データ分析 Data Analysis

南関東3歳牝馬による女王決定戦

グランダム・ジャパン3歳シーズンは桜花賞(浦和)からスタートして、このレースで6戦目。レース名の通り、歴代の勝ち馬からは多くのプリンセスが誕生し、繁殖牝馬としても優秀な名牝が多数。2012年アスカリーブルと、20年アクアリーブルは母娘制覇の快挙。13年カイカヨソウからは、21年のロジータ記念馬カイカセンゲンと、脈々と女王の血が受け継がれている。ここでは13~22年の過去10回から傾向を見ていく。

近年の勢いは浦和、実績なら船橋

数字の上では船橋と浦和が4勝で並ぶが、浦和の勝利はここ6年のもの。2022年もスピーディキックがこのレースを制して南関東牝馬二冠を達成と、近年は躍進が目立っており、勝率・連対率・3着内率でもトップに立っている。率では浦和に劣る船橋だが、14年と20年にはワンツーを決め、連対数9は最多。船橋が馬券圏内に食い込めなかったのは17年と19年の2回のみで、安定して上位争いに加わっていることが分かる。“勢いの浦和”“実績の船橋”といった構図が浮かび上がる。[表1]

[表1]所属別成績(過去10回)

1着 2着 3着 4着以下 勝率 連対率 3着内率
船橋 4 5 2 31 9.5% 21.4% 26.2%
浦和 4 0 0 9 30.8% 30.8% 30.8%
大井 2 3 4 47 3.6% 8.9% 16.1%
川崎 0 2 4 28 0.0% 5.9% 17.6%

今年は波乱の周期!?

1~3番人気のうち2頭が3着以内に好走した年が7回。それ以外の3回を見てみると14年は1番人気、17年と20年はともに3番人気が連対と、上位人気3頭の総崩れはない。とはいえ、1~5番人気で馬券圏内を独占したのは16年、17年、21年の3回のみで、伏兵の好走にも期待が持てる結果となっている。前述のとおり上位人気3頭のうち馬券に1頭しか絡まないのは3年周期。20年から3年目となる今年は、はたしてどうなるか。[表2]

[表2]単勝人気別成績(過去10回)

1着 2着 3着 4着以下 勝率 連対率 3着内率
1番人気 4 2 2 2 40.0% 60.0% 80.0%
2番人気 2 3 1 4 20.0% 50.0% 60.0%
3番人気 1 2 0 7 10.0% 30.0% 30.0%
4番人気 0 0 1 9 0.0% 0.0% 10.0%
5番人気 1 2 0 7 10.0% 30.0% 30.0%
6番人気以下 2 1 6 86 2.1% 3.2% 9.5%

舞台は違っても桜花賞馬は安定

南関東牝馬三冠の初戦・桜花賞(浦和)との関連を見てみると、コースや距離が変わるにもかかわらず、桜花賞勝ち馬の成績が優秀で、2019年のトーセンガーネットから22年のスピーディキックまで4年連続V。桜花賞2着馬は、16年の覇者リンダリンダ以外の6頭がいずれも馬券圏外と好成績を残しておらず、この舞台では3着馬のほうが堅実に力を発揮している。4着以下から馬券圏内に巻き返した9頭のうち7頭は地方重賞で連対歴、残りの2頭には大井での勝利歴があった。[表3]

[表3]桜花賞着順別成績(過去10回)

1着 2着 3着 4着以下 勝率 連対率 3着内率
桜花賞1着 4 2 2 1 44.4% 66.7% 88.9%
桜花賞2着 1 0 0 6 14.3% 14.3% 14.3%
桜花賞3着 2 1 1 6 20.0% 30.0% 40.0%
桜花賞4着 0 1 0 6 0.0% 14.3% 14.3%
桜花賞5着 0 0 2 5 0.0% 0.0% 28.6%
桜花賞着外 2 2 2 19 8.0% 16.0% 24.0%

主流ローテで活躍してきた先行馬が有利

2014年のスマートバベルを除く9頭の勝ち馬は、東京2歳優駿牝馬で3着以内か、ユングフラウ賞で連対した実績を残しており、桜花賞以前の段階で女王の座を射止める片鱗を見せていたと言える。また、好位で立ち回った馬の優勝が目立ち、16年のリンダリンダ、22年のスピーディキックといった末脚がある馬でさえも、3~4コーナーにかけては先団グループまで進出していた。基本的には先行馬が有利と考えていいだろう。

勝つのはこういう馬!

過去6回で浦和が4勝、また桜花賞馬は4年連続Vと、近年は目立つ活躍を見せている。東京2歳優駿牝馬での3着以内好走馬、ユングフラウ賞連対馬もこの舞台で好走する傾向にあり、近走の成績に関係なく注意しておいて損はない。

(文・前田 恒)

注記

当ページの情報は、NARが特定の馬の応援や推奨などを行うものではありません。