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東京スプリント~さきたま杯(第71回)

東京スプリントJpnⅢ

 ノーザンリバーは、外めの枠からのスタートで、一旦下げて5番手あたりの馬群の中を追走しました。意識して前に馬を置いてという競馬をしたのかもしれません。1200メートルということもあって、他の馬がある程度無理して行っていますから、いちばんいい位置だったと思います。直線では内を突こうとして行き場をなくす場面がありましたが、ジェネラルグラントが先に抜け出してくれて、それでスペースができたところ、外に持ち出して、よく伸びてきました。
 セイクリムズンもスタート後に下げて、ノーザンリバーをマークする位置を追走しました。直線伸びていますが、ノーザンリバーの脚いろもよかったですから、差を詰めることができませんでした。
 アルゴリズムはスタートでダッシュがつかず、最後方からでした。それでも少しずつ位置取りを上げてきて、最後までよく伸びました。このレースのあと、同じ1200メートルのオープン特別を楽勝しています。中央からの転入馬ですが、南関東では今後が楽しみな存在です。

かきつばた記念JpnⅢ

 タガノジンガロは中団あたりからの追走でした。行こうと思えばこの馬も行けたと思いますが、この雨の道悪で、テンが速くなりましたから、意識して抑えて、泥をかぶらないように、外へ外へと出していったのでしょう。3コーナー過ぎでは位置取りを下げてしまう場面がありましたが、それでも脚を溜めることができて、それが直線での伸びにつながりました。
 ノーザンリバーは道悪を気にしたのか行きっぷりがよくありませんでした。勝負どころの3コーナーあたりでは行き場をなくして一旦下げるような場面もあって、位置取りを悪くしました。外に持ち出して、直線での追い込みに賭けたのかもしれません。ゴール前ではよく伸びてきて、差し切ったようにも見えましたが、ハナ差届いていませんでした。直線が短い名古屋だからということもあったと思います。
 ダノンカモンは早めに3番手あたりの好位につけて、直線半ばで一旦は抜け出しましたが、ゴール前、もうちょっとのところで一杯になってしまったのが残念でした。

かしわ記念JpnⅠ

 コパノリッキーはスタートでタイミングが合いませんでした。ただ、それでうまく外に持ち出すことができました。5番手からの追走でしたが、まったく楽な手ごたえのまま4コーナーでは前に並びかけて、直線で追い出されると、あっという間に突き抜けました。今回はあまりペースも上がらず、楽な展開になりました。こういうレースを経験しておけば、仮に帝王賞に出走するにしても、2000メートルでも楽にレースができると思います。行けるようであれば前に行くし、控えてのレースもできます。ダートではチャンピオン級の馬になると思います。
 セイクリムズンは、うまくマイペースの逃げに持ち込んで、最後はコパノリッキー以外には交わされずによく粘りました。8歳でもよく走っていると思います。
 ワンダーアキュートは直線での追い比べになると、やはり切れる脚がありません。

さきたま杯JpnⅡ

 ノーザンリバーは、スタート後は3番手あたりにつけましたが、1コーナーを回るところで位置取りを下げる形になり、中団を追走しました。地方の小回りコースは、この馬には難しいのかもしれません。3~4コーナーでも懸命に追っていますが、先に仕掛けたトキノエクセレントからは遅れをとるような態勢になって、それでよく勝ったと思います。かきつばた記念での敗因も、道悪だけではなく、小回りコースの影響もあったと思います。
 トキノエクセレントは、前走の転入初戦のレースを見た時から、チャンスはあるかもと思っていました。直線で単独先頭に立って、そのまま押し切るかに見えましたが、結果的に向正面で仕掛けて行くのがちょっと早かったと思います。もう少し我慢できていれば、もしかして結果は違ったかもしれません。最後はバテたというより、フワッとなってソラを使っていたように見えます。直線を向くまで先頭に立たずに我慢していれば、最後まで脚を使えたかもしれません。
 セイクリムズンは、1番枠からのスタートで好位に控えて、この馬は行こうと思えば行けるし、控えることもできるし、力は出したと思います。



佐々木竹見(ささきたけみ)
元川崎競馬所属騎手。地方競馬通算7,151勝という世界歴代6位(当時)の勝ち鞍を挙げ、2001年7月8日に騎手を引退。
引退後も2012年3月までNAR地方競馬全国協会参与として後進の指導にあたる等、地方競馬の発展に大きな役割を果たし続けている。