伏竜Sは逃げて2着に2馬身半差をつけ、ゆうゆうとゴールイン。圧巻の競馬ぶりでアメリカのケンタッキーダービー（GI）の出走権を手中に収めたが、渡米はせず、園田に駒を進めて来た。「以前は脚元の関係で、調教も遠慮気味にやっていましたけど、最近、パンとしてきたのでしっかり仕上げられるようになってきました」と牧光二調教師。唯一の敗戦は1400メートル戦。スタートから流れに乗れず大敗したが、1800メートル戦では3戦3勝。距離に関しては「首が高く、元々スタートは速くないため、短い距離はあまり良くなかったようです」と同師。スタートから急かす必要のない中距離戦でスピードに乗れればそう簡単には止まらない。その走りぶりから、小回りの競馬場も歓迎材料となりそうだ。

中京ダート1800mでデビュー。既走馬相手だったが、すんなりとハナに立ってスムーズなレース運び。直線に入ると2着馬に並びかけられたが、手応えには余裕があり、ラスト200mで突き放して後続に4馬身差の快勝。時計は前日の3歳1勝クラスと同じ。いきなり素質を見せつけた。2走目は右回りの阪神。逃げ馬の外にぴったりとつけて追走し、3F標を過ぎて先頭に立つとそのまま押し切った。他の上位勢が差してきたなかでの勝利は評価できる。2戦2勝した1800m級の距離適性は高いはず。先行力を生かした立ち回りで、小回りの園田もこなせるだろう。レース間隔は短いが、坂路で順調に乗り込まれていて、キャリアが浅い分の上積みに期待できる。

母は関東オークス2着まではダート一本だったが、夏を越して秋華賞で3着。二刀流として末永く活躍したが、本馬は瞬発力を求められる芝より、ダートの方が明らかにいい走りをする。2勝いずれもが東京のマイル戦だが、使う毎に前向きさが出て、道中も力みながら。それでいて楽勝するあたり、ポテンシャルはかなり高いと言える。テンションが高く、調教でもハミを噛むようになっているだけに、課題は距離克服になってくるだろう。同じ小回りの小倉では接触してエキサイトしたように精神的にも若い。まだトモが緩い割にゲートセンスはあるので、揉まれるよりは逃げた方が良さそうだが、道中で息を入れられるかどうか。そこが最大の鍵になりそう。

デビューから2戦は芝の2000mに出走したが、5、8着と結果が出ず。この後、3カ月の休養を経て、ダートに路線を変更して徐々に素質が開花。久々をひと叩きされたダート2戦目から内容良化。悪かったゲートも厩舎が熱心に練習を施した甲斐があって一戦毎に上達。前々走は道中でまくられる厳しい展開だったが、直線で外に持ち出し、あっさり抜け出した。前走は正攻法の競馬で直線はマッチレースを制して2連勝。勝負根性も非凡。走破時計は翌日の古馬2勝クラスに0秒3差と優秀なもの。中間はCWで自己ベストに迫る時計をマークし、当週は坂路でオープン馬と併入とデキも充実。血統も魅力で一族からはGI馬エアシャカールが出て、重賞でも期待。

この馬の長所はスピードの持続力とパワー。未勝利戦、エーデルワイス賞はその長所が存分に生かされていた。今回の舞台は園田の1870m。小回りコースと地方の砂は既に経験済み。最も鍵になりそうな距離は血統的にこなせてもいいが、兵庫ジュニアグランプリ4着（1400m）、全日本2歳優駿5着（1600m）と牡馬相手とはいえ、長くなるにつれて成績が落ちているのは少し気掛かり。また、砂を被った時に進みが悪くなるので、馬込みで揉まれないスムーズなレースが理想になる。ただ、この中間は坂路でしっかり攻められているし、前走時より馬体の張り艶は良くなっている印象を受ける。小回り適性と先行力を生かせればチャンスはある。

2歳時は距離が延びると折り合いに難しい面を見せていたが、前走の兵庫3歳三冠戦の第1戦目・菊水賞（1700m）では、スタートからスムーズに折り合い、勝負どころからも速い上りを繰り出しライバルたちを完封。距離不安を克服し、今回はさらなる高みへ挑戦。全国舞台の中心で再び『園田愛』を叫ぶ。「今回も前回中間と同じように短期休養を挟んで調整しています。気合乗りも良いですし、順調に来ています。相手は一気に強化されますが、速い流れならさらに折り合いも付けやすくなると思いますし、これまで以上に良いリズムで競馬ができそうです。展開ひとつでチャンスが巡ってきてもという期待感はあります」とは管理される坂本和也調教師。

昨年8月のJRA札幌2歳未勝利・芝1800m戦で初勝利。その後は走りに精彩を欠いていたが、今年2月に兵庫へ移籍すると、ダート1400m、1500m戦を連勝、続く地方交流重賞・兵庫ユースCでも2着と好走。前走の菊水賞では結果は4着ながらメンバー中最速の上りを記録。地方ダートに移ってからの充実ぶりが目を惹く。「前走は予想よりも展開が落ち着いてしまいましたし、勝負どころから外々回らされる形にもなってしまいましたが、それでも最後はシッカリ脚が使えていました。負けはしましたが、この馬の力を再確認できた内容でした。距離延長は歓迎ですし、速い展開になりそうな今回の舞台は脚質的にも向いてくれるのではと思っています。相手は強力ですが、地方馬最先着は確保したいですね」とは管理される飯田良弘調教師。