそうだ。6番人気以下の伏兵に好走が多いというのも特徴。紐として押さえておきたいところで、3着6回の傾向からも穴候補は3着付けにして勝負するのが面白い。【表2】
1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
1番人気 | 1 | 2 | 1 | 6 | 10.0% | 30.0% | 40.0% |
2番人気 | 4 | 2 | 0 | 4 | 40.0% | 60.0% | 60.0% |
3番人気 | 4 | 3 | 0 | 3 | 40.0% | 70.0% | 70.0% |
4番人気 | 0 | 1 | 2 | 7 | 0.0% | 10.0% | 30.0% |
5番人気 | 1 | 1 | 1 | 7 | 10.0% | 20.0% | 30.0% |
6番人気以下 | 0 | 1 | 0 | 75 | 0.0% | 1.2% | 8.5% |
5~8枠で8勝を含む15連対と外枠が断然有利で、近2年の1番人気は2、3枠に入って馬券圏外に沈んだ。10頭立て以下の少頭数になった2020年と22年は、ともに8枠に入ったアランバローズ(船橋)とマンダリンヒーロー(大井)が勝利。少ない頭数になればより外枠を優先に考えたほうがいいかもしれない。また内枠から勝利を収めた15年のトロヴァオ(3枠・大井)、19年のゴールドビルダー(1枠・船橋)にしても2着には8枠と6枠を連れてきていた。迷ったら外枠と覚えておきたい。【表3】
1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
1枠 | 1 | 2 | 0 | 9 | 8.3% | 25.0% | 25.0% |
2枠 | 0 | 0 | 1 | 12 | 0.0% | 0.0% | 7.7% |
3枠 | 1 | 0 | 2 | 13 | 6.3% | 6.3% | 18.8% |
4枠 | 0 | 1 | 2 | 15 | 0.0% | 5.6% | 16.7% |
5枠 | 1 | 0 | 3 | 13 | 5.9% | 5.9% | 23.5% |
6枠 | 1 | 2 | 0 | 14 | 5.9% | 17.6% | 17.6% |
7枠 | 3 | 2 | 2 | 12 | 15.8% | 26.3% | 36.8% |
8枠 | 3 | 3 | 0 | 14 | 15.0% | 30.0% | 30.0% |
SIIだった2019年までは無敗馬(1戦1勝を含む)が出走しても【1-0-0-5】で16年Vのミサイルマン(大井)以外は馬券圏内に食い込むことができなかったが、SIになってからは4頭の無敗馬が出走して2頭が戴冠した。SIの舞台に辿り着くまでに負けた経験がない馬はチャンピオンに相応しい存在と考えたい。またハイセイコー記念に強い騎手が【表4】。各騎手が高確率で首位争いに加わっていることが分かるが、中でも森泰斗騎手は3回の馬券圏内が全て19年以降と近4年に集中。好相性の騎手で買ってみるのも手段のひとつ。
1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
矢野貴之 | 2 | 2 | 0 | 2 | 33.3% | 66.7% | 66.7% |
森泰斗 | 2 | 0 | 1 | 6 | 22.2% | 22.2% | 33.3% |
本田正重 | 2 | 0 | 0 | 3 | 40.0% | 40.0% | 40.0% |
笹川翼 | 1 | 3 | 0 | 4 | 12.5% | 50.0% | 50.0% |
優秀な成績を残す船橋とSI昇格後の勢いが目立つ浦和の小久保智厩舎は要注目。また2、3番人気の信頼度が高く、外枠に入ったならさらに好走する可能性はアップ。他には無敗馬が出てくれば首位候補と考えて良さそうだ。
(文・前田 恒)
注記
当ページの情報は、NARが特定の馬の応援や推奨などを行うものではありません。