南関東牝馬三冠の第1戦
浦和競馬場で行われる南関東牝馬三冠の第1弾・桜花賞は、1955年の第1回から1600mで実施されてきたが、2023年から1500mに変更。同時に出走可能頭数が11から12に増加する。これまでは3コーナーからスタートする影響で内枠に入った馬が有利だったが、それも解消されるだろう。ここでは2013〜22年の過去10回の結果をもとに、データを見ていくことにする。
所属別に成績をまとめてみると、3着内率が30%を超えているのは浦和と大井と川崎。全国レベルの活躍馬を多く送り出している船橋は、過去10回に限定すると勝利をおさめたのは2020年のアクアリーブルだけとなっている。また、浦和は4勝、2着1回と好成績を挙げているが、3着がゼロとなっているのが特徴的だ。なお、他地区からの遠征馬の好走例は、15年2着のトーコーヴィーナス(兵庫)のみとなっている。[表1]
1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
浦和 | 4 | 1 | 0 | 9 | 28.6% | 35.7% | 35.7% |
大井 | 3 | 3 | 4 | 22 | 9.4% | 18.8% | 31.3% |
川崎 | 2 | 3 | 3 | 18 | 7.7% | 19.2% | 30.8% |
船橋 | 1 | 2 | 3 | 21 | 3.7% | 11.1% | 22.2% |
他地区 | 0 | 1 | 0 | 6 | 0.0% | 14.3% | 14.3% |
過去10回で単勝1番人気に支持された馬は5勝を挙げているが、2着がゼロというのが特徴的。3着内率では2番人気が60.0%、3番人気馬も50.0%と上々の数字を残している。なお、毎年“5番人気以下の馬が3着以内に1頭だけ入っている”というデータがあることを書き添えておきたい。[表2]
1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
1番人気 | 5 | 0 | 2 | 3 | 50.0% | 50.0% | 70.0% |
2番人気 | 1 | 3 | 2 | 4 | 10.0% | 40.0% | 60.0% |
3番人気 | 3 | 1 | 1 | 5 | 30.0% | 40.0% | 50.0% |
4番人気 | 0 | 1 | 1 | 8 | 0.0% | 10.0% | 20.0% |
5番人気 | 1 | 2 | 0 | 7 | 10.0% | 30.0% | 30.0% |
6番人気以下 | 0 | 3 | 4 | 49 | 0.0% | 5.4% | 12.5% |
桜花賞の前哨戦として設定されているのがユングフラウ賞(浦和1400m)。ただし、同レースを制して桜花賞に臨んだ8頭のうち、連勝したのは2016年モダンウーマン。3着も13年カイカヨソウだけとなっている。今年から桜花賞が1500mに変更されることで傾向が変わってくる可能性はあるが、気になるデータとして頭に入れておきたいところだ。一方、もっとも好成績を残しているのが、ユングフラウ賞で2着または3着に入った馬。とくに2着馬は5勝と好成績を残している。
また『その他の重賞』で勝利を挙げて臨んだ4頭中3頭が連対。そのうち2頭は大晦日の東京2歳優駿牝馬から臨んだララベル(15年)とスピーディキック(22年)で、もう1頭は名古屋の梅桜賞から挑戦してきた兵庫のトーコーヴィーナス(15年2着)だった。[表3]
1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
ユングフラウ賞1着 | 1 | 0 | 1 | 6 | 12.5% | 12.5% | 25.0% |
ユングフラウ賞2着 | 5 | 0 | 1 | 3 | 55.6% | 55.6% | 66.7% |
ユングフラウ賞3着 | 0 | 4 | 0 | 4 | 0.0% | 50.0% | 50.0% |
ユングフラウ賞4~5着 | 1 | 2 | 1 | 9 | 7.7% | 23.1% | 30.8% |
ユングフラウ賞6着以下 | 0 | 0 | 2 | 13 | 0.0% | 0.0% | 13.3% |
その他の重賞1着 | 2 | 1 | 0 | 1 | 50.0% | 75.0% | 75.0% |
その他の重賞2着 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
その他の重賞3着 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
その他の重賞4着以下 | 0 | 0 | 2 | 7 | 0.0% | 0.0% | 22.2% |
南関東の重賞以外1着 | 0 | 2 | 2 | 7 | 0.0% | 18.2% | 36.4% |
南関東の重賞以外2着 | 0 | 0 | 1 | 4 | 0.0% | 0.0% | 20.0% |
南関東の重賞以外3着 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
南関東の重賞以外4着以下 | 0 | 0 | 0 | 13 | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
上記以外のレース | 1 | 1 | 0 | 6 | 12.5% | 25.0% | 25.0% |
前記のとおり、これまでの3コーナーからスタートした1600m戦が、4コーナーの奥からの1500m戦に変更される。2020〜22年(過去3年)の浦和競馬の枠番別3着内率は、1600m戦では1〜4枠が30%以上で、6枠より外は最高でも10%台と内枠優勢。一方、1500mはすべての枠が25〜30%程度とほぼ偏りがない。
浦和所属馬が好成績を挙げているが、連対した5頭は小久保智厩舎か藤原智行厩舎のどちらか。今年のユングフラウ賞には藤原厩舎から4頭が参戦しデザートウインドが最先着の3着。1、2着馬はもちろん、出走してくれば注目だ。また相性がいい東京2歳優駿牝馬の1着馬メイドイットマムは、年明け初戦にJRA東京・クイーンカップGIIIを選択。それを含めて勝利する確率が高いのは、単勝3番人気以内に支持された重賞実績がある馬だろう。
(文・浅野靖典)
注記
当ページの情報は、NARが特定の馬の応援や推奨などを行うものではありません。