ここから羽ばたく2歳牝馬重賞
グランダム・ジャパン2歳シーズン開幕戦となる園田プリンセスカップ。毎年9月に実施される2歳牝馬重賞には2歳戦に強い北海道を筆頭に、南関東など各地から遠征馬を迎えて行われる。経験豊富な北海道所属馬が強さを見せる中、地元兵庫所属馬も奮闘し、2014年の勝ち馬トーコーヴィーナスはこのレースを含め重賞8勝を挙げ、16年レディスプレリュードJpnIIでは2着(同着)など、大いに活躍を見せた。ここでは12~21年の過去10回から傾向を見ていく。
新馬戦が日本一早い4月に組まれ、2歳重賞も6月からスタートするなど、2歳戦に力を入れる北海道。ダートグレードやJRAに遠征して活躍する馬も多く、当レースでもその傾向は変わらない。2012年こそ出走がなかったものの、その後の9回で計27頭が参戦と頭数も多いが、1~3着各5回と毎年3着以内に入っている。17年は上位を独占した。【表1】
所属 | 1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
北海道 | 5 | 5 | 5 | 12 | 18.5% | 37.0% | 55.6% |
兵庫 | 3 | 3 | 3 | 60 | 4.3% | 8.7% | 13.0% |
笠松 | 1 | 2 | 2 | 5 | 10.0% | 30.0% | 50.0% |
船橋 | 1 | 0 | 0 | 1 | 50.0% | 50.0% | 50.0% |
その他 | 0 | 0 | 0 | 6 | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
先述のデータで北海道所属馬が強いことを示したが、その中でも勝利は田中淳司調教師と角川秀樹調教師の2人に限られる。田中調教師は7年連続地元リーディングで、2021年は143勝を挙げて北海道のシーズン最多勝利記録を更新する活躍。角川調教師は2歳馬での勝利が4~6割と高い割合を占め、2歳重賞で強さを見せる。この2人が管理馬を送り込んでくれば、軽視できないだろう。【表2】
1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
田中淳司(北海道) | 3 | 3 | 1 | 2 | 33.3% | 66.7% | 77.8% |
角川秀樹(北海道) | 2 | 2 | 3 | 7 | 14.3% | 28.6% | 50.0% |
吉行龍穂(兵庫・※引退) | 2 | 0 | 0 | 1 | 66.7% | 66.7% | 66.7% |
矢野義幸(船橋) | 1 | 0 | 0 | 0 | 100.0% | 100.0% | 100.0% |
柴田高志(笠松) | 1 | 0 | 0 | 1 | 50.0% | 50.0% | 50.0% |
田中範雄(兵庫) | 1 | 0 | 0 | 2 | 33.3% | 33.3% | 33.3% |
その他 | 0 | 5 | 6 | 71 | 0.0% | 6.1% | 13.4% |
過去10回で3番人気以内が9勝というデータだけを見ると、堅い決着に収まりやすい一戦に思えるが、3連単万馬券は6回に上り、2017年は3→5→8番人気の順で決まって8万1500円だった。1番人気が4着以下に敗れた年が4回あり、若い牝馬同士の一戦なだけに波乱の要素を含む。【表3】
1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
1番人気 | 5 | 1 | 0 | 4 | 50.0% | 60.0% | 60.0% |
2番人気 | 2 | 4 | 1 | 3 | 20.0% | 60.0% | 70.0% |
3番人気 | 2 | 2 | 0 | 6 | 20.0% | 40.0% | 40.0% |
4番人気以下 | 1 | 3 | 9 | 71 | 1.2% | 4.8% | 15.5% |
北海道からの遠征組は約1日かけての長距離輸送。南関東からも前日輸送で長い距離を移動してくる。そうなれば、気になるのは輸送による大幅な馬体減だが、過去の傾向を見る限り、気にしすぎなくてもいいだろう。2021年、マイナス13キロと自身最少馬体重で出走したスティールノーヴァ(北海道)は2着。初めて砂を被ったことで怯みながらも、しっかり追い上げた。また、19年勝ち馬のスティローザ(船橋)はマイナス12キロ、16年2着フィールザファイア(北海道)はマイナス10キロ、17年3着エグジビッツ(北海道)はプラス10キロでの出走から上位争いに加わった。
まず注目すべきは北海道所属馬で、特に田中淳司厩舎や角川秀樹厩舎の馬。1200m以下の経験しかない馬でも、2017年サラヒメや21年グラーツィアのように距離延長をアッサリ克服する馬も多い。地元馬を狙う場合、1400mのJRA認定戦を勝っていることが望ましい。
(文・大恵陽子)
注記
当ページの情報は、特定の馬の応援や推奨などを行うものではありません。