平坦で小回りの水沢で行われるスピード比べ
この重賞の前身となる「早池峰賞」は実施時期と距離の変更があったが、2016年以降は現在のレース名でこの時期に固定。第1回から第5回までは盛岡競馬場のダート1000mが舞台だったが、21年からは水沢競馬場の850mで行われている。この距離で上級条件が行われることは少なく、走りやすい馬場状態ならレコードタイムが出る可能性は十分。みちのくのスピード勝負の傾向を、前身のレースを含む12~21年の過去10回から傾向をみていこう。
過去10回の優勝馬はすべて単勝4番人気以内。6番人気以下からは2着に2頭、3着に3頭が入っているが、基本的には上位人気馬が優勢だ。ただし、特徴的といえるのが、2番人気馬の2着と3着がゼロとなっていること。水沢の850mで実施された2021年は、2→5→1番人気の順だった。【表1】
1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
1番人気 | 4 | 2 | 2 | 2 | 40.0% | 60.0% | 80.0% |
2番人気 | 3 | 0 | 0 | 7 | 30.0% | 30.0% | 30.0% |
3番人気 | 1 | 1 | 3 | 5 | 10.0% | 20.0% | 50.0% |
4番人気 | 2 | 3 | 1 | 4 | 20.0% | 50.0% | 60.0% |
5番人気 | 0 | 2 | 1 | 7 | 0.0% | 20.0% | 30.0% |
6番人気以下 | 0 | 2 | 3 | 54 | 0.0% | 3.4% | 8.5% |
2021年は4歳牝馬のキラットダイヤが勝利を挙げたが、それ以前は5歳以上の成績が良好。さらに9歳以上も健闘しており、13年は10歳が1着と2着に入り、3着も8歳とベテラン勢の上位独占となった。昨年も2着は12歳のシャドウパーティー。今年も年齢だけで評価を下げてしまうのは危険かもしれない。【表2】
1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
4歳 | 1 | 2 | 1 | 17 | 4.8% | 14.3% | 19.0% |
5歳 | 2 | 2 | 1 | 17 | 9.1% | 18.2% | 22.7% |
6歳 | 3 | 1 | 0 | 11 | 20.0% | 26.7% | 26.7% |
7歳 | 1 | 1 | 4 | 12 | 5.6% | 11.1% | 33.3% |
8歳 | 1 | 2 | 1 | 10 | 7.1% | 21.4% | 28.6% |
3歳または9歳以上 | 2 | 2 | 3 | 12 | 10.5% | 21.1% | 36.8% |
前走の馬体重別に成績をまとめてみると、459㎏以下の成績がいまひとつ。勝ち馬はすべて前走の馬体重が460㎏以上で、2着馬、3着馬も10頭のうち9頭が460㎏以上で走っていた。なかでも好成績を残しているのが500㎏以上。今年もスピードとパワーを兼ね備えた大型馬に要注目だ。【表3】
1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
439㎏以下 | 0 | 0 | 1 | 10 | 0.0% | 0.0% | 9.1% |
440~459㎏ | 0 | 1 | 0 | 13 | 0.0% | 7.1% | 7.1% |
460~479㎏ | 1 | 2 | 2 | 11 | 6.3% | 18.8% | 31.3% |
480~499㎏ | 4 | 2 | 4 | 24 | 11.8% | 17.6% | 29.4% |
500㎏以上 | 5 | 5 | 4 | 20 | 14.7% | 29.4% | 41.2% |
重賞として実施された2013年以降、勝利騎手がすべて違うという点も特徴的。その一方で、板垣吉則厩舎が最近2年の勝利を含む3勝を挙げている。また、三野宮通厩舎が2着2回、3着1回と健闘。この2つの厩舎の所属馬が出走してきたら、注目してみる手があるかもしれない。
21年から実施コースが変わっただけに全体的な傾向が変わる可能性はあるが、現在のレース名になってからの過去6回の優勝馬はすべて、2走前までに3着以内に入っている実績があった。昨年の優勝馬も前走がJRAからの移籍初戦で3着。今年も直近で善戦以上の成績を残していた馬に注目したい。
(文・浅野靖典)
注記
当ページの情報は、NARが特定の馬の応援や推奨などを行うものではありません。