岩手最短距離での争い
早池峰スーパースプリントの前身は早池峰賞で、2016年に現在のレース名となり、“スーパースプリントシリーズ”に加わった。20年までは盛岡ダート1000m戦だったが、21年からは水沢ダート850m戦として実施されている。ここでは前身の早池峰賞を含む13~22年の過去10回を中心に、水沢850mで実施されたオープン戦の結果も踏まえ傾向を見ていく。
過去10回中1番人気が5勝。勝ち馬はすべて4番人気以内から出ており、人気馬の信頼度は高いと言える。しかし、6番人気以下が2着2回、3着4回ということもあってか、過去10回中7回で3連単万馬券と、配当妙味のあるレース。特に2018年(盛岡1000m)は初距離のナムラバイオレットが最後方から内ラチ沿いを鋭く伸びて4番人気ながら勝利し、2着8番人気、3着6番人気で3連単38万7710円という高配当だった。【表1】
1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
1番人気 | 5 | 2 | 1 | 2 | 50.0% | 70.0% | 80.0% |
2番人気 | 2 | 1 | 0 | 7 | 20.0% | 30.0% | 30.0% |
3番人気 | 1 | 0 | 3 | 6 | 10.0% | 10.0% | 40.0% |
4番人気 | 2 | 3 | 1 | 4 | 20.0% | 50.0% | 60.0% |
5番人気 | 0 | 2 | 1 | 7 | 0.0% | 20.05 | 30.0% |
6番人気以下 | 0 | 2 | 4 | 50 | 0.0% | 3.6% | 10.7% |
水沢850m(フルゲート10頭)での実施は今年で3回目。参考として2013年以降に同距離で行われたオープン戦(21、22年の早池峰スーパースプリントを含む)から枠順の傾向を見ていく。短距離ではあるが、内の1、2枠を合わせると勝率4.9%と意外とよくない。計2勝はともに逃げ切りで、スタートの速い馬でないと包まれてしまうリスクを孕んでいることがわかる。勝率が高いのは3、7、8枠で比較的外枠優勢の傾向。22年の当レースはキラットダイヤが3枠から逃げ切り勝ちを収めた。【表2】
1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
1枠 | 2 | 4 | 3 | 11 | 10.0% | 30.0% | 45.0% |
2枠 | 0 | 3 | 4 | 14 | 0.0% | 14.3% | 33.3% |
3枠 | 5 | 3 | 1 | 12 | 23.8% | 38.1% | 42.9% |
4枠 | 2 | 3 | 4 | 12 | 9.5% | 23.8% | 42.9% |
5枠 | 1 | 1 | 1 | 16 | 5.3% | 10.5% | 15.8% |
6枠 | 2 | 2 | 2 | 15 | 9.5% | 19.0% | 28.6% |
7枠 | 4 | 2 | 3 | 19 | 14.3% | 21.4% | 32.1% |
8枠 | 5 | 3 | 3 | 23 | 14.7% | 23.5% | 32.4% |
前項と同じく、2013年以降に水沢850mで行われたオープン戦から脚質別成績を見ていく。逃げ馬が勝率・連対率・3着内率ともトップで、特に3着内率の81.8%は圧倒的。先行馬も優秀で、3着内馬の約2/3を逃げ・先行馬が占めている。21、22年の当レースはともに、3コーナーを3番手以内で回った馬のうち2頭ずつが3着以内に入り、特に22年は3コーナー1、2番手の馬がそのまま1、2着で決まった。【表3】
1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 | |
逃げ | 11 | 2 | 5 | 4 | 50.0% | 59.1% | 81.8% |
先行 | 8 | 11 | 6 | 19 | 18.2% | 43.2% | 56.8% |
差し | 1 | 6 | 8 | 65 | 1.3% | 8.8% | 18.8% |
追込 | 1 | 2 | 2 | 34 | 2.6% | 7.7% | 12.8% |
前走スプリント特別からの好走が目立つ。第1回からの過去7回で3着以内に入った21頭中15頭の前走がスプリント特別だった。なお、スプリント特別では必ずしも勝つ必要はなく、5着以内に入っていれば、ここでも好走する例が多い。
リピーターの多いレースで、早池峰スーパースプリントになって以降、メイショウオセアン(18、19年2着)、シャドウパーティー(19年3着、21年2着)、コンサートドーレ(20年1着、21年3着、22年2着)、キラットダイヤ(21、22年1着)の4頭が複数年にわたって活躍。過去にこのレースで3着以内に入った実績のある馬が出走してくれば見逃せない。前走がスプリント特別で、逃げ・先行タイプならさらに積極的に狙いたいところ。
(文・大恵陽子)
注記
当ページの情報は、NARが特定の馬の応援や推奨などを行うものではありません。