GDJ3歳シーズン後半の勝負所
東海クイーンカップは、1992年から名古屋競馬場で実施されている3歳牝馬の重賞。途中、休止期間や時期の変更を伴いつつ今に至るが、2012年からはグランダム・ジャパン(GDJ)3歳シーズンの対象レースとなり、以後実施時期は春の4月中旬から5月上旬にほぼ固定された。施行距離については、レース開設当初の1600mから、18年に1800mへ、そして新競馬場に移転した昨年からは1700mへと遷移している。そうした条件変更に留意しつつ、2013年以降10年間のレースの傾向を紐解いていく。
1番人気は過去10年で5勝と、微妙な成績。逆に6番人気以下の馬ものべ8頭が馬券に絡んでおり、組み合わせ次第で波乱も見込めるレースと言える。1番人気が勝った年は3連単配当は1万円未満に収まっているが、敗れた年はそれが2着であっても3連単配当1万円超え。1番人気が馬券から消えた2回は、17年が26万円、昨年が43万円と高配当も出ており、人気馬危うしと見るなら思い切った穴狙いもありだろう。[表1]
1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
1番人気 | 5 | 2 | 1 | 2 | 50.0% | 70.0% | 80.0% |
2番人気 | 1 | 3 | 0 | 6 | 10.0% | 40.0% | 40.0% |
3番人気 | 3 | 0 | 2 | 5 | 30.0% | 30.0% | 50.0% |
4番人気 | 0 | 1 | 1 | 8 | 0.0% | 10.0% | 20.0% |
5番人気 | 0 | 2 | 1 | 7 | 0.0% | 20.0% | 30.0% |
6番人気以下 | 1 | 2 | 5 | 59 | 1.5% | 4.5% | 11.9% |
少ないキャリアで実績を出してきた“上昇馬”は、得てして人気になるもの。しかし当レースに関しては、キャリアの浅い馬はおしなべて不振だ。過去には若草賞2着から臨んだ一昨年のミラバーグマン(キャリア4戦、2番人気12着)や、重賞4勝の実績があった17年のヤマミダンス(キャリア7戦、1番人気9着)など注目されながら敗れた馬も多い。統計からは10~14戦あたりが“程よい”キャリアと言えそう。これ以上レースを重ねているような馬はやはり、ある程度“天井”が見えていると言うことなのだろう。[表2]
1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
8戦以下 | 0 | 2 | 3 | 13 | 0.0% | 11.1% | 27.8% |
9戦 | 0 | 1 | 0 | 7 | 0.0% | 12.5% | 12.5% |
10戦 | 5 | 0 | 1 | 8 | 35.7% | 35.7% | 42.9% |
11戦 | 1 | 2 | 0 | 5 | 12.5% | 37.5% | 37.5% |
12戦 | 2 | 2 | 0 | 7 | 18.2% | 36.4% | 36.4% |
13戦 | 1 | 2 | 0 | 6 | 11.1% | 33.3% | 33.3% |
14戦 | 1 | 0 | 0 | 2 | 33.3% | 33.3% | 33.3% |
15戦以上 | 0 | 1 | 6 | 39 | 0.0% | 2.2% | 15.2% |
名古屋所属馬が過去10年で6勝。地元で出走頭数が多いため率で見ると地味だが、絶対数で見れば、遠征馬に対しても十分勝負になっていると言っていいだろう。勝ち馬は、所属問わず全て重賞で3着以内の実績のある馬。更に南関東や兵庫、高知からの遠征で活躍した馬は、昨年の1、2着馬を除けばあとは全て、当地の若草賞や佐賀のル・プランタン賞、浦和の桜花賞など、それまでのGDJ3歳シーズン対象レースで好走歴がある。GDJのポイント加算を目指した遠征馬の奮起には注目すべきだ。[表3]
1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
名古屋 | 6 | 3 | 8 | 53 | 8.6% | 12.9% | 24.3% |
兵庫 | 2 | 2 | 0 | 5 | 22.2% | 44.4% | 44.4% |
南関東 | 2 | 1 | 0 | 6 | 22.2% | 33.3% | 33.3% |
笠松 | 0 | 2 | 1 | 11 | 0.0% | 14.3% | 21.4% |
高知 | 0 | 2 | 1 | 4 | 0.0% | 28.6% | 42.9% |
金沢 | 0 | 0 | 0 | 4 | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
佐賀 | 0 | 0 | 0 | 4 | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
当レースに先立って行われるGDJ3歳シーズンの一戦・若草賞(23年から若草賞土古記念)。14年以降、当レースより短い名古屋1400mで行われており(13年までは福山1800m)、関連が気になるところだ。数字的には若草賞出走組、とりわけ若草賞で好走した馬の活躍が目を惹く。一方、若草賞不出走での3着内馬17頭のうち、8頭がそれまでに重賞で3着以内の実績がなかった馬。その8頭の着順と人気を見ると、当レース2着馬3頭が5・7・8番人気、3着馬5頭が3・3・6・10・12番人気と、実績がないだけに概ね人気薄。もしかしたらここが高配当のヒントになるかも。[表4]
1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
若草賞1着 | 4 | 1 | 0 | 2 | 57.1% | 71.4% | 71.4% |
若草賞2着 | 0 | 3 | 0 | 2 | 0.0% | 60.0% | 60.0% |
若草賞3着 | 0 | 0 | 2 | 2 | 0.0% | 0.0% | 50.0% |
若草賞4着以下 | 2 | 0 | 1 | 25 | 7.1% | 7.1% | 10.7% |
若草賞不出走 | 4 | 6 | 7 | 56 | 5.5% | 13.7% | 23.3% |
キャリア10戦以上14戦前後までの馬で、重賞実績、とりわけ若草賞好走歴のある馬を人気にとらわれずピックアップしたい。遠征馬ならば、GDJ3歳シーズンの対象レースでの好走歴を重視。重賞実績のない馬で気になる馬がいれば、頭よりもヒモ穴で。
(文・坂田 博昭)
注記
当ページの情報は、NARが特定の馬の応援や推奨などを行うものではありません。